電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

コクヨのキャンパス・ハイグレード澪と万年筆・インク

2014年03月16日 06時02分37秒 | 手帳文具書斎
今年の備忘録ノートは、コクヨのキャンパス・ハイグレード澪を再び使っています。主な筆記具は万年筆で、使用頻度としてはプラチナの古典ブルーブラック・インクを「ブルゴーニュ(F)」と「カクノ(M)」に入れて使う場合が多く、「プレラ」+色彩雫「朝顔」の組み合わせがこれに次ぎます。

澪ペーパーは、ごく薄い紙ですので、裏抜けや裏写りが懸念されるのですが、古典ブルーブラックはこの点ではたいへん優秀で、裏抜けは皆無、裏写りも合格でしょう。太めのペンで黒インクだと、さすがに裏からでもかなりわかってしまうのですが、青系だとそれほどでもありません。



色彩雫「朝顔」では、裏抜けはごく少ないのですが、まれに抜けることがあります。どうも色彩雫シリーズのインクは裏抜けしやすいインクのようです。

筆記感は、どちらかといえばサラサラ系で、筆記抵抗というか摩擦力は少ない方ではないかと思います。しっかりとした厚みのあるツバメノートの中性フールス紙とは方向性の異なる、独特の書き味です。また、紙厚の薄さから、スクラップを貼り付けてもそれほど強烈に厚くなりにくい点も長所でしょう。

総じて、澪ペーパーは、薄いけれどもしっかりした紙で、キャンパス・ハイグレード澪は高品質を手軽に味わえる良いノートだと感じます。

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コンサートホールソサエティ『音楽通信』のスクラップを発見

2014年03月15日 06時07分56秒 | クラシック音楽
過日、休日を利用して書棚を整理していたところ、昔懐かしいコンサートホールソサエティの『音楽通信』のスクラップが出てきました。B6の小冊子が隔月で届いていたものを、退会後に興味あるページのみ破り取って残したらしい。おそらくは高校生の頃、1960年代末~70年代初頭のものと思われますが、当時の興味関心の方向がわかります。主な記事のタイトルを列挙してみると:

「作曲家交友録~ベートーヴェンからリストまで~」藤田由之(14頁)



「ベートーヴェンの生涯とおもなことがら」柳川操(15頁)、年譜形式による生涯の概説と作品番号順の楽曲便覧。






「第一楽譜見学レポート」音楽通信編集室・依田英昭(16頁)、写譜から印刷まで、電子組版以前の楽譜印刷の現場。




「作品番号、作品記号のはなし」中村洪介(10頁)



「レコードとオーディオの歴史・その1~池田圭先生を訪ねて」音楽通信編集室・吉沢孝子(7頁)



「レコードとオーディオの歴史・その2~池田圭先生を訪ねて」音楽通信編集室・吉沢孝子(7頁)
「レコードとオーディオの歴史・その3~池田圭先生を訪ねて」音楽通信編集室・吉沢孝子(8頁)、4chステレオの話題も。
「レコードプレス工場見学記~カッティングからレコードのできるまで」音楽通信編集室・依田英昭(10頁)
「ある会話~ロシア人の名前について」鮎川哲也(6頁)、~スキィと~スカヤのような、ロシアの人名についての知識。

というような内容です。

ふーむ。音楽史の主要なところを話題としたものや、Op. K. BWV といった記号の意味、あるいは楽譜やLPレコードのできるまでといった内部レポートなどに興味を持っていたことがわかります。B6判の小冊子ではありましたが、縦二段組のレイアウトと小さいポイントの活字のおかげで、内容はかなり充実しておりました。こういう、入門から一歩突っ込んだところが、高校生~大学生の時分の好奇心を刺激し、よく見返す資料的価値を認めてスクラップしたのだろうと思います。

今では WEBで多くの情報を集めることができますし、作品番号順でも年代順でも、楽曲の一覧を眺めることができますが、全体像を知ることができるコンパクトな概説というものは、今でも意外に少ないのかもしれません。

