党首討論についての各社の社説を見ました。
そこで共通しているのは税財政や外交・安全保障に絞って党首討論を改めて開催することについて殆どの新聞が評価していたことです。
財源問題では、麻生さんの景気回復を前提に3年後には消費増税。鳩山さんの無駄遣いを徹底的になくす、4年間は消費税の増税はしないという議論に対して各社の社説の反応は、
・読売
対麻生:言及無し
対鳩山:210兆円のうち、国債費など削減が困難な費目は計180兆円。残り30兆円から20兆円を出すとの主張は非現実的。
・朝日
対麻生:「それでは選挙が戦えない」という反発が与党内にある。本当に選挙公約に掲げられるのか、疑問が残る。
対鳩山:節約だけで10兆円もの財源を生み出せるという主張に説得力がない。
・毎日
対麻生:責任政党をアピールしたいのなら、自民党の政権公約で消費増税の扱いを決定すべきだ。
対鳩山:党が掲げる年金制度改革などとの整合性も含め、より踏み込んで社会保障財源について説明する責任がある
・日経
対麻生:言及無し
対鳩山:財源の具体的な裏付けは示さなかった
両党ともマニフェスト作りは遅れており、政権交代の可能性をはらむ衆院選に向け、有権者に十分な判断材料が提供されているとは言い難い
・産経
対麻生:言及無し
対鳩山:社会保障の将来像について、安定財源の議論抜きで語るのは責任ある姿勢とはいえない
これらの社説や注記のような産経の【党首討論】(4)麻生首相「民主の財源論は現実性欠く」の報道を第3者から見ても、少なくとも財源問題に関しては、明らかに鳩山さんが不利の形勢です。(*注記)
[民主党へ]
公務員制度改革の期待を担う民主党の一番の弱点は財源問題のようです。
少し引っ掛かるのは一般会計と特別会計を合わせると210兆円のから10兆円程削減できると言う項目の中で、公共事業などは判るとしても人件費です。
公務員の中には社保庁職員の様に酷いのもいますが、大半は善良な人達ばかりです。
だからその人達を要らなくなっても(今の制度では社保庁職員も含めて)解雇する訳には行きませんので自然減を待つしかなく、合理化の効果が出るのは数年~十数年かかりますから、財源を直ぐひねり出す訳には行きません。
残る方法は希望退職ですが、終身雇用確実な公務員を今辞める人は退職間近の人を除いてはごく僅かと思います。
昨日も書きましたが、民主党は麻生さんや与党やマスコミの批判に充分に耐えるような、そして国民が納得するような財源確保の確実なやり方を纏めて公表することです。
鳩山さんの発言は「出来る筈だ」とい言う仮説に立って、消費税は4年間論議させしないと断言しましたが、各社の社説にあるように、誰が鳩山さんの説明を信頼するでしょうか。
民主党は今の勢いに有頂天にならず、実行確実な政策の立案と、その政策でひねり出した財源を使って次の政策へ進む具体的なスケジュールを国民に示すことが、衆院選の勝利を確実にする方法だと思います。
[自民党へ]
今回の党首討論では、少なくとも財源問題では麻生さんがポイントを稼ぎました。
そして次回の党首討論は税財政や外交・安全保障問題がテーマなので、この点でも麻生さんがまたポイントを稼ぐことになると思います。
然し、幾ら自民党へ贔屓目で見ても、それで麻生内閣や自民党の支持率が上がる訳でも無く、次期の衆院選に有利に働くとは思えません。
私は何度も自民党のウィークポイントである、公務員制度改革への弱腰姿勢?麻生さんのリーダーシップ発揮不足、それを発揮するように応援する筈の自民党の烏合の衆化を書きました。
傍目八目ではよく分かることが出来ないのは、素人では判らないお家の事情があるのでしょう。
私は、それなら自民党は敗戦覚悟で腹を据え直して、麻生さんが主張し、朝日や毎日が言うように、消費税増税の公約など、国民に媚びない筋の通った政策の立案をして、堂々と民主党に戦えば、あるいは活路も開けると思うのですが。
そうすれば、民主党も「たら、れば」の政策でなくてもっと足が地についた政策を立てるほかなく、自民・民主両党のいずれが勝っても、日本の利益になると思うのですが。
然し、中川秀直さんたちの言動などみると、こんなことを考えるなど素人の甘さなのでしょうか。
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*注記:党首討論の内、本文との関連事項
鳩山:一般会計と特別会計を合わせると210兆円ある。この210兆円の中で、社会保障費、国債費など削れないものがあるが、公共事業、施設費、人件費、補助金など費目を併せると70兆円になる。 (鳩山さんの発言のまま)この70兆円の中の10兆円程度、私どもは、例えば随意契約を見直すとか、不要不急なものを後に回すとかして、当然の話でわれわれは10兆円くらい削減できる。
だからこのようなことを行っていけば4年間の間、われわれが政権をとっても消費税の増税はしないとここに明言する。
麻生:210兆円の内、国債費80兆円、社会保障関係費70兆円、地方交付税関係で20兆円、財政投融資に約10兆円で残り約30兆円になるがその中には文教関係で、6・5兆もでている。210兆円から20兆円出てくるかのごとき話(麻生さんの発言のまま)は現実論を欠いている。
鳩山:210兆円を官僚のやり方の仕分けをするのではなくて、施設費とか、人件費とか分け精査した結果だ。社会保障費も全部がまったく切れないものではない。(以後前記の発言の繰り返し)
麻生:「鳩山代表は前回の党首討論の中においても、4500の団体に、2万5000人の天下りOBがいて、そこに12・1兆円のいわゆる国の予算が流れていると主張していた。12兆1000億円の中には、教育に1兆2000億円、独立行政法人に3兆7000億円でその中には、住宅金融支援機構に3000億円などを含む。民主党は12兆1000億円が全部、天下りOBの人件費かのごとく話しているが、12兆1000億円のうち、人件費は0・8%しか使われていない
鳩山:人件費など言っていない。12兆1000億円のなかで、8兆4000億円は随意契約だから減らせない話じゃない。12兆1000億円全部が無駄なんてことは言っていない、その中に、かなりの部分、削減できるものがある。
麻生:約12兆円の約半分が随意契約というが、競争入札以外はすべて随意契約という計算をしている。財政投融資資金(麻生さんの説明では約10兆円)の貸し付け随意契約であろうはずはない。随意契約でも(旧)防衛施設庁なんかのライセンス契約というようなものが約2兆円随意契約になる(のは仕方がない)。