文春文庫で、藤沢周平著『海鳴り』上巻を読みました。読む前にさらりと眺めた文庫の表紙カバーの説明では、作者には珍しい不倫もののようで、重苦しいストーリーなのではとためらいの気分もあったのでした。でも藤沢周平の代表作の一つなのだから、やっぱり読んでおかなければと手にした次第。
紙問屋の小野屋新兵衛は、仲買いから始めて紙問屋の組仲間に入るまでに商いを伸ばしたやり手の商人です。しかし、中年にさしかかった頃、境遇や生き方等に疑問を持つようになり、一時は酒や女に迷った時期もあって、家庭内には不和を抱えています。そんな時に、紙問屋仲間の寄り合いで酒を強制された丸子屋のおかみが、帰り道、悪酔いに苦しんでいるのにゴロツキに付きまとわれるという不運に見舞われ、小野屋新兵衛に助けられます。新兵衛は近くの飲み屋の二階を借りて介抱するのですが、運が悪かった。その店は連れ込み宿のようなところで、しかも帰りを酒クセが悪く商売が傾いてきている塙屋彦助に見られたようなのです。彦助の恐喝はなんとかしのいだものの、どうやら薄幸らしい人妻おこうに対し、思いを寄せてしまいます。芸能人の不倫が記事のネタにされる現代とは違って、不義密通は死罪という江戸時代の世間は、禁断の愛を許さないのです。
紙問屋仲間うちでも、ひそかにめぐらされている陰謀のような動きもあり、小野屋の家庭内の不和もかなりリアルに描かれて、読み進めるのが苦しい面もありますが、一方で続きはどうなるのだろうと結末を見届けたい気持ちも強くなります。たしかに名作だと実感させるけれど、実はまだ上巻。
紙問屋の小野屋新兵衛は、仲買いから始めて紙問屋の組仲間に入るまでに商いを伸ばしたやり手の商人です。しかし、中年にさしかかった頃、境遇や生き方等に疑問を持つようになり、一時は酒や女に迷った時期もあって、家庭内には不和を抱えています。そんな時に、紙問屋仲間の寄り合いで酒を強制された丸子屋のおかみが、帰り道、悪酔いに苦しんでいるのにゴロツキに付きまとわれるという不運に見舞われ、小野屋新兵衛に助けられます。新兵衛は近くの飲み屋の二階を借りて介抱するのですが、運が悪かった。その店は連れ込み宿のようなところで、しかも帰りを酒クセが悪く商売が傾いてきている塙屋彦助に見られたようなのです。彦助の恐喝はなんとかしのいだものの、どうやら薄幸らしい人妻おこうに対し、思いを寄せてしまいます。芸能人の不倫が記事のネタにされる現代とは違って、不義密通は死罪という江戸時代の世間は、禁断の愛を許さないのです。
紙問屋仲間うちでも、ひそかにめぐらされている陰謀のような動きもあり、小野屋の家庭内の不和もかなりリアルに描かれて、読み進めるのが苦しい面もありますが、一方で続きはどうなるのだろうと結末を見届けたい気持ちも強くなります。たしかに名作だと実感させるけれど、実はまだ上巻。
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