宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

白色矮星のペアが織りなす星雲のS字リボン

2012年11月21日 | 宇宙 space
欧州の研究チームによる観測から、惑星状星雲“フレミング1”の中心部に、恒星の残骸である白色矮星のペアが見つかりました。

“フレミング1”はきれいなS字ジェットを持つ惑星状星雲で、
この発見は、“フレミング1”のジェット構造が作られたメカニズムを解明する、有力な手がかりになるんですねー

惑星状星雲とは、老いて膨張した恒星が、その外層を放出して出来たガスのベールです。
その中心には星の最後の姿である、高温高密度の白色矮星が残されているんですねー

その中でも特徴的なのが、ケンタウルス座の方向にある“フレミング1”です。
対称的なSの字カーブを描くジェットを持っているのですが、このジェットが形成されたメカニズムについては長らく謎になっていました。



超大型望遠鏡(VLT)で
とらえられた
惑星状星雲“フレミング1”


今回、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の研究チームが、南米チリにある超大型望遠鏡(VLT)でこの星雲を観測しました。
すると、その中心に1.2日周期で互いを公転する白色矮星の連星を発見したんですねー

惑星状星雲の中心部で、普通の恒星の連星が発見されたことはあるのですが、白色矮星の連星は非常に珍しいんですねー

連星かも知れないという説は以前からあったのですが、お互いの距離が離れた10年以上の長周期のもと思われていて、これほど近接しているとは意外でした。

“フレミング1”の形状が、どのようにして作られたのか?

その過程については、老いて外層が膨張した連星のうち一方が、もう一方の物質を重力で引き寄せ、その物質が星の周囲の円盤となった。
そして、連星の公転運動とともに円盤はグラグラと揺れ動き(歳差運動)、その軸に沿って双方向に噴出するジェットがカーブを描いた。
という仮説が、今回の観測結果から導かれたようです。








“フレミング1”の形成過程
(イメージ図)







この研究により、連星系の星周円盤の歳差運動により、“フレミング1”のような対称パターンが形成されることがはっきりと示されたんですねー

VLTがとらえた星雲内部の画像では、
ほかの連星系でも見られるような節状のリング構造も見つかっていいます。
これも連星が存在する証拠の1つになっているんですねー