宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

NASAの月探査機“LADEE”観測を開始

2013年12月09日 | 月の探査
今年の9月にNASAが打ち上げた、月の大気・チリ探査機“LADEE”が、11月20日に月を周回する軌道に到達し観測を開始しました。

“LADEE”は、月の表面から高度12~60キロを2時間ごとに周回する軌道に投入され、夜明けから日没までの月の大気の状態を観測できるようになります。
これにより、月の希薄な大気に起きた変化と経緯を調べることが可能になったんですねー

そして探査を行う高度を維持するため、“LADEE”は3~5日ごとに噴射を行う必要があります。

今後、約100日で月の大気の構成と構造に関する詳細なデータを集め、月のチリが上空にも到達しているかどうかの探査を開始。
月ではこれまでの有人・無人探査で、月の高層に届く発光が観測されていて、その詳細も解明しようとしているんですねー

まぁー 月の特性を完全に理解できれば…
小惑星のような太陽系の他の小天体や、系外惑星の衛星についても何か分かるかもしれませんね。

銀河中心ブラックホールは、合体で大きくなる?

2013年12月08日 | 宇宙 space
38億光年彼方の銀河の中心で、
2つの巨大質量ブラックホールの連星とみられる天体が見つかりました。
この連星は、やがて合体して、もっと大きなブラックホールになるようです。


銀河の中心で、お互いのすぐそばを公転し合い、
やがて合体していく2つのブラックホール(イメージ図)

ほとんどの大きな銀河の中心には、太陽の数十億個分もの質量を持つブラックホールが存在します。
ブラックホールがそこまで成長するのには、周囲のガス物質などを取り込むことや、銀河同士の衝突が考えられています。

銀河同士の衝突だと、銀河の合体が進むにつれて、
それぞれの中心にあるブラックホールも接近し、お互いの周りを回りながら合体して、さらに大きな1つのブラックホールになります。

こうした合体途中のブラックホールは、初めのうちは数千光年ほど離れていて、徐々に数光年にまで距離が縮まることになります。
この接近した段階のブラックホール連星は、天体としてのサイズが小さいので、特に発見が難しいんですねー

これまでに見つかった数少ないブラックホール連星候補は、すべて天の川銀河から比較的近い場所で発見されています。
でも今回、赤外線天文衛星“WISE”は、
38億光年彼方という異例の遠方に、ブラックホール連星とみられる天体を発見しています。

初めは、「この銀河の特異な性質から、爆発的な勢いで星が生まれている」っと思われたのですが違ったんですねー

そして、オーストラリア望遠鏡コンパクト干渉計の電波観測で、
ブラックホールからのジェットが、直線状ではなくジグザグ状に噴射されていることが明らかになります。

これはブラックホールが、単独ではなく連星であり、
その公転によってジェットが、「新体操のリボンのように揺さぶられている」ことを示すものになるんですねー

また、ジェミニ南望遠鏡による可視分光データにも、
一方のブラックホールが、もう一方のブラックホール周囲の円盤の物質を、寄せ集めているような兆候が見られています。

これらにより、お互いの距離ははっきりと特定できないのですが、ひじょうに接近したブラックホール連星の存在が分かったんですねー

なぜ、銀河の中心に超大質量ブラックホールがあるのか?
今回、「小さいとはいえ巨大なブラックホール同士が、合体することで形成される」ということが分かってきました。

研究を進めることで、巨大質量ブラックホールが合体によって成長する過程を、さらに知ることができると期待されているんですねー

スペースプレーンは15年後に実現?

2013年12月07日 | スペースプレーン
飛行機のような翼で雲を突き抜け、地球の周回軌道まで飛ぶ…

スペースプレーンは、月を目指す宇宙開発競争が熾烈さを増していたころ、
人を乗せて宇宙に行き、スムーズに滑走路に着陸して戻ってくる。
そういう時代が、いつか来ると信じられていました。

ただ、2011年のスペースシャトル引退で、スペースプレーンの実現が先に延びたように感じたのですが、最近、アメリカ政府や宇宙関連企業の開発意欲が、再び活性化してきているんですねー

先進技術開発に力を注ぐ、アメリカ国防総省の国防高等研究計画局は、
11月に約14億3000万円の賞金を引っさげて“XS-1スペースプレーン”計画を発表しました。

打ち上げ1回あたり約5億1000万円のコストで、最大1800キロの人工衛星を軌道に乗せるという、アグレッシブなプランを募集しているんですねー

これは従来のロケット打ち上げのコストの10分の1程度にあたる、とんでも計画…
さらに打ち上げが5年後の2018年を予定していて、時間もありません。

国防高等研究計画局が求めているのは、「飛行機のように宇宙に行き、10日間に10回往還できる、完全に再利用可能な無人機」です。

言うのは簡単なんですが、どうなるんですかねー

中国の月探査機“嫦娥三号” 打ち上げに成功

2013年12月06日 | 宇宙 space
中国国家航天局(CNSA)は12月2日、月探査機“嫦娥三号”の打ち上に成功しました。

この探査機には、“玉兎”と呼ばれる無人探査車が搭載されていて、1976年のソ連“ルナ24”以来となる月への軟着陸に挑むことになるんですねー

打ち上げは、西昌衛星発射センターから“長征三号乙増強型”ロケットによって行われています。
今回は“嫦娥三号”を打ち上げるため、ロケットの第3段に小型スラスターが装備されるなどの改良が施されているそうです。

打ち上げ後、“嫦娥三号”を近地点高度200キロ、遠地点高度380,000キロの超楕円軌道に投入。
遠地点高度が月の軌道と同じなので、いったん地球の周回軌道で留まり、タイミングを見計らって月へ向かうのではなく、
ロケットによって直接月へ向かう軌道に投入されたんですねー

月軌道への到着は12月6日が予定されていて、着陸は12月16日になります。
“虹の入江”と呼ばれる平地に着陸した後は、着陸機から無人探査車“玉兎”が発進して、約3か月におよぶ探査ミッションが始まるんですねー


着陸機には月面をいくつかの波長で撮影するためのカメラが、
そして探査車には、それぞれ走行用と車輪の状態確認用と、観測用のカメラが装備されているます。
探査車は他にも、レーダーを使った月の内部構造の調査、またアルファ粒子X線分光計や赤外線分光計を用いた土壌の調査も行われます。

“嫦娥三号”は中国が送り出す3機目の月探査機で、
中国にとっては、初めてになる月面への着陸と、無人探査車による走行に挑みます。
月面への軟着陸が成功すれば、1976年に行われたソ連のルナ計画最後のミッション“ルナ24”以来、
37年ぶりの快挙となります。


中国の月探査計画“嫦娥計画”は三段階に分かれていて、
第一段階は“嫦娥一号”と“嫦娥二号”の月周回衛星による探査、
そして第二段階が、今回の“嫦娥三号”と“嫦娥四号”の、月面への軟着陸とローバーによる探査になります。

さらに続く第三段階では、“嫦娥五号”による月面からのサンプルリターンが計画されていて、
さらにその先には、有人の月面探査も計画されているようですよ。

幻の“ニオブ92”、超新星爆発が起源との新仮説

2013年12月05日 | 宇宙 space
日本原子力研究開発機構などの共同研究により、太陽系初期にのみ存在した放射性同位体“ニオブ92”は、超新星爆発のニュートリノ核反応で生成されたことが理論的に解明されました。





隕石で分かる“ニオブ92”
“ニオブ92”が変化(ベータ崩壊)した“ジルコニウム92”が多く含まれる隕石がある




半減期約3500万年の放射性同位体“ニオブ92”は、現在の太陽系には存在しません。
でも、“ニオブ92”がベータ崩壊した“ジルコニウム92”が多く含まれる隕石の研究から、約46億年前に太陽系が誕生した時点では存在したことが明らかになっているんですねー

ただ、“ニオブ92”が、宇宙のどこでどのように生成されたかは分かっていません。

考えられるのは、超新星爆発が太陽系に近い場所で起こったといこと。
この爆発で放たれたニュートリノが、“ニオブ93”の中性子を押し出して、
爆発の外層で“ニオブ92”が作られ、
そして、そのまま吹き飛ばされて太陽系に降り注ぎ、隕石に取り込まれたというシナリオです。


“ニオブ92”の生成
ニュートリノが“ニオブ93”の中性子を押し出し、“ニオブ92”が作られる


この仮説をもとに、ニュートリノと原子核が反応する確立を調べ、超新星爆発で生成される“ニオブ92”の量が計算されました。

太陽系誕生時の量は隕石の研究から分かるので、
超新星爆発から太陽系誕生までの間に、ベータ崩壊でどれだけ減少したのかも分かることになります。
そうして、超新星爆発から太陽系誕生までの経過時間を、100万~3000万年と見積もることができたんですねー

この研究では、太陽系のできた当時の“ニオブ92”の量が初めて再現され、
誕生前の太陽系のそばで起こった超新星爆発により、“ニオブ92”が生成されたことを支持するものとなりました。

今後、隕石の研究が進んで、より正確な“ニオブ92”の量が分かれば、さらに正確な経過時間が分かることになります。