重いゴミ袋
昨年、晩夏の頃だったと思う。早朝に自宅前で体を動かしていたら、小柄で腰の曲がったお婆さんが両手にゴミ袋を持って歩いているのを見かけた。そばにあるゴミ捨て場に捨てるのだろう。刈った草を捨てたらしいそのゴミ袋は、土も混ざっていかにも重そうだった。手伝った方がいいかと思ったが、躊躇してしまった。ゴミの回収は明日なのだ。
ちょうど道徳について考えていた時期でもあった。ご老人を手伝うべきか、回収日のことを伝えるべきか。どちらが行動としてより良かったのか。思い出しながら考えたのは、道徳的な行動には「ルールを守ること」が含まれるが、ルールを守っていれば道徳的であるとは言い切れない、ということだ。強権的に制度政策が決まっていく今、個人の状況や思いがルール(法制度)と切り離されながら、「ルールを守ること=道徳的(とるべき行動)」という構造になっていそうで怖さを感じる。その中で道徳が教科化されることにも。
自宅前でまごまごしていたら、お婆さんが戻ってきた。回収日に気付いてゴミを取りに来られたらしい。少しホッとして、運ぶのを手伝った。
【波風立男氏から】新しい座付きブロガー「こめさん」による『こめの学習帳』も6回目。凡師さんや腹ペコさんとも一味違う「こめ」の風味。今回は題名も効いている。毎週が楽しみですね。