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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

ガンマ線観測なら分かる? 暴走型超新星の爆発の仕組み

2014年08月14日 | 宇宙 space
今年の1月に“おおぐま座”の銀河M82に出現した超新星2014J。

この超新星2014Jの観測から、
爆発後早い段階で、放射性元素の崩壊にともなうガンマ線のシグナルが検出されました。

この現象は、星の表面付近での核反応が、
星全体の爆発の引き金になった可能性を示すもので、
Ia型超新星の爆発の仕組みについて、新たな疑問を投げかけています。
右画像の2本の白線で示されてるのが超新星“SN 2014J”。
左は超新星爆発前の画像。

星の最期の大爆発が超新星爆発です。

この中でも、Ia型(核暴走型)と呼ばれるものは、
星の燃えカスである“白色矮星”と、もう1つの星との連星系で起きるんですねー

そして、
通常の恒星であるパートナー(伴星)から奪う、
あるいは相手も白色矮星で、お互いに衝突合体する、
などして、
白色矮星の質量がある一定の限界値を超えると、
白色矮星の内部で核反応の暴走が引き起こされ、
爆発に至ると考えられています。

でも、どのように核反応暴走の引き金が引かれるかは、
まだ詳しく解明されていませんでした。

今回の研究では、
今年1月に“おおぐま座”の銀河M82に出現したIa型超新星“SN 2014J”を、
人工衛星“インテグラル”でガンマ線観測を行いました。

すると爆発から約18日の段階で、
爆発生成物質ニッケル56の放射性崩壊にともなうガンマ線が、
早くも検出されたんですねー

白色矮星の中心付近から核反応が始まる、という従来の考えからすれば、
ニッケル56を由来とするガンマ線は、
爆発後数か月間は周囲の物質に隠されて見えないはずなので、
この結果は意外なものでした。
今回の研究成果に基づいた、Ia型超新星にいたる進化過程。
連星の相手(左)から流れ出した物質が、回転しながら白色矮星(右)に吸い込まれ、
白色矮星の赤道表面に蓄積される。
この表面にたまった物質内で、核暴走が始まる。

これを説明するために、研究チームが導き出したシナリオは、
以下のようなものでした。

 1.白色矮星に流れ込んだ物質が、赤道面表面に蓄積され、
   その中で核反応が点火される。

 2.その時に、比較的少量のニッケル56が作られ、
   これが爆発初期に観測されたガンマ線の由来になる。

 3.さらに表面での核反応が、白色矮星の中心部まで伝わり、
   星全体が吹き飛ぶ超新星爆発の引き金になる。

Ia型超新星の核反応によるガンマ線検出は、
この“SN 2014J”が、初の観測例になります。

今後は、超新星“SN 2014J”がIa型超新星爆発として、
普通なのか特殊なのか…

また、研究チームが導き出した爆発のシナリオの正否や、
影響などについて、詳しく検討を進めるそうです。