電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

TV番組「ポツンと一軒家」が西日本に多い理由

2023年05月03日 06時00分43秒 | Weblog
人気テレビ番組「ポツンと一軒家」は、土曜の昼の再放送?を楽しく観ております。人里離れたポツンと一軒家を Google マップで探し出し、テレビクルーが訪ねて行ってそこに住む人の暮らしぶりや来し方などを取材するという内容で、さまざまな人生が見られてたいへん興味深いものになっています。ところでこの番組、どうも舞台が西日本に多く、東北地方など雪国ではあまり出てこないように感じます。実際にどうなのかは不明ですが、もしその感じ方が正しいとしたら、その理由はおそらく冬季の積雪量にあるのではなかろうか。

高橋義夫著『風吹峠』(*1)などに見られるように、冬の雪国では道路と除雪が生命線です。健康不安をかかえる高齢者の場合、降雪があっても確実に除雪される道路があってはじめて安心して暮らせるというものです。逆に言えば、住んでいる人がいる限り除雪をしなければいけない市町村の財政的な負担や人手の確保の問題も大きく、また実際に未明から除雪業務に従事する人たちの苦労も大きなものがあります。そういったことを知っているだけに、雪国の山間部に住む人たちは冬季間だけ山を降りる生活を選択するのでしょうし、やがて里暮らし、町暮らしが定着していくのでしょう。それが、雪国にポツンと一軒家が少ない理由なのでは。西日本では、比較すると降雪量が少ないために、こうした面が浮き彫りになってこないからなのではないかと考えています。

当地は、山形県内には珍しい人口微増地域ですが、その背景にあるのは、山間部や多雪地域から里暮らし、町暮らしに移行する人たちの存在でしょう。サクランボ畑やリンゴ畑が宅地に転用され、ちょっとした小規模ニュータウンに変わっていくのを見ると、そうした社会的な変化が静かに進んでいることを実感します。

(*1): 高橋義夫『風吹峠』を読む〜「電網郊外散歩道」2009年12月
(*2): 果樹園と宅地化、原野化〜「電網郊外散歩道」2019年6月

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