梅雨に入り、蒸し暑い時期には、早朝に起き出して読書をするに限ります。歯の痛みの原因も判明し、朝のコーヒーも普通に飲めるようになりましたので、心安らかに読書三昧を楽しむことができます。このところ、文春文庫で宮城谷昌光著『天空の舟~小説伊尹伝』の上巻を五年ぶりに再読しておりました。作者のデビュー作だそうで、重厚な雰囲気を持つ作品です。
○
大洪水により壊滅した村で、空洞を持つ桑の大樹に乗った嬰児が伊水から東に流され、下流の国の君主の娘に発見されて救われます。桑の木から生まれた赤子は日の生まれ変わりとされ、料理人の夫婦を養父母として育てられますが、少年期に牛の解体に非凡な技を見せます。この少年が、この物語の主人公の摯(シ)、後の伊尹です。時は古代夏王朝の末期で、夏から商へ王朝が交代する革命期です。
夏の帝発は、少年の非凡さに目を留め、摯を宮中に招きますが、非道な嗣子桀により迫害されます。養父の死去により摯が帰国していた折に、商が反乱を起こしますが、誤解が誤解を生んで、有シン氏の国も反乱に呼応したとして、夏王と昆吾の連合軍に包囲されます。その頃、夏の帝発は薨去し、桀が即位していたのでした。あまりの驚きにどうやら脳溢血で倒れたシン后の嗣君はただうろたえるばかりです。摯は、美貌の后女・妹嬉を桀に差し出すことで全滅を免れることができると秘策を嗣君に提案し、事実そのとおりになるのですが、摯は冷遇され、街の外で様々に工夫しながら荒地を開き、農耕に従事し隠遁生活を送ります。
○
時は移り、兵車を有する商の力は増大し、夏の軍は敗退します。シン邑も商に制圧され、后の娘とともに摯も商軍に送られますが、摯はスキを見て脱出し、夏に逃げます。桀の正妃となっていた妹嬉は、実家が敵である商に寝返ったとされ、夏王の宮廷から離宮に移されますが、彼女は摯を連れていくのです。
○
再読とはいえ、登場人物も多く、ずいぶん移動も多いので、地理的な把握ができないとイメージをつかむのが難しくなります。文庫本の目次の後に添えられた「夏代末期概念図」を色鉛筆で塗りわけながら、古代中国の歴史に思いを馳せております。
○
大洪水により壊滅した村で、空洞を持つ桑の大樹に乗った嬰児が伊水から東に流され、下流の国の君主の娘に発見されて救われます。桑の木から生まれた赤子は日の生まれ変わりとされ、料理人の夫婦を養父母として育てられますが、少年期に牛の解体に非凡な技を見せます。この少年が、この物語の主人公の摯(シ)、後の伊尹です。時は古代夏王朝の末期で、夏から商へ王朝が交代する革命期です。
夏の帝発は、少年の非凡さに目を留め、摯を宮中に招きますが、非道な嗣子桀により迫害されます。養父の死去により摯が帰国していた折に、商が反乱を起こしますが、誤解が誤解を生んで、有シン氏の国も反乱に呼応したとして、夏王と昆吾の連合軍に包囲されます。その頃、夏の帝発は薨去し、桀が即位していたのでした。あまりの驚きにどうやら脳溢血で倒れたシン后の嗣君はただうろたえるばかりです。摯は、美貌の后女・妹嬉を桀に差し出すことで全滅を免れることができると秘策を嗣君に提案し、事実そのとおりになるのですが、摯は冷遇され、街の外で様々に工夫しながら荒地を開き、農耕に従事し隠遁生活を送ります。
○
時は移り、兵車を有する商の力は増大し、夏の軍は敗退します。シン邑も商に制圧され、后の娘とともに摯も商軍に送られますが、摯はスキを見て脱出し、夏に逃げます。桀の正妃となっていた妹嬉は、実家が敵である商に寝返ったとされ、夏王の宮廷から離宮に移されますが、彼女は摯を連れていくのです。
○
再読とはいえ、登場人物も多く、ずいぶん移動も多いので、地理的な把握ができないとイメージをつかむのが難しくなります。文庫本の目次の後に添えられた「夏代末期概念図」を色鉛筆で塗りわけながら、古代中国の歴史に思いを馳せております。