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豪雨・豪雪になる理由は

2014年03月14日 06時04分22秒 | 季節と行事
近年は、極端な豪雨や豪雪が多くなっているように思います。想定を超えた雨量で、過去に経験のない事態となり、避難警報を出すかどうか、ぎりぎりの判断を迫られた自治体が少なくなかったのではと想像しています。

これが雨であれば、どっと流れて河川があふれ、洪水になるわけですが、気温が低ければ、雪となって広範囲に降り積もり、建物の倒壊や交通の遮断、物流の停滞などを引き起こします。要するに、雨になるか雪になるかはその季節の気温によるのであり、北極付近から吹き出してくる寒気と同期したときに雪になる、ということなのでしょう。その原理は今も変わらないでしょうから、問題は南から運ばれてくる湿った空気中の水蒸気量が、顕著に増加しているということでしょうか。



大気中に含まれる水蒸気量は、グラフのように温度によって変わりますので、日本にやってくる低気圧が運んでくる空気の温度が高くなれば、含まれる水蒸気量も多くなる理屈です。気象における極端現象の増加(*1)の予想もあるようです。南方の海面の温度が上昇したとか、温暖化の影響だとか、理由はいろいろな考え方があるのでしょうが、どうも

温暖な季節には豪雨を、寒冷な季節には豪雪をもたらす

傾向は変わらないのでは。であれば、おそらく今後もこうした事態が起こる可能性があり、これまであまり例がなかったからといって、豪雨や豪雪などの気象災害が起こらないとは限らない、という覚悟で備えておく必要がありそうです。

(*1):また雨降り~「電網郊外散歩道」2013年7月

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プレラに「朝顔」を補充

2014年03月13日 06時03分58秒 | 手帳文具書斎
パイロットの廉価万年筆「プレラ」青軸に、同社の色彩雫シリーズ「朝顔」インクを補充しました。プレラは短軸の万年筆ですので、手に持った時のバランスは手の大きな人にはやや短すぎるかもしれませんが、それなら普通のサイズの万年筆を選ぶのがすじで、もともと短軸万年筆は、長時間大量筆記の用途を想定したものではないのでしょう。むしろ、サブバッグの小ポケットに差して気軽に持ち運ぶような、ライトな用途に向いているようです。

色彩雫シリーズのインク「朝顔」の鮮やかさはますます印象深く、A5判の紙面を埋めると、けっこう強烈です。プラチナ社の古典ブルーブラックも、明度は違いますが、書いた直後はよく似た色の傾向を感じます。時間が経過すると、古典ブルーブラックらしく、次第に黒っぽく変化していきますが、「朝顔」のほうは変わらず鮮やかなままです。ただし、古典ブルーブラックと比べてしまうと、裏抜けしやすいのは確かでしょう。

備忘録ノートは、だいぶ終わりの方に近づいております。そろそろ、新しいノートを用意しておかなければなりません。

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住友生命全国縦断チャリティコンサートで奥村愛・加藤昌則の演奏を聴く

2014年03月12日 19時34分02秒 | -室内楽
東日本大震災の日、山形テルサホールで、住友生命の全国縦断チャリティコンサートを聴きました。娘がどこからか招待券をいただいたのだそうで、ヴァイオリンの奥村愛さんと、ピアノが加藤昌則さんの共演です。このコンサートでは、東日本大震災で被災した学校にピアノを贈る活動の一環として開催されるのだそうで、趣旨には大賛成。開演前には、住友生命山形支社の支社長さんがご挨拶。そして、皆で一分間の黙祷を行いました。

いただいたプログラムによれば、本日の曲目は:

1. J.シュトラウスII 喜歌劇「こうもり」序曲
2. ハチャトリアン 組曲「仮面舞踏会」より「ワルツ」
3. ゲーゼ 「ジェラシー」
4. モンティ 「チャルダッシュ」
5. ヘス(加藤昌則編曲) 「ラヴェンダーの咲く庭で」
6. サラサーテ 「ツィゴイネルワイゼン」
 (休憩)
7. パッヘルベル(山下康介編曲) 「カノン」
8. モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.379
9. ワックスマン 「カルメン幻想曲」

というもので、とくに前半は、フィギュアスケートに用いられた音楽を集めたものだそうです。

プログラムの前半、サーモンピンクのドレスで登場した奥村さんと、上着を脱いでワイシャツにベスト姿の加藤さんが登場します。一曲目、シュトラウスの「こうもり」序曲は、ふだんオーケストラで聴きなれている分だけ、ヴァイオリンとピアノで奏される音楽に新鮮な楽しさを感じます。ハチャトリアンの「仮面舞踏会」のワルツは、ほんとにフィギュアスケートを思い出してしまいます。「ジェラシー」はコンチネンタルタンゴのスタンダードですが、あれほど濃密な妖艶さではなくて、もっとおしゃれな感じ。五曲目の「ラヴェンダーの咲く庭」は、映画のテーマ音楽で、もとはヴァイオリン協奏曲のスタイルで書かれたものだそうですが、今回は加藤さんの編曲で、キュートで詩的な音楽になっていました。実は、加藤昌則さんの本業は作曲家なのだそうで、「耳は聞こえます」と会場を湧かせるお茶目なトークも魅力です(^o^)/
前半の最後となる「ツィゴイネルワイゼン」は、LPやCDで聴く分には、お気楽なコメントもできましょうが、実際に演奏家が音楽にのめりこんで演奏している姿を前に、こちらもぐぐっと集中して、ひたすら耳を傾けるだけです。あ~良かった!

15分の休憩の後は、奥村さんも衣装を変えて登場です。黒っぽいドレスに白いキラキラがたくさん見えて、ちょうど夜空に雪のイメージでしょうか。加藤さんは、スカーフなのかアスコット・タイなのか、少しだけおしゃれして登場です。

七曲目は、パッヘルベルのカノンです。これも、ふだんは弦楽合奏で聴いていますので、ヴァイオリンとピアノで聴くのはたいへん新鮮です。八曲目のモーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、プログラムでは

第1楽章: アダージョ
第2楽章: アレグロ
第3楽章: アンダンティーノ・カンタービレ

としていますが、Wikipedia では前の二つを一緒にして、第1楽章:アダージョの序奏とアレグロ、第2楽章:アンダンティーノ・カンタービレ、としていました。このへんの事情は、楽譜もないし、よくわかりません。でも、たいへんステキな曲で、いっぺんに気に入りました。とくに、加藤さんのピアノ!見事なモーツァルトです。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、ヴァイオリンの助奏つきの(ピアノ)ソナタと言われるだけあり、ピアノの比重が大きいものだそうですが、たしかにそのとおりではあるものの、アンダンティーノ・カンタービレでヴァイオリンがピツィカートで奏するところは、実にチャーミングです。良い音楽を知ることができました。
最後の「カルメン幻想曲」は、ハイフェッツのために作られたのだそうで、さもあろうと思わせる技巧的で情熱的で、奥村さんの言葉を借りれば、「カッコいい」音楽です。

拍手に応えて、アンコールはチャップリンの「スマイル」。思わず懐かしい気分になります。曲想からして、使われた映画は「ライムライト」あたりだったかな?と一瞬思いましたが、あれは「テリーのテーマ」だったと思い直し、調べてみたら「モダンタイムス」でした。当方の記憶は、だいぶ色あせてきております(^o^;)>poripori

帰り際に、東日本大震災のチャリティに協力し、募金箱に心ばかりの金額を入れて来ました。これが被災した学校にピアノを寄贈する一助になり、子どもたちが大きな声で希望を歌えるようになれば、と思います。



YouTube で、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第27番ト長調 K.379 の動画を見つけました。

Mozart - Violin Sonata No. 27 in G, K. 379 [complete]


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白い雪の中、東日本大震災から三年

2014年03月11日 06時04分28秒 | 季節と行事
今日は3月11日、東日本大震災からまる3年になります。巨大津波の恐ろしさや、今なお悪戦苦闘している福島第一原発の状況などを思いながら、一日を過ごしたいと思います。

今朝は、昨夜からの冷え込みで、真っ白に雪が積もりました。積雪量はさほどではありませんが、寒気が身にしみます。三年前も、電気も消えた中で、ひどく寒い晩を過ごしました。今は、照明があり暖房がタイマーで自動点火し、温かい飲み物を手にしつつ、こうしてパソコンにむかっています。なんと恵まれた日常であることか、と思わずにはいられません。

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山響第235回定期演奏会でラヴェル、サン=サーンス、茂木宏文、ブリテンを聴く

2014年03月10日 06時01分29秒 | -オーケストラ
確定申告を終えてほっとしたところで、タイミングよく山響第235回定期演奏会がありました。日曜日、午後のお天気にも誘われて山形テルサホールに向かいました。



今回のプログラムは、

ラヴェル「マ・メール・ロワ」
サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調Op.61」
茂木宏文「Violin Concerto -波の記憶- 」山響作曲賞21受賞作品(助成:育芸会)
ブリテン 歌劇「ピーター・グライムズ」より組曲「4つの海の間奏曲」Op.33a

というものです。



開演前の音楽監督・飯森範親さんのプレトークで、「山響作曲賞21」受賞作品以外の三曲についての解説を聞いたあと、あらためてステージ上を眺めると、今回の楽器編成の多様さ・大きさがわかります。ぎっしりという感じです。例えば最初の曲目のラヴェルでは、
フルート(2:うち1はピッコロ持ち替え)、オーボエ(2:うち1はイングリッシュホルン持ち替え)、クラリネット(2)、ファゴット(2:うち1はコントラファゴット持ち替え)、ホルン(2)、ティンパニ、パーカッション(シンバル、トライアングル、バスドラム、シロフォン、あと不明なものあり)、ハープ、チェレスタ、弦5部(10-8-6-6-4)
という具合です。楽器の配置は、向かって左から、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、右奥にコントラバスというものです。正面奥には木管楽器が、その奥にはホルン、向かって左奥にチェレスタとハープ、さらに奥にパーカッションとティンパニが陣取ります。

これらの楽器をフルに鳴らすことは、ラヴェルはあまりやりません。むしろ、いろいろな楽器を組み合わせて、音色の変化を楽しむようなやり方です。解説によれば、「マ・メール・ロワ」とはフランス語で「がちょうのお母さん」、つまり童話の「マザーグース」のことだそうですが、ほんとにそんな感じ。近代のフランス音楽の特徴でもあるのかも。それでも第5曲:「妖精の園」では、オーケストラがフルに盛り上がります。にもかかわらず山響の響きは透明感を保ち、ラヴェルの音楽を満喫することができました。

続いて二曲目は、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番です。ステージ上では、ハープやチェレスタのほか、ティンパニを除くパーカッションも退きますが、代わってトランペット(2)にトロンボーン(3)が加わります。楽器編成上は、見慣れた二管編成です。ここに登場するのが、本日のソリスト、松本蘭さん。スラリとした長身に真っ赤なドレスがお似合いで、情熱的な曲目に合わせた衣装でしょうか。
第1楽章:アレグロ・ノン・トロッポ。情熱的でダイナミックな出だしです。表情豊かで起伏のある音楽が、見事に展開されて行きます。第2楽章:アンダンティーノ・クワジ・アレグレット。穏やかな舟唄ですが、情熱を秘めています。佐藤麻咲さんのオーボエがとてもいい味を出していますし、川上一道さんのクラリネットと絡む松本さんのフラジオレット(でいいのかな?)が気持ちいい。あ~、これはヴァイオリンの「裏声」だな~(^o^;)と思いながら聴いていました。そして第3楽章:モルト・モデラート・エ・マエストーソ~アレグロ・ノン・トロッポ。今まで、この曲が情熱的でロマンティックな音楽であることは承知していました。けれども、ヘンな言い方ですが、今回の演奏会で、この曲が「大きな音楽である」ことを初めて認識しました。ソロではサラサーテに献呈されたということも納得のヴィルトゥオジティ満載、山響も低弦が頑張り重い力強い音を表現します。さらに、弦楽アンサンブルの透明感は見事ですし、金管パートが張り切って、ノリノリで思わず興奮しました。
いや~、良かった!

ここで15分の休憩です。(当記事も、例によって夜まで休憩です。)
(そして、ここから夜に追加した内容です。)

後半の最初は、山響作曲賞21を受賞した、茂木宏文さんの作品「ヴァイオリン協奏曲 ー波の記憶ー 」です。楽器編成は、弦5部にフルート(2,ピッコロ持ち替え2)、オーボエ(2)、クラリネット(2)、ファゴット(2)、ホルン(4)、トランペット(2)、トロンボーン(3)、チューバ、そしてバスドラム、シロフォン、木の板(?)などかなり多数のパーカッションが加わります。
ヴァイオリン独奏の松本蘭さんは、こんどは青いドレスで登場です。おそらくは、「波の記憶」というイメージで、水=青という連想なのでしょう。
二枚の木の板をたたきつけるピシッという音から音楽は始まります。多くのパーカッションが次々に登場するなど、けっこう鳴り物の印象が強いのですが、でも基調は現代的だが刺激的ではない弦楽の音。何か大きな力や不安などを感じながら、ソリストの松本さんも、ヘンな言い方ですが、中国の二胡のように音と音とを切らずにつなげて奏するように注意しているのでしょうか。彼女の演奏スタイルに、よく合っている音楽と感じました。うーむ、これはもう一度聴きたいぞ。

そして最後は、B.B.ことベンジャミン・ブリテン。ブリジッド・バルドーでもビーチボーイズでもありません(^o^)/
歌劇「ピーター・グライムズ」は、たしか救いのない悲劇を描いた作品だったと記憶していますが、この「4つの海の間奏曲」は、このオペラ中の間奏曲を選び、組曲としたものだそうです。3.11を前に、偶然にも後半のプログラムは海に関わるテーマを持つ作品が並びました。
第1曲:「夜明け」。FlとVnから。木管の音が、まろやかで深い響きです。いい音です。第2曲:「日曜の朝」。Hrnをバックに木管、次いでVn。TimpやFlが跳ね回ります。金管が加わり、オーケストラ全体が響きます。Flは小鳥の囀り、チューブラーベルは教会の鐘の音? 第3曲:「月光」。始まりの響きは、Hrn,Fg,ContraFg,Vla,Vc,Cbによるものでしたか。こういうのは、実演を聴く醍醐味です。HrpとFlが加わり、繰り返しの中で徐々にエネルギーが高まっていきます。私たちにとって月はお月見の対象ですが、英国あたりでは月光で狼男が変身するように、狂気をもたらすものとして見るらしい。第4曲:「嵐」。Timp.の強打で始まります。リズムの強い、迫力の音楽ですが、Tpはミュートを付けたり外したり、けっこう細かく音色を変えています。このあたりも、実演に接することで初めてわかることでしょう。あ~良かった!ブリテンの渋い音楽を、充分に満喫できました。



演奏会の後のファン交流会で、松本蘭さんが語った山響の印象:「楽団員の方たちが、それぞれ意見を出し合っている様子が、とてもアットホームな雰囲気で、素晴らしいオーケストラです。」うーむ、ミス日本とかミス着物とか外見の印象で語られることが多いであろうソリストが、初めてのオーケストラに感じた温かさというのは、たぶん協奏曲や初演といった不安ドキドキの中にいるときに、とくに強く感じるものだろうと思います。



作曲者の茂木宏文さんは、インタビューにも意外に落ち着いていました。若い作曲家にとって、自分の曲をプロのオーケストラに演奏してもらