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モバライダー mobarider

月の“巨大衝突説”に新証拠 亜鉛が決め手に

2012年11月07日 | 宇宙 space
月の起源として有力な“巨大衝突説”を決定的に裏付ける証拠が、アメリカの研究チームによって発見されました。
決め手となったのは、月の石に含まれる亜鉛元素の“同位体分別”です。




巨大衝突のイメージ図
衝突した天体は、
月の女神セレーネの
母親“テイア”の
名が付けられています


月は地球唯一の衛星です。
その起源として現在もっとも有力とされているのが、“巨大衝突(ジャイアントインパクト)説”です。

この説は、生まれたばかりの地球に火星サイズの天体が衝突し、その破片から月が形成されたというものです。
1970年代に発表され、コンピュータシミュレーションや、月の石の分析結果とも一致し、いまでは有力な説になっています。

月の石にはナトリウム、カリウム、亜鉛、鉛といった揮発性の(蒸発しやすい)物質が極端に少なく、このことが“巨大衝突説”のみで説明できます。
でも、もう1つの証拠として“同位体分別”の痕跡が必要になるんですねー

物質の同位体は、中性子数が異なるため、質量に差があります。
なので、巨大衝突の際に岩石が溶解して蒸発すると、軽い同位体が逃げて重い同位体が凝縮して残ることになります。

この証拠は長らく見つからず、有力と見られた説も証明しきれないままになっていました。
でも今回、ワシントン大学の研究チームが、複数のアポロ計画で別々の場所で採取された月の玄武岩20個に含まれる亜鉛を分析したんですねー
すると、地球の火成岩や火星の隕石と比べて亜鉛が少なく、かつ重い同位体の割合が大きいことが分かりました。







月の石の分析画像





研究では、これは月を形成した大規模な衝突の際に、亜鉛が大量に蒸発したことによるものと結論づけています。

月という片割れができたおかげで地球の自転は遅くなり、気候が安定し生命誕生のきっかけになったとも考えられています。
この片割れの起源が、やっと証明されたというわけです。