私は昨日のブログで「日本の将来像」などと大きなことを書いた中で、「素人のエントリーなので書き漏らしなどがあるか判らない」と言い訳をしていましたが、早速友人から[国は今までの規制緩和、自己責任という放任から、適度なブレーキを効かせた緩やかな政府の介入に方針転換する」と書いているが、金融政策に就いてのどう考えるかの記述が抜けているという指摘がありました。
私は友人の指摘に応えたいのですが、金融や経済は全く素人なので、森本紀行さんの「HC asset from HC」の中の金融危機にみる日本型金融モデルの理念と小泉改革の功罪の記事から抜き書きで要点を拾ってみました。 (基本的に私は森本さんの考えとほぼ同じです。)
・オバマ大統領の意図する改革はレーガン大統領の「平均から格差へ」の改革の逆転で、「格差から平均へ」へ向かうものだ。
・日本では、ここまで遅れたならば、むしろやらないほうがずっと良かったという時期になって、小泉内閣が「構造改革」と称して打ち出した(平均から格差への)路線だ。
*深刻な金融・経済危機の中、オバマ大統領がで過去30年間の路線の転換を始めようというときに、その少し前に、20年以上も遅れて、小泉内閣が「構造改革」の名の下に、一世代前の古い理念を打ち出したことは、結果的に随分と時間の巡り合わせが悪かった。
・小泉改革は、郵政民営化に象徴されるように、金融制度改革に大きな力点を置いた。
*小泉内閣は戦後復興型の金融モデルが、それなりの機能では満足しなかったか、放っておくと機能不全に陥るリスクを認識したかで、「改革」を断行することにしたのだろう。
・改革後の日本の金融システムは、この危機に有効に機能しているのだろうか。少なくとも、日本の外では、危機の原因を作ったともいわれるだけに、抜本的改革なしには、機能し得なくなっているようだ。
・現在の金融システム公的介入によって、かろうじて機能しているのが現状だ。
・今の日本の金融は、小泉改革の成果により、危機(時期の間違い?)を失した改革の結果として、機能が低下しているのではないか。
・戦後日本において、世界に誇るべき経済成長を実現するについて、日本の金融システムが、きわめて重要な役割を演じた。
*1980年代以降の低成長経済へ移行する過程では、何らかの本質的な改革が必要だった点については否定できないでい。
・日本型の金融システムの基本は、徹底した所得の平準化によって大衆消費需要の拡大を志向するという、経済政策の結果であり、また推進力でもあった。
即ち、小口な預金を限られた数の金融機関へ集積して巨大な資金の塊を形成させ、それらの金融機関が投資主体となって、産業界へ投融資を行うという仕組みで、保険もそうだ。旧郵政省の郵便貯金と簡易保険もまったく同じ仕組みだ。
*民間の金融機関についても、資本の集積を優先させるあまり、規制という名のもとにおける過大な保護政策がとられている点に、小泉改革の穂先が向かったのだ。
*日本型金融システムは、1980年には、戦後復興という役割を終えていたので、その改革を断行した小泉内閣は間違ってはいないのだろう。
・問題は、なぜ20年遅れなのか、そこまで遅れたならば、別の改革路線を検討すべきではなかったのか。
・低経済成長への移行に伴う産業界の資金需要の後退と、旧来と変わらない金融機関の強力な資金調達の仕組みとの間に、大きな不適合が生じ、巨額な余剰資金が不動産へ向かったのだ。
・10年前の金融危機、小泉改革を経てさえも、日本の金融機関には変わらない「強み」がある。それは、日本の金融システムの個人貯蓄の支配力だ。個人金融資産1500兆円といわれるが、その過半が預貯金と保険だ。
・金融の規制緩和や、ペイオフの解禁などによって、いかに政策的に貯蓄から投資への転換を進めようとしても、国民の貯蓄に関する志向は変わらないので現実だ。
・それなら、全く別な視点から、強みとしての価値をこそ、見出すべきなのではないか。
・金融制度改革は、経済システム全体の改革の中で行われることだ。
*小泉改革も、金融改革をはじめとした経済の全体的な構造改革を志向した。今後の改革路線を徹底すれば、貯蓄構造も変わり、最終的には、金融の構造も変わっていくのかもしれない。そのためには、 (竹中さんの言う様に)改革を徹底する必要があるが、今は、そのような改革を徹底するときだろうか。
*1980年代以来の改革路線が、完全な行き詰まりをきたし、オバマ大統領が路線の転換を宣言した今このときに、旧路線の改革を徹底するのだろか。
・日本の金融システムは、貯蓄における銀行預金の比重が大きく、米国に比較して、社債等の直接金融市場が、著しく小さいことが日本の特色だ。今回の金融危機は、この市場金融を直撃したので、その比重の小さい日本の銀行の損失が相対的に小さいのは当然だ。
・今、この日本の金融の強みを、改めて見直すことが必要なのではないか。日本の金融は、その強みを生かした活躍ができているのか。もしも十分な活躍ができていないとしたら、それは、小泉改革が不徹底だからではなく、本来の強みを忘れていることにある。
・日本の金融機関が、強力な貯蓄市場での力を背景に、投融資型の積極的な資金供給を産業界に行っていた時代、金融が経済とともに成長し得た時代に、今と将来を考える重要な鍵があるはずだ。
・古いシステムに戻ることはできないが、方向感覚を失ったとき、常に参照すべきは、古き良き時代の理念だ。
[私の感想]
・ネット上では小泉改革は米国の年次改革要望書に忠実に従っただけだと言う批判の多い中で、冒頭に(*)を付けてある文章にある様に筆者は小泉改革の意義をそれなりに認めていることから、逆に筆者の小泉改革への批判の公平さが判るような気がします。
・筆者が言うように、また昨日のブログでも書いたように、日本は日本の環境に合った改革を行うべきだし、日本の古き良き時代の理念を、古いとして一概に捨て去るだけでなく、いつもその良い所を参照すべきだと思います。
・18日共同によれば、米上院は18日、オバマ大統領が提案した金融規制改革案について初の公聴会を開き、大手金融機関の監督を一元的に担うことになる連邦準備制度理事会(FRB)の権限拡大の提案をしたそうです。
私は前にも書いたのですが、
・世界の列強の植民地化が飽和状態になったとき、日本が国土の拡張をし(但し合法的)→関東軍の暴走→第二次世界大戦勃発→結果的に日本が世界的な植民他開放の引き金を引く→その日本が侵略国の汚名を着せらる
・小泉さんは経済環境の変動期に米国型の金融・経済改革路線を取る→米国型の金融政策の破綻→世界で一番安定した金融機関を持つ日本が世界一の経済的打撃を受ける→オバマさんの路線偏向で米国一本槍路線の梯子を外される
という二つの大きな動きと重ね併せて考えて仕舞うのですか。
・機を見るに敏な小泉さんは情勢の変化を察知して?さっさと引退して仕舞った後、残った中川秀直さんや竹中さんがいまだに経済成長や小泉改革推進を唱えています。
何度も書く様に、日本は日本の環境に合った政策を日本自身の頭で考え、日本自身の手で実行するほかないと思うのですが。
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