久しぶりに、やる気湧く一冊「ニッポンの風景をつくりなおせ」。ためになっても、面白いはなかなか無い。この本、①抜群な商業デザイナーが、②一次産業で汗する人の魂を、ひょうひょうと、だが単刀直入にズバリ表現する凄さで、③デザイン化した前後でまるで違う世界を提示。とても面白い。全ページ洗練されている。
扉に「一次産業にDesiginをかけあわせると…▼新しい価値が生まれる ▼新しい価値は経済となる ▼経済がうまくいけばその一次産業は生きのびる ▼そして風景が残る。」と記し、「一次産業×Desigin=風景」の方程式でニッポンの風景を残そう、とある。繰り返しになるが、梅原真氏のデザインは、シンプルにして先鋭的、かつ庶民的という、およそ矛盾のはずを軽々と乗り越えてしまう。味があって無駄が無いから強い。
作者流に言うのは実におこがましいが、もう還暦だから遠慮無く言わせてもらう(笑)、「学校×デザイン=連携」が立男のもともとの考え方だ。「良い学校にしたい」という心をデザインで形にする、それはほぼ「ブランド」の考え方だ。「こういう形にしたら、もともとある凄い価値が誰にでも、自分自身でも気づかなかった世界が見事に見えてくるよ」という感じだ。町おこしをこういうふうにして提案する、考えをこんなふうにデザインする人間がいるのだ!規模が大きな共通理解になるほど、そこには言葉、音楽、絵…を使った優れたデザイン力が ある。
併読は 「ほどほどの恋」(香山リカ著:東京書籍)。書名は軽いが、真剣で個人的な対人関係に表れる驚くような現象(オジサン的に)を、精神科医として分析する「言葉」の使い方が何とも柔らかく親しみが持てて面白かった「エリック」(ションターン作、岩本佐知子訳:河出書房新書)は、「遠い町から来た話」(同)の中の一話の小型本化。本体の方を読み直し、メルヘン苦手な立男だが「良い話だ」と思った。繊細な鉛筆のイラストが超現実的世界に誘ういつ積もったんだ?朝5時半から約1時間の雪かき。真面目にやっていると、ブルも親切にしてくれる。