普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

グローバル資本主義の見直し

2008-12-23 16:18:48 | 企業経営

 昨夜の私たちの英字新聞輪読会では珍しく早く終わったので、残りの時間は雑談に終わりました。
 話題はいつものようにあちらことらと飛んで、非正規社員のホームレス化、EUの中でワーク・シェアリングをしている国、俗悪犯罪の続出、鬱などの精神病の一般化、浮き世離れした日本の国会などなど。
 私の「小泉さんが自民党を壊すと言ったが、今は日本も壊わしかかっているような気がする」との意見を出しましたが、「今このようなことが起こるなんて誰も想像しなかった」と年寄りの私にやんわりと反論されました。

 たまたまその夜ネットを覗いていると産経の「正論」に多摩大学教授の中谷巌さんの「世界大不況をどう克服するか」と言う論文を見つけましたのでその内の日本として考えなければいけないと思う部分を紹介します。
各国一丸での財政出動とグローバル資本主義の見直し
 世界経済は大不況局面に入った。この不況を克服するには少なくとも3、4年、長ければ数年の期間が必要なのではないか。
 重要なことは、日本を含む世界各国がこのことを深く認識し、協調して大規模な財政出動に踏み切ることである。間違っても自律的回復に委ねるといった新自由主義的発想に回帰するようなことがあってはならない。グローバル資本を国境を越えて自由に動き回らせることが「正義」であるとした新自由主義こそ、今回の危機の主たる原因であることを思えば、それは間違いなく自滅行為である。
・市場原理主義とは決別を
 アジア通貨危機は、グローバル資本がちょっとした情勢の変化をきっかけに大量に流出したために発生した。今回も、アイスランドのような小国に分不相応な巨大な資金が流入し、一時期、同国は未曾有の繁栄を享受したが、今度は一転して、それら資本が大挙して流出したため、国の存亡を問われるほどのダメージをうけた。
 このように、グローバル資本という名の「モンスター」に「鎖」をつけないことには世界経済は、今後とも極度に不安定な状態に身を任せざるを得なくなる。しかし、人類が「自由」という禁断の実を食べてしまった以上、人間は「自由」を完全に捨て去ることはできない。「自由」のない計画経済では元も子もなくなる。
 他方、だからといって、資本の側から出され続けるであろうとめどもない「自由」への要請に対して、適度の自制を求めるような強力な国際的取り決めができなければ、世界経済は「自由」によって滅びることになるだろう
 子供が父親からの厳しい躾なしには健全な大人として育ちえないように、グローバル資本主義が健全な地球市民として成熟するためには、それ相応の厳しい国際的な規制が必要なのである。この点についても、国際協調は待ったなしである。少なくとも、規制などなければないほどよいという「市場原理主義」とはわれわれはもうそろそろ決別しなければならないのである。

 私はこれを見ていて欧米各国が世界中を植民地化した後、日本も同じ真似をして最後に日本だけが侵略国家と決めつけられると言う「ババ」を引いた ことを直ぐ連想しました。
 勿論この連想は正確ではありませんが、グローバル化の名前のもとで、日本も欧米各国の真似をしなければ、乗り遅れてしまう と言う強迫観念で同じ船に乗ってきたのでしょう。
 輸出に頼る日本としては、市場主義経済の恩恵を受けて来ましたし、逆に中国の台頭で競争力が相対的に低下し、その対策として賃金が安くて何時でも首切りが出来る非正規従業員の採用で何とか凌いできましたが、結局は金融・経済の危機で中谷さんの言う様なグローバル化の波に日本も翻弄されているのでしょう。

 私は06年の8月のその場凌ぎの政治から抜け出すために
から何度か米国型の市場経済中心主義、米国中心の経済、そしてそれが少し可笑しくなりかけている今でも米国追随一辺倒でよいのか、など日本の実情や日本人の心情にあったシステムの導入など、基本的な問題を考えるシンク・タンクの必要性を書いて来ました。(*注記)
 そして私の心配が幸か不幸か殆ど当たってしまいました。
 然し素人の悲しさで、今回の金融危機に際しての米国と欧州各国の対応の差を見て判るまで、自由主義経済やグローバル化の話には首を捻っていても、それが正確には米国型の自由主義経済やグローバル化であることを始めて実感しました。

 日本は米国のヘッジファンドのためにアジアの通貨危機が起こったときはEU各国と協力して、自信をも持って自由主義という名の金融資本の横暴を止めるよう米国に注文をつけるべきだったような気がします。
 それが安倍さんの言う主張する外交です。
 然し事実は飽くまでも米国追随一本槍で今までやってきました。
 多くの企業は米国を真似た成果主義の導入で日本の強みだったチームワークが弱まり、生産工場では派遣社員という名のロボツト化で何時でも首を切られると言う、かっての家族主義的経営から、かさかさした米国型の経営になってきました。
 米国並みの経営をすれば結局は資本力の差、中国のように低賃金と言う競争力の差で勝負が付いてしまいます
 今回の日本で起こっている非正規社員の首切りに伴う問題の原因となっている労働者う派遣法など労働者問題の関係法案の見直しも中谷さんの言う様に何もかも自由でなくて、何らかの規制(私の意見では日本人の心情にあった)を加えるべきだったと思います。
 そうしなかったために今回の問題についても大企業は減産を決めただけで、「首を切ったのは、請負会社か派遣会社なのでその責任は彼らにあるので、後のことは知らない、それから先は行政の責任だ」と言う日本人の心情に反した好き勝手な発言になるのです。(もっとも世論の反発に会って何社かは契約が切れてあとも宿舎を期限付きで提供し始めたようですが。)

[日本のこれから]
 経済面で言えば、中谷さんの言う規制のかかった自由主義経済、私のようなずぶのど素人でも判るような、米国中心の経済の見直しや、日本の国情や国民性にあった日本型市場主義経済への見直しをし、そのような日本の考え方を世界へ発信する時期が来ているような気がします。

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*注記:参照[その場凌ぎの政治から抜け出すために]シリーズの関係分
      その場凌ぎの政治から抜け出すために (06/8/09)
      石油問題と米国との関係の見直し (08/01/20)
      日本経済と社会問題の見直し (08/01/23)
      その場凌ぎの政治から抜け出すために(3) (08/08/14)
      評価の高い日本型経営 (08/11/23)