正月の行事も終わり、静かな生活に戻りました。妻が「つまらん、つまらん」とボヤきますので、昔の録画DVDの中から、NHK木曜時代劇「風の果て」(*1)を一緒に観ました。
第1回 分かれ道
第2回 太蔵が原
第3回 春雷
第4回 出世
第5回 政変
第6回 最後の敵
第7回 果し状
第8回 尚、足るを知らず
三日前に第1回と第2回を、一昨日に第3回から第5回を、そして昨日は第6回から最終回となる第8回を観ました。原作は藤沢周平、脚本は竹山洋、2007年10月から12月にかけて放送されています。父がまだ存命で母もまだ元気、私はちょうど2回目の単身赴任の頃。妻は初めて観るといいますので、おそらくはまだ小・中学生の子供たちの世話で手一杯で、一緒に観るゆとりはなかったのかもしれません。私がDVDレコーダーに録画予約しておき、週末に帰宅してはそれを楽しみに観たのだろうと思います。今回、初めて観たという妻はこのドラマに夢中になり、すっかりハマっているようです。
でもねえ、この脚本は妻の性格がかなり改変されていて、原作とはだいぶ違うんだよ、などと意地悪なことは言いません。また、第8回はかなりの部分が原作にはない回で、おそらく制作上の都合を踏まえて脚本家が原作に対する自分の解釈を視聴者に披瀝したかったために追加したのでしょう。例えば野瀬市之丞との果たし合いの後にかつて一蔵の妻だった類が登場しますが、これなどは全く原作にはありません。市之丞は全く孤独と絶望のままに死んでいくのです。ただ一つ、救いは昔の友との勝負だったということだけ。一蔵の死と市之丞の歪んだ人生の原因となった類が、ここで思わせぶりに登場するなど、新たに付け加えられたシーンがどうも余計なことに感じられてしまうのは、原作の持つ余韻というか、読者の想像を許す余白の部分を削ってしまうからだと思います。ただ、連続時代劇というドラマ制作枠が残ったのはこれらの番組のお茶の間人気によるところが大きかったからかもしれず、その意味では「許せない!」などと騒ぎたてるほどのことではないだろうなあ。
むしろ、あの頃に録画しそこねた部分をちゃんと観てみたいものです。例えば市蔵が討たれる場面や太蔵が原の無理な開墾が失敗する場面などです。おそらくはNHKの正規DVDが完全な形で出ているはず。探してみましょう。
(*1): NHKアーカイブ「木曜時代劇 風の果て」
■『風の果て』関連記事リンク
(*2):藤沢周平『風の果て』上巻を読む
(*3):藤沢周平『風の果て』下巻を読む
(*4):「ながい坂」と「風の果て」
(*5):木曜時代劇「風の果て」第1回を観る
(*6):木曜時代劇「風の果て」第2回を観る
(*7):先週の木曜時代劇「風の果て」第3回
(*8):木曜時代劇「風の果て」第4回を観る
(*9):木曜時代劇「風の果て」第5回を観る
(*10):木曜時代劇「風の果て」第6回を観る
(*11):木曜時代劇「風の果て」第7回を観る
(*12):木曜時代劇「風の果て」第8回を観る
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