普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

天下り問題から官僚制度を考える

2008-01-06 10:27:16 | 政策、社会情勢

 近頃政府攻撃の材料として、野党や一部マスコミが取り上げている官僚の天下りの問題を私の経験を通じて見た官僚制度を考えてみたい。
 詰まり「針の穴から天を覗く」ような見方だが、それなりにも問題の核心の極く一部に触れることもあるかも知れない位の軽い気持ちで読んで頂きたい。

[私の経験]
 私は定年間近にになって、下請けの会社に出向していた元の上司のからの要請で同会社に出向した。
 詰まり今の言葉で言う天下りだ。
 違うのは同会社が社としては小さいが将来の方向を決める海外プロゼクトに人がいなくて、海外での技術援助の経験がある私を派遣して貰う様に私の会社に依頼してきたことだ。
 私は正直言って、その会社の余りにも金にがめつい社風が嫌いだったが、宮使えの悲しさで会社の命の従う他なかったが、旧知の同社の副社長に入社後は技術一本槍で営業にはタッチしないことを約束して貰って入社した。

 そのプロゼクトは、新しく建設された工場のメンテナンスで、私の半世紀に渡ってやってきた専門の仕事だ。
 私は部下とともにスタート・トラブルの解決に当たり、多分客先や出向先の評価もそれなりにあったと思う。

 私はそれが済むと、次の同じような海外の業務の受注から、実施まで当たって63歳で退職した。

 その間昔の会社と社風が全く異なる出向した会社で嫌なこともあり、同社の評価もそれなりだったと思うが、冴えない私にしては幸運と思わなければいけないのだろう。

 さらに幸運だったのは、同社に同じく重役として出向していたAさんが海外の技術員研修を目的に立ち上げた、NPOに拾って貰ったことだ。
 そのお蔭で大した能力もない私が、80歳まで陰の仕事が主だったが、何とか国際貢献に少しでも携わることができたし、弁当代や交通費の名目のいくらかの手当で家計の助けにもなり、家内から粗大ゴミ扱いにされずにこれた。

 詰まり私は、
・バブル真っ最中で膨張に続く膨張からくる人材不足を埋めるための出向だったこと、
・その業務が、私の専門だったこと、
・当時の国際貢献の波に私の海外勤務の経験が活かされたこと、
などの幸運が重なったのだ。

 私たちのNPOの主な業務は、政府の直轄のJICA(現在は国際協力機構に改編)の委託を受けての海外技術員の研修だった。
 そこで私は始めて政府関係者のことを直接、間接に知ることが出来た。

 私たちのNPOが一番困ったのはJICAの職員が約2年で交代することだ。
 その為海外事務所から来た人など技術研修など何も知らず、やっと覚えた所で直ぐ転出してしまう。
 そうかと言って委託先の人にその仕事の説明を受託機関の人が説明するのも可笑しいし、と言う訳だ。

 JICAの関係者としては、私どものNPOに丸投げ状態で、我々に来る指示はJICAの基本方針の変更とか、NPOが提出する予算の数字の間違いなどの指摘だけと言うあり様だった。
 NPO側としては予算の枠内では自由にやれることが出来た一方、NPO側自身にも問題があったが話が逸れるので省略する。
 唯言えるのは委託先のNPOにJICAが殆ど指導することが無かったと言うか出来なかったことだ。

[天下りと官僚組織]
 万が一にJICAから私のいたNPOに天下りを打診されたら、余程のことが無い限り、NPO側は断るだろう。
 何故なら彼らはゼネラリストではあるが海外研修専門のスペシャリストではないから、来て貰っても役に立たないからだ。

 これが一般官庁からの天下りを一般の民間企業で受け入れるのも同じことだ。
 技術畑の人や医学の専門家などのスペシャリストの場合は殆ど問題ないどころか喜んで受け入れるかもしれない。
 然しゼネラリストとして育てられた人にたいしては、本人の官庁で培われてきた潜在的能力を考慮して何らかの使い道を考えて受け入れるのだろう。

 然しそれも不足している人を官庁から押しつけられた場合はどうするか。
 私の場合は出向にあたり不得手な営業をやらない条件を出したが、官庁も本人もそのような条件も出せない
 官庁によっては、本人を受け入れれば、受け入れ先にもいいことがあるようなことを匂わせる所もあるかもしれない。
 だから受け入れて貰った本人達も余程厚かましく無い限り、営業に走るしかない。
 詰まり出身官庁から仕事を取ったり、今まで仕事を出していた民間企業に、出身官庁の名をちらつかせて仕事を貰ってくることだ。
 そこから談合や不正受注、今回の守屋さんのような収賄などの不正行為が起こる可能性を秘めている。(なお守屋さんの相手の宮崎元伸さんは自衛隊出身)

天下り問題の解決策
 天下り問題解決のためには平凡だが次の方策しかないと思う。
1.官僚の育成には、民間企業で受け入れて貰えるような教育をすること。
 その為に、民間企業への出向なども考えること。
 これは出向先との依怙贔屓を産みやすい反面、官僚が現場を知ると言う大きなメリットがある。

2.官僚組織と言う密閉社会で一生を完結する人事制度を考える。
a.一人が昇進すれば、同期の人が余所に出される現在のシステムから60歳まで官庁内で働けるように変える。
b.関係の今までの独立法人(下記参照)などの人事管理を一本化して、同法人への出向でなくて、転勤とする。
・当然に給与体型も一本化する。
・だから今までのように法人を変わる毎退職手当を出さずに、最後の法人を退職するとき一度だけ出すようにする。
 詰まり今までの直轄の独立法人は全て省庁の外局扱いにする
 民間会社の連結決算の考えかたを導入し、予算も全て省庁の予算に一本化する。
・当然に特別会計も無くす
然し、この様な世間と隔絶した空間を作って良いかとの基本的な問題が起こる。
そこで考えられるのは3.のような折衷案が良いのかもしれない。

3.1.と2.の考え方の両方を採用する

 今まで続いてきた官僚組織を変えることには大きな問題もあり、大きな抵抗もあると思うが今の政治制度と併せて、今後絶対に進めて行くべきだし、また何年が何十年か先か判らないが何時かはそうなると思う。

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