「秋はブラームス」という言葉がありますが、私の場合はむしろ「秋のブラームス」を楽しむほうかも。先日、リンゴの収穫作業でブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴いたのをきっかけに、その後は晩秋のブラームス三昧となりました。とりわけ、このところご無沙汰していた「ドッペル」こと「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op.102」を繰り返し聴きました。若い頃にLPで入手して聴きましたが、その後CDを「CDクラブ」という通販で購入したものではなかったか。ずいぶん前に一度記事にしております(*1)が、やっぱりいいなあと、再度とりあげることとした次第。
このCDの解説によれば、1960年代の後半に、旧ソ連の新世界レコードの英米での販売権を持っていたのがEMIであり、ソ連のアーティストを西側で起用する契約を結んだのだそうな。まず1968年にギレリスとセル指揮クリーヴランド管によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集が録音され、翌1969年5月にはこの二重協奏曲と、もう一つ、オイストラフとのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」が録音されたのだそうです。録音ホールはクリーヴランド管の本拠地セヴェランス・ホールで、アメリカ楽旅の途中だったロストロポーヴィチとチェコへ演奏旅行に出かける前の休暇中だったオイストラフが合流して行ったのだそうな。
そういえば、オイストラフは1967年10月のクリーヴランド管の定期演奏会に登場し、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のソロをつとめた後で、オイストラフ自身がショスタコーヴィチの交響曲第10番を振っているようです(*2)。このあたり、彼らはまるで初対面なのではなくて、けっこう交流はあったのだろうと思われます。たぶん、セルとクリーヴランド管が1960年代の半ば頃にソ連に演奏旅行をした際には、ソ連の演奏家たちもどこかで聴いて、その音楽的な力量と達成度を承知していたのではなかろうか。ギレリスとのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(*3)も、ギレリス側からのリクエストで実現したらしいですし、彼らのつながりがこうした録音を実現する背景にあったように思えてなりません。
しかし、この演奏、いいなあ。全体に堂々としていて、しかもところどころにブラームスらしい繊細な含羞も感じられて、実にいいなあ。1970年EMI録音のほうのドヴォルザーク「交響曲第8番」とスラブ舞曲第3番が併録されています。ほんとにいいCDです。
(*1): ブラームス「VnとVcのための二重協奏曲」を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年7月
(*2): ブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年9月
(*3): セルとギレリスの『皇帝』(EMI盤)〜「日々雑録 または 魔法の竪琴」2007年7月
このCDの解説によれば、1960年代の後半に、旧ソ連の新世界レコードの英米での販売権を持っていたのがEMIであり、ソ連のアーティストを西側で起用する契約を結んだのだそうな。まず1968年にギレリスとセル指揮クリーヴランド管によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集が録音され、翌1969年5月にはこの二重協奏曲と、もう一つ、オイストラフとのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」が録音されたのだそうです。録音ホールはクリーヴランド管の本拠地セヴェランス・ホールで、アメリカ楽旅の途中だったロストロポーヴィチとチェコへ演奏旅行に出かける前の休暇中だったオイストラフが合流して行ったのだそうな。
そういえば、オイストラフは1967年10月のクリーヴランド管の定期演奏会に登場し、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のソロをつとめた後で、オイストラフ自身がショスタコーヴィチの交響曲第10番を振っているようです(*2)。このあたり、彼らはまるで初対面なのではなくて、けっこう交流はあったのだろうと思われます。たぶん、セルとクリーヴランド管が1960年代の半ば頃にソ連に演奏旅行をした際には、ソ連の演奏家たちもどこかで聴いて、その音楽的な力量と達成度を承知していたのではなかろうか。ギレリスとのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(*3)も、ギレリス側からのリクエストで実現したらしいですし、彼らのつながりがこうした録音を実現する背景にあったように思えてなりません。
しかし、この演奏、いいなあ。全体に堂々としていて、しかもところどころにブラームスらしい繊細な含羞も感じられて、実にいいなあ。1970年EMI録音のほうのドヴォルザーク「交響曲第8番」とスラブ舞曲第3番が併録されています。ほんとにいいCDです。
(*1): ブラームス「VnとVcのための二重協奏曲」を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年7月
(*2): ブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年9月
(*3): セルとギレリスの『皇帝』(EMI盤)〜「日々雑録 または 魔法の竪琴」2007年7月
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