宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

大気中に水がほとんど存在しない惑星の方が多いのかも

2014年08月03日 | 宇宙 space
太陽系外惑星3個の大気を、かつてないほど詳細に観測した結果、
予想以上に、水がほとんど存在しないことが判明しました。

水が豊富に存在する地球に似た惑星を探すことは、
想像以上に難しいことなのかもしれません。
惑星“HD 189733b”(イメージ図)
今回の研究では、ハッブル宇宙望遠鏡を使用して、
太陽に似た星を周回している、ガス状巨大惑星3個の大気を詳細に観測しています。

観測方法は、惑星が主星の前を横切る際に、主星の光が惑星の大気を通過する間に、水蒸気から受ける影響の痕跡調べるというものです。

地球から60光年から900光年離れたところにある3個の惑星は、気温が900度から2200度と非常に高温なので、
水蒸気を検出するのに理想的な候補と考えたんですねー

でも、多量の水が見つかることを期待していた研究チームが発見したのは、
ほぼ乾燥に近い環境でした。

水の存在量がこれほど低いのは、極めて驚くべきことで、
地球外生命の探査において、地球型の太陽系外惑星で水を検出するのが、
いかに困難な取り組みかを意味します。

研究チームによると、今回観測した惑星の1つ“HD 209458b”には、
これまで太陽系外の惑星に対して行われた中で、最高精度の化合物測定を行ったそうです。

そして検出された水の量は、
標準的惑星形成理論で予測された量の、10分の1から1000分の1でした…

なので水の痕跡を探す望遠鏡は、
今後予想以上に著しく乾燥した惑星の可能性を考慮して、
さらに高感度に設計する必要があるのかもしれません。


また今回の成果は、惑星形成の現行理論に、
さまざまな疑問を投げかけるものになりました。

惑星形成の定説では、
巨大惑星は、若い星の周囲にある水素、ヘリウム、氷やチリの粒子などでできた、
宇宙の円盤“原始惑星系円盤”の中で作られることになっています。

チリ粒子はくっつき合って、次第に大きな粒を形成し、
円盤の重力によって寄せ集められます。

こうして形成される惑星の核は、固体や気体の物質を引き寄せ続け、
最終的に巨大惑星になる場合があります。

巨大惑星の大気中に含まれる酸素は、
大部分が水の形で存在すると、これまで考えられていたんですねー

そして、水蒸気が非常に低濃度だということが、今回の研究で明らかになったことで、
惑星形成に至る化学成分に関する数多くの疑問が提起されることに…

一つの可能性としては、
惑星が形成される“原始惑星系円盤”に含まれる水の量が、
これまで考えられていたよりも、少ないことが挙げられるのかもしれません。