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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

ブラックホールの近くに移動するコンパクトなX線源“コロナ”

2014年08月26日 | 宇宙 space
超大質量ブラックホールのごく近くで、
コンパクトなX線源“コロナ”が移動するという、
珍しい現象がとらえられました。

しかも、ブラックホールに近づいたX線が重力の影響でブレを見せ、
ブラックホールの円盤内部を照らし出しているそうです。
超大質量ブラックホールと、その周辺(イメージ図)

ペガサス座の方向約3億2400万光年の彼方…
ここに位置するブラックホール“マルカリアン335”は、
太陽1000万個分もの質量が、太陽の直径の30倍ほどの領域に詰め込まれた天体です。
高速で回転していて、周辺では時空が大きく歪んでいるんですねー

“マルカリアン335”を取り囲む降着円盤の周囲には、
温度が高く磁化した“コロナ”と呼ばれる、コンパクトなX線源が存在しています。

NASAのX線観測衛星“NuSTAR(核分光望遠鏡アレイ)”は、
その“コロナ”が数日かけて、ブラックホール近くへと移動するようすをとらえました。

“コロナ”がブラックホールの近くへと移動するにつれて、
“コロナ”から放射されるX線が、ブラックホールの重力に強く引っ張られ、
X線が激しくぼやけたり、引き伸ばされたりしているそうです。

同様の現象は、これまでにも観測されたことがあるのですが、
今回ほど激しいものが、詳細にとらえられたのは初めてなんですねー

“コロナ”の形や温度については不明なままなんですが、
そこに光速に近い速さで移動する粒子が、存在することは分かっています。

また“コロナ”は移動から数か月経過しても、
ブラックホールに接近した位置にあるようです。

でも“コロナ”が果たして戻るのか、
戻るとしたらいつなのか、といったことについては分かっていません。

“NuSTAR”はさらに、
ブラックホールの重力によって“コロナ”の光が引っ張られ、
超高温になっている周囲の円盤の内寄りを、照らし出しているようすを明らかにしました。

移動する“コロナ”が、研究者が観測したいと思っている領域に、
正確にフラッシュライトを当ててくれたんですねー

このことが“コロナ”の性質や、
超高速で自転する“マルカリアン335”の速さなどを、
明らかにする手助けになるのかもしれません。