電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

物語の構造

2006年06月05日 20時02分18秒 | 読書
平岩弓技さんの『御宿かわせみ』シリーズをずっと取り上げていたとき、各話の一つ一つに短いコメントを入れたいと思いました。そのために、通読した後にもう一度各短篇の流れをざっと読み返し、ちょっとしたコメントを考えるようにしました。
その後、ディケンズの長編でも章ごとに同じ手法を用いたところ、面白いことに気がつきました。一度通読しただけではとらえにくい物語の構造がよくわかるのです。なぜこの人がここで登場するのか、なぜこの事件が起こるのか。
宮城谷昌光氏が造型する物語でも、同じことが言えます。一見何気なしに挿入されたような印象的なエピソードが、実は後で重要な意味を持ってくる、という物語の論理的な構造。作者は物語の展開を上空で冷静に観察し、必要となる布石を確実に打っているのですね。

写真は、上空ですれちがうジェット機です。
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