宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

40億年前の月の自転軸が、数十度ずれていた?

2014年05月12日 | 宇宙 space
探査機“かぐや”などの観測から、
太古の月には、現在の地球と同じように大規模な磁場があり、
また、現在とは数十度異なる自転軸を持っていたことが明らかになりました。

このことは、月の形成と進化を明らかにするうえで、重要な成果になるようです。
自転と公転の周期が一致する月は、
常にほぼ同じ面を地球に向けている。
かつて異なる自転軸を持っていたとすれば、
現在とは違う面を見せていたことになる。

地球では、どこにいても磁石のN極が北を示すのは、地球に磁場があるからです。

地球の磁場は、高温に溶けた鉄の中心核が流動することによる電磁誘導現象で生まれ、維持されています。

月は地球のような大規模な磁場を持っていませんが、その岩石サンプルの分析から、約40億年前には磁場が存在していた可能性があるんですねー

そして過去の月の磁場を、さらに知る手がかりとなるのが、現在観測される局所的に磁場の強い地域(磁気異常)になります。

なので今回の研究では、
“かぐや”とアメリカの月探査機“ルナ・プロスペクター”で得られた大量の磁気異常データから、
過去の磁極の位置を推定しています。

その結果、現在の極付近のほかに、中緯度付近に集中した磁極群も見つかりました。
月探査機のデータから導かれた磁極の位置は、
現在の極付近(P1)と中緯度付近(P2)に集中していて、
極が数十度移動した過去がうかがえる。

磁極の位置は、自転軸の極とほぼ一致する性質があるので、かつて月の自転軸は現在の位置から数十度ずれていたことになるんですねー

過去の月に大規模磁場が存在していたということは、月にじゅうぶんな大きさの中心核があることを示します。

また、月の向きが変わるという重大イベントが明らかになったことで、
これまで、現在の自転軸を暗に前提としていた、月形成進化モデルの新たな構築が期待できるんですねー