タンボの話 その2

2007-05-19 19:38:36 | 里山
晴耕雨読という田舎生活に憧れを持つ人も少なくないかもしれない。
然しながら、この時期のタンボに関してはこの言葉が当てはまらない。
「雨が降っても」と言うより、雨が降るぐらいでないと田植ができないからだ。
山岳地帯を控えたような大きな河川があれば用水に困る事は稀だが、たかだか数分で尾根に出てしまう丘陵地帯では雨水が大きな比重を占めるのである。

例年のごとく(と言っても、昨年は休耕だった)五月の末に田植をすべく田掻きをはじめた。
「狐の嫁入り」とでも言うのだろうか雲の加減で日が当たりながらも時折雨が降る。
そのうちに風が吹き始め黒雲がやってきて本格的な夕立になった。
どうしても今日中には水漏れしない程度に掻き上げておかなくてはと合羽を着込んで作業を続けた。
そのうちに
こればっかりは「三十六計、逃げるに如かず」である。

ちょうど娘がバイトに出かけるときだったので駅まで送り届け、帰ってくる頃には雨も止んでくれた。
まだ十分明るい時間だったので再出動となったのであった。

この時季になると祖母が口癖のようにしていた話を思い出す。
父の弟の結婚式がちょうど田植の真っ最中(当時は六月)で、
「あの時は大忙しだった。全く困ったもんだ。会社勤めでもそのぐらいのことは解りそうなものなのに・・・」
と愚痴ったものであった。
祖母が亡くなってからは母がその話をよくしていた。
今はもう、頷くぐらいしか意思表示が出来なくなった母からはもうその話を聞くこともないだろう。

タンボの畦にはムラサキサギゴケ(紫鷺苔)が小さな花をつけている。
さあ明日は姪っ子の結婚式だ(大爆)
コメント (4)
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タンボの話

2007-05-15 08:51:19 | 里山
五月になると田植の準備で忙しくなる。
まずは籾振り。
要するに稲の種(籾種:モミタネ)を蒔くのである。
籾種は前年に採れた籾のうち種用に保存しておいたものを使ったものだ。
まず籾を塩水につけて塩水選(エンスイセン)という選別を行う。
地区の農家組合長が大きな樽にニガリを溶かし、規定の濃度の塩水にするのだがこのニガリの塊を溶かすのが一苦労。
ドウコ缶(銅壺缶とでも書くのだろうか?)にビッシリ固まったニガリをタガネで粉砕し、お湯で少しづつ溶かして水に混ぜ比重計を使って濃度をあわせる。
籾種を中に入れると比重の軽い種(秕:シイナ)が浮くので底に沈んだ重い種だけを使うのだ。
近年は籾種を専門に作る農家があって、農協に注文しておくと配達してくれる。
この場合は塩水選にかけずともほぼ間違いなく発芽するので最近は省略されている。

この籾種を約三日三晩水に浸けておくと小さな芽が出てくる。
時には発芽を促す為に一晩二晩風呂に入れてあげたりもするのだが、
人間では風邪を引きそうなぬるま湯(冷たさを感じない程度の水)がお好みなようだ(笑)

この小さな芽が出た籾を苗代(田んぼの苗床)に蒔くのだが、近年では機械で植えるためにトレー状のプラスチック製の箱に土を入れて蒔き、畑にビニールを敷いて水道水をかけてさら発芽させて苗を作る。
わが家ではこの段階までの手をかけられずに発芽した状態の箱苗を農協から買って畑で苗にしている。
わが家と書いたが、兼業でやっている農家はこの方式が最近増えているのだ。

さて、苗が出来ると後は機械の出番である。
トラクターで耕し、揚水ポンプで水を入れ、トラクターで代掻き。
軽トラで苗箱を運んで(わが家は軽トラが無いので人力で・・・)
田植え機で植えつける。

その昔は田を耕すのはマンノウを使って人力で行っていたし、代掻きは牛馬を頼んでいた。ポンプは使わずとも川に作った堰から水が入れられるように水路が出来ていた。

田植は苗採りと植え手に家族総動員。
わずか四反ほどの田んぼを植えるのに一週間近くかかった。

今は代掻き一日、田植が一日。
父は機械で植えた田んぼで植えそこないの株等を直して歩く。
それが二~三日。
丁寧にやっても雑にやってもさほど収量は変わらないといわれるが、そこは昔の百姓!!
あだや疎かには出来ないのである。

しかし、今年は「俺ももう水には入れぬ・・・」
そうだよね。
八十五歳で田植をされちゃ体に障りはしないかと心配で・・・

でも、これを書いてる間に外で草刈をしてきたみたい(苦笑)
元気だからいいんだけどさぁ・・・
コメント (8)
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柚子

2006-12-03 19:43:49 | 里山
今年は柚子が豊作です。

わが家の柚子は無農薬栽培。
実態は・・・何も手入れをするわけでなく自然任せ。
本来は枝の剪定やら摘果で形をそろえなければならないし、殺菌剤などを使った消毒をしないと肌が黒ずんだりして売り物にはならない。
見栄えなど気にしなかったその昔は隣村の八百屋が買いに来て小遣い稼ぎになったのだが、もう随分前から市場からの仕入れに変更してしまった。
そんな訳で、柚子を採っても売れるわけでもなく親戚や知り合いにタダで配っている。
かつてK市の工場勤務だった頃は食堂に箱で置いておけば翌日にはキレイに無くなるほどだったのだが、隣町の工場では近辺から通ってくる人も多く、声をかけても「家にあるから~」とか「知り合いにもらえるので」と断られる事が多い。
そんな中で喜んでくれるのが食堂のオバさん。
失敬・・・お姉さん。
先週の日曜に採ったのをあげたのだが
「私これをマーマレードみたいにして食べるの。香りがよくって美味しいのよ」
「そうそう、このまま皮をむいて実を食べるのも好きなのよね~」
柚子をそのまま食べる人も珍しい!!

殆どの人はそのままは食べないだろう。
多くは皮を刻んでウドン・鍋物・白菜の漬物などの薬味にするのだが、丸ごと食べる方法もある。
ハチミツレモンの柚子味みたいなものである。
柚子を縦に四つ切にし、タマネギをスライスするように刻む。
種を除いたら容器に入れ、砂糖を適量まぶしてよく混ぜたら冷蔵庫にでも入れて数時間寝かせておく。
柚子の汁気と砂糖が蜜のようになって実に美味しい。

飲兵衛の知り合いは柚子焼酎を作るという。
皮を入れるとチョッと苦味があるそうで、皮をむいた柚子の実を3~4片に輪切りにし梅酒をつける要領で焼酎付けにする。
甘いのが好みの人は砂糖等を入れても良いそうだが、生粋の飲兵衛は砂糖など入れないほうが良いという。
残った皮は刻んで冷凍しておけば薬味で使えるというし、前述のマーマーレードにしてもいいだろう。

誰か入用な人はいないかなぁ。
できれば取りにきてくれると助かるんだが・・・
高枝バサミと脚立は家にあるから
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紅葉

2006-12-02 19:14:58 | 里山
楓が紅くなるのは葉緑素が役目を終えて緑色が消え、糖分が紅い色素のアントシアニンに変化するから・・・な~んて知らなくても紅葉は楽しめる。
森羅万象全てを解明した後に何があるんだろう?
知識と便利さを追い求め人間て何処へ行くんだろう?
年の瀬で忙しいから深く追求しないけど・・・
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輪廻転生

2006-10-26 19:05:08 | 里山
橋の袂の芝生の上にザリガニがいる!?
と思ったら見事なハサミと足に僅かに甲羅が付いているだけだった。
まだそれほど日が経っていないのであろう。
ハサミはまだ生きているかのような色だった。
おそらくは鷺の仲間にでも食べられてしまったのだろうが、このハサミだけは如何ともし難かったのだろう。
おそらくは水中で無敵の存在であったろうが、空中からのピンポイント爆撃には抗う術もなかったはずだ。

ザリガニ君、君は今、空飛ぶ鳥なんだ。
ザリガニとしての命は終わったが空飛ぶ鳥の血となり肉となって空を飛んでるんだよ。
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八幡神社の・・・

2006-10-14 19:35:35 | 里山
明日は八幡神社の秋の祭典。
お祭りとは言っても露店が出るような賑わいがあるでなく、粛々と神事が執り行われるだけなのである。
が、やはりそこはそれ。
お祝いの席はちゃんと待ってるわけで

八幡神社の石の階段が近年急に風化し、上り下りにも気を使わなければならないほどになってしまった。
御手洗の石鉢もヒビが入って用を足さなくなってから久しい。
そんなわけで、氏子から浄財を募り(といっても均等割りで)新しく作ることになった。
どうせならと本殿と拝殿の床板も張り替えようということになり、秋の祭典に間に合うように業者へ依頼した。

お彼岸の頃に石段と御手洗はもうすでに九分どおり完成していた。
その後、床板を張り替える大工さんも車を停めているようなので様子を見てきた。
白御影の石段はすっかり出来上がっていて、後は細かい所に玉砂利を入れたり土を寄せるぐらいになっていた。
神社のほうは拝殿の床が張り終えたところだった。
しかし、大工さんは本殿の床貼りをどうやったらよいものかと思案中だった。
本殿の中に鎮座まします内宮は梁に届かんばかりの高さがあり、どうやっても外へは持ち出せない。
じゃぁ、どうやって中に入れたの?
地下鉄の電車と同じで夜も眠れないのであった。
(そんな訳は無い・・・)

先週の休みに見に行った所ではもうすでに床板は張り替えてあった。
後は水屋の造作と旗竿立ての工事だけであった。
とりあえずこれだけの工事ができれば数世代は持つのではと皆思っている。
祝宴もいつも以上に賑やかに盛り上がるだろう。
でも、宴会当番だから誰も愚図らずに早めに終わってくれると助かるんだがなぁ・・・
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柿の話

2005-11-06 20:26:41 | 里山
サクラ切る馬鹿 ウメ切らぬ馬鹿
と言いますが、柿ノ木は折るものだそうですね。

サクラの場合は幹に腐りが入りやすいので傷をつけないように。
ウメや柿はさほど神経質になることもなく、
果樹であるがために樹形を整える必要もあってのことでしょう。
ただ、剪定の時期は葉が落ちてからのほうがよいようですが。

こちらでは、竹ざおの先に割れ目を入れ、
小枝などをはさんだ物を「オッパサミ」と呼んでます。
これを使って柿の枝をこの割れ目に差し込んで手元でネジってやる。
すると、ポッキリと枝が折れて柿の実が食べられるという寸法です。

子どもの頃から柿ノ木には絶対上るなといい聞かされています。
柿の木は結構硬いのですが枝は折れやすく、二股になったところは割けやすい木です。
いまは、木登りをする子も見当たらないようですが・・・
それに、柿の実が食べごろになっても何時までも木に残っています。
昔は渋柿でさえ完熟させてから食べたものです。
そういえば、最後に干し柿を作ったのは何時ごろのことだったか・・・

ちなみに、ゴルフクラブのウッドは柿の木(パーシモン)で出来てるって知ってました?
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十三夜

2005-10-15 15:24:14 | 里山
今日は十三夜、
満月の二日前って事でしょうか。
十五夜と同じようにお月様にお供えをするんですが、
「服喪中は御祭りには参加しない」
ということからこのての行事をパスしています。
年神様(雛祭り・端午の節句・七夕・十五夜など)は構わない
という説もあるのですが、よく解らないというのが真相で・・・

明日は八幡神社の秋の祭典ですが、神事には参加しないで直会だけ出席です。
直会は「なおらい」と読みますが、
要は御神酒やご供物をいただく宴席のことで、
コレがなくて何の楽しみが・・・

写真:昨晩、隣地区の満願寺で行われた薬師様の様子です。
十三夜の前の日がご本尊の薬師様の縁日ですが、
夜店が出るようなこともなく檀家の人たちだけで法事が行われているようです。
私が子どもの頃は映画会とかあったような気がするんですが、
何せ遠い昔のことで記憶も朧です。

終わった後はもちろん飲むんでしょうね~(笑)
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稲刈り

2005-09-17 20:51:30 | 里山
我が家でも稲刈りを始めました。
とは言え、二枚ある田んぼの四隅を手刈りしただけです。
刈り取りそのものは近所でコンバインをお持ちの方に依頼しているので、その方の日程待ち。天気がよければ19日を予定しています。
乾燥・籾摺りから出荷までライスセンター任せになるため、後は自家用にする保有米(出荷しない分)をライスセンターに取りに行くだけ。
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ヤブキリ

2005-07-06 06:47:22 | 里山
キリギリスの仲間です。
畑や草むらなどに住んでるようですが、藪のキリギリスというような意味なんでしょうか?
バッタの類も含めいろいろな虫を撮っては調べてみるのですが、よく似たのが多くて迷います。
三面図のような写真や他の種との違いを解説したWeb図鑑。誰か作ってくれないかなぁ。
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