宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

“ひさき”がとらえた木星磁気圏の電子の流れ

2014年10月09日 | 木星の探査
木星を取り巻く強力な磁気圏の中を、
高温の電子が、木星の方へと効率的に運ばれるようす…

このようすを、日本の惑星分光観測衛星“ひさき”が、世界で初めてとらえたんですねー

このことは、
「高エネルギー粒子の集まる放射線帯が、どのように維持形成されているのか」について、
従来の学説を裏付ける重要な成果になるようです。

惑星分光観測衛星“ひさき”
“ひさき”は、地球を回る人工衛星軌道から金星や火星、木星などを
遠隔観測する世界で初めての惑星観測用の宇宙望遠鏡です。

2013年9月に、
イプシロンロケットで打ち上げられ、
木星の衛星イオの火山活動から放出されるガスが、木星の周りにドーナツ状に分布した“イオプラズマトーラス”を、
極端紫外線で観測。

木星磁気圏の外側からやってくる高温電子が、
宇宙空間で、イオン化した火山ガスに衝突するようすを見ることで、
高温電子の温度や密度を調べたんですねー

その結果、“イオプラズマトーラス”には、
外部磁気圏からやってきた高温電子が数%の割合で存在することや、
磁気圏の外側から内側へ、電子が、とても効率的に輸送されていることが、
明らかになります。

これらの電子が磁気圏内側に供給され、
高エネルギー粒子の集まる放射線帯を形成維持しているという、
これまで有力だった学説の証拠が、初めて得られたことになるんですねー
木星磁気圏の中を木星本体に向かって流れてくる高温電子。