電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯泰英『秋思ノ人~居眠り磐音江戸双紙(39)』を読む

2012年06月27日 06時02分46秒 | -佐伯泰英
酒席の待ち時間に、ふらりと最寄りの書店に入ったときに、佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙』シリーズ第39巻『秋思ノ人』が刊行されているのを見つけ、さっそく購入して読みました。

第1章:「速水左近の再起」。物語の始まりは、山梨県の人が聞いたら怒り出しそうな「甲府勤番山流し」などという境遇にある速水左近さんの生活ぶりです。やっぱり清廉潔白、公明正大、誠心誠意、勤勉力行な日々を送っており、地元の人や下級官吏たちから絶大なる信頼を得ておりました。幕府の御側御用取次役であった速水左近さん、田沼意次に対して徳川御三家が勢ぞろいして速水左近の復権を要求したことで、総者番に任ぜられます。このお役目は、朝廷との対応なども含まれることになるのでしょうか、磐音が紀州滞在時に仲良くなった人たちとのご縁が出てきそうです。でも、それは江戸まで無事に帰れたらの話。
第2章:「抜け道」。速水左近の甲府出立を三日早めるようにと言う通達のおかげで、磐音らによる警護の計画は出遅れます。速水杢之助・右近の兄弟は、父を警護するために、磐音と霧子とともに出立します。そのころ速水左近の一行は、老中間が足を挫いてしまい、途中の温泉で療養中。
第3章:「待ち伏せ」。飛び道具を用いた待ち伏せに、弥助と霧子が活躍します。杢之助と右近の二人の息子が助勢に駆けつけると知って、速水左近さんは思わず感動したようです。磐音が登場した時点で、もう決着は着いたようなものです。磐音が強すぎるため物語になりにくいので、都合悪く間に合わない場面に周辺人物が活躍するように変えたのかもしれません(^o^;)>poripori
ただし、田沼意知が短気な佐野善左衛門政言を取り込もうとする動きを描いた場面は、後に重要な伏線となると思われます。
第4章:「戻ってきた三味線」、第5章:「果てなき戦い」。三味線作りの名人・鶴吉が田沼意次の愛妾おすなのために作った三味線を、遊び人のおすなの弟・五十次が持ってきたとのこと。鶴吉が磐音に伝えた情報は、やはり今後の展開に絡むものなのでしょうか。北尾重政や吉原会所の四郎兵衛など、懐かしの顔ぶれが再登場します。五十次を背後で操るのは、元黒鍬者の仁左衛門という男のようで、霧子さんは、仁左衛門の家に住み込みます。磐音vs田沼父子に加えて、怪しい第三の男の登場でしょうか。なんとなく、波乱が予想されます。おこんさんと空也クンは、申し訳程度に登場し、あまり大きな出番はありません。



佐野善左衛門という人は、もしかして田沼意知に切りつけた人?田沼父子の失脚のきっかけになるのが、佐野さんの短気な性格だとしたら、あまりぱっとしない結末になりそうなのですが、はたしてどうか(^o^;)>poripori

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