普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本型経営(世界で勝ち抜く為に)

2007-05-13 10:29:47 | 企業経営

最近、賃金が極端に低い中国の台頭に対抗するために、社員の比率を下げて、派遣社員やパートやアルバイトの活用で競争力を確保しようとする企業が増えている。

またグローバリゼーションの名の元で株主の権利が強くなり、企業の業績が良い程、優れた技術を持つ企業程外国資本に狙われる傾向が強くなり、
日本型経営(新日鉄の危機) に書いたように、 本来なら企業の業績を上げるのが本務であるはずの経営者がそれに対する防衛策に追われる有り様だ。

この傾向が日本にとって良い事か悪いか事かを考えてみた。

<<日本型経営の特徴とその成功>>
1.家族主義的経営
(1)年功序列賃金、終身雇用
(2)協調的な労使関係、企業別労働組合
(3)会社への忠誠心に基づく小集団活動
2.系列・企業集団の形成
3.長期的視野に立つ研究開発投資とシェア拡大のための積極的投資。
4.政府と産業界との緊密な関係(日本株式会社)
5.系列・企業集団の形成とその中心としての銀行の株保有
6.優れた生産管理、遅れた管理部門の管理
7.短期的な利益追求より長期安定を求める。
8.投資機関の軽視
その結果として、バブル崩壊前までは、国民全体が中流意識を持ち、世界からは最も進んだ共産主義社会と言われるようになった。

<<日本型経営の基本的な問題点>>
1.遅れた管理部門の管理と終身雇用制度のために、経営者としては問題がある、創業者家族の経営者のほか、所謂サラリーマン経営者が増えたが、経営拡大時にはその弊害が現れなかった。

2.基礎研究の不足。
日本は、外国から導入した基礎研究の応用に優れていたが、日本の大学や研究機関からの導入した技術が少なかった。

<<バブル崩壊以後起こった大きな変化>>
1.銀行の破綻→系列・企業集団の形成とその中心としての銀行の株の放出→資金調達の中心が株式市場に移る。

2.米国型市場経済制度の導入した、またはさせられた。

3.1.2.のために、今までの軽視してきた投資機関の攻撃が激化した。
(1)目先の利益を重視する投資機関の要求に答える為に、長期的な成長には目をつぶる羽目になっている会社が次第に増えてきた。
このような手法が会社にとって良い事か悪い事かは疑問だ。

4.情勢の激変にたいして、政府の指導力低下で、創業者家族の経営者のほか、所謂サラリーマン経営者が対応仕切れない。
(1)中でも、今まで管理を放置してきた管理部門の大量レイオフする羽目になった。
(2)そのため会社運営の中心となっていた、会社への忠誠心がなくなり始めた。
(3)目先の利益に囚われて、従業員の育成費用を削減し、今回の様な団塊世代の技術伝承問題を起こしている。
(4)安易な契約労働者やパートタイマーに頼って経費削減を図って、
1)今までの日本企業の成功の大きな原因である、QCサークル活動(小集団単位の品質管理・改善提案運動)などのように従業員の潜在能力の活用や、意識の向上に伴う生産力強化を忘れている。
2)日本では考えられない格差社会を生み出している。
(5)少子化問題に対応出来ない。
少子化→消費の減少→経済の縮小といずれは企業にふりかかってくる問題だ。
少子化→要員の減少→外国人の移入→民族格差の発生と言う、日本としては新しい問題に取り組まねばならない。

<<今後の方向>>
米国産業の競争力分析についてと言う新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の報告がある。

そこでは、米国産業の競争力について日本と比較した分析がある。
そこで、米国と日本の違いで目立つのは、米国産業への大学などの研究機関の役割と、マネージメントの経営戦略だ。

私は教育改革の一番対象にすべきは大学だと書いたが、その一面はレポートが示している。

また経営陣の戦略が企業の競争力に大きく影響していると書いている。
大学の教授や経営者を如何に育てて行くかは、当事者は勿論だが、大学、企業、政府がもっと真剣にとり組んで貰いたいものだ。

報告でもう一つ目立つのは、米国企業が知識、技術集約産業に取り組んでおり、成功している事だ。

また最近発表された
国際競争力では日本は24位だそうだ。
その分析の要素として、膨大な国債、高い法人税率、低い研究のための投資額などが評価を下げる原因になっているそうだ。

「大学教育が競争経済のニーズに適合しているか否か」でも低評価だそうだ。
然し明るいニュースもある。

トヨタが遂に自動車生産で世界一になったことだ。

同社は他の会社が、従業員のレイオフをやっていた時、日本型経営に拘り、従業員の意識を高め、その優れた技術力で、伸びてきたのだ。

日本は現在、
1.人材しか居ない資源小国、その人材を提供を困難にする少子化
2.極端に賃金の低い中国の台頭
に直面している。

それで日本として市場主義経済で生き抜いてゆくためには、やはり従業員を大切にし、その能力と技術を最大源に活用する、日本型経営しか進む道がないような気がする。

そのために、官民一体となって、そのシステムの悪い所、特に大学研究陣の活性化や経営者の育成との問題点などを直し、良い所を生かすた研究がもっと必要だと思う。

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