宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

ガス円盤の化学組成から分かるブラックホールの過去

2014年10月02日 | 宇宙 space
野辺山電波望遠鏡の観測から、
天の川銀河の中心核“いて座A*”のガスの円盤の化学組成が明らかになりました。

高エネルギー放射により、複雑な分子が存在できない環境にあったことがうかがえ、
中心部にある巨大ブラックホールの過去の活動が、深く関わっている可能性があるようです。


私たちの太陽系がある天の川銀河の中心核“いて座A*”には、
太陽の400万倍もの質量がある巨大ブラックホールが存在します。

他の多くの銀河にも、
その中心にはブラックホールが潜んでいると考えられていて、
強い重力で周囲の物質を取り込む反動で、X線などを強く放射する活動的なものと、
清音で暗いものとがあります。

天の川銀河の中心ブラックホールは、
現在は大人しいのですが、数百万倍も明るく活発な天体だった可能性が、
最近の研究で指摘されているんですねー


今回の研究では、国立天文台野辺山45メートル電波望遠鏡を用いて、
天の川銀河中心部の巨大ブラックホールを取り囲むガスリング“核周円盤”を観測、
その化学組成を初めて明らかにしています。
天の川銀河の中心核“いて座A*”の構造。
巨大ブラックホールの周囲には、電離ガス渦巻構造(紫)、核周円盤(オレンジ)、
さらに巨大分子雲(赤)が取り巻いている。

観測の結果、すぐ外側の巨大分子雲に比べ、
“核周円盤”には、簡単な構造の分子が多く含まれることが分かってきます。

複雑な大型分子は、
一般的には、紫外線やX線などの強い放射により破壊されやすいと考えられているので、
過去の円盤内部は、大きな分子が存在できない過酷な環境だったようです。

こんことは、巨大ブラックホールが過去にどれだけ活発だったかを、
物語っている可能性があるんですねー

今回の観測結果は、
天の川銀河中心部と、ほかの銀河の中心部を比較研究するうえで、
大いに活用されていくと期待されているようです。