電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

午後の秋風が涼しい〜サクランボ果樹園の施肥

2022年09月15日 06時00分57秒 | 週末農業・定年農業
秋は翌年の実りを準備するために、果樹が肥料を必要とする時期です。サクランボの場合、収穫を終えた直後の7月に一度肥料を散布しますが、今の時期、秋の施肥が本命です。日差しはまだまだ暑いのですが、秋風が涼しい午後、サクランボ果樹園で肥料散布を実施しました。まずは N-P-K-Mg-Mn-B を配合したペレット状の肥料を 100kg ほど散布。空になった袋が風で飛ばないように、重しを載せて作業をすすめ、写真は最後の一袋を散布するところです。肩掛け式の散布器具は、1回でおよそ15kgを散布することができます。背中にずっしりと重みを感じながら、果樹園内を散布してまわります。ただし、こういう化学肥料だけでは土が痩せていくようで、この他に堆肥を散布する必要があります。お値段は堆肥のほうが圧倒的に安価ですが、散布作業は段違いの労力が必要になります。これから合間を見て作業をしますが、私もしだいに年を取ることを考えると、長い目で見て経営規模を縮小=本数を少しずつ減らし、さまざまな作業の負担を軽減していくことが重要になると考えています。



堆肥といえば、窒素・リン酸・カリという肥料の三要素を明らかにしたリービッヒが自説に自信を持つあまりに堆肥など有機肥料不要論を唱え、農芸化学などを通じて19世紀末〜20世紀初頭の頃にだいぶ影響を与えていたようです。当然のことながら、明治大正昭和の初期まで、学者は土壌を測定して必要な化学肥料を計算し投入することを重視、現場の百姓は伝統的な堆肥を重視するという落差があったようです。計算した結果に従って化学肥料を投入し米の良好な収穫が得られるところが、化学肥料の購入が負担となって借金経営になり、さらに肝心の稲穂が倒伏してしまうという弊害が出ます。現代の目でふりかえるとチッソ過多で倒れるケースもあったでしょうが、堆肥に含まれる「窒素・リン酸・カリ」以外の成分、例えばケイ素やホウ素などの微量栄養素が不足し、風で倒れてしまいやすい弱い稲になってしまう面もあったようです。現代の「堆肥+化学肥料」というやり方は、この弊害を踏まえた上で、農家の経験と農芸化学の知見を組み合わせたものと言えるのかも。


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