宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

オリオン座大星雲の手前にもう一つの大星団

2012年11月23日 | 宇宙 space
“オリオン座大星雲”は、オリオン座の三つ星の下に肉眼でも見ることができ、天文ファンに人気の天体です。
そして、天文学者にとって星誕生の現場を、間近で見られる絶好の研究対象でもあるんですねー






“オリオン座大星雲”の位置
オリオン座の三つ星の下に
肉眼でも見つけることができる




今回、欧州研究チームの観測により、星雲の手前側に大規模な星団が、独立して存在していることが分かりました。

“オリオン座大星雲”は、望遠鏡での天体観測が始まったばかりの約400年前に、フランスの天文学者によって初めての記録が残されています。
現在では、最も近くにある星形成領域(1500光年かなた)として、様々な星が生まれる過程の研究において重要な観測対象となっているんですねー

この大星雲の手前にも、星が分布していることは1960年代から知られていたのですが、ハワイにあるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡で観測したところ、予想をはるかに上回る規模の大質量星団が、星雲から独立して存在していることが分かりました。


“オリオン座大星雲”の
可視光画像(左)に
分子雲が放つ赤外線を
とらえた画像を重ねたもの
分厚い分子雲は向こう側に
ある星を隠してしまうため、
この画像に見える星は
分子雲の手前にあるという
ことが分かる(右)

研究で新たに判明した重要事項の1つは、研究チームが“イオタ星星団”と名付けたこの星団の星々が、星雲中心部にある“トラペジウム星団”より、ほんの少しだけ年齢が高いことです。

もう1つは、これまで“オリオン星雲星団”とひとくくりにされてきたものが、実は“イオタ星星団”と“トラペジウム星団”の2つの星団から成っていたということです。


イオタ星星団の星の分布
青い等高線で表している
星雲に埋もれたトラペジウム星団は
星が少なめ(右)
X線で分子雲を見透かせると
トラペジウム星団の星々が
密集している


今後は、この領域を調べるために、重なって見える2つの星団をきちんと区別しなければならないんですねー

でも、興味深いのは、星雲内で星を生成中の若い“トラペジウム星団”のすぐそばに、年齢の高い“イオタ星星団”が存在することです。

今回の観測結果は、星団形成に関するこれまでの仮説モデルと矛盾しているんですねー
また1つ謎が増えてしまいました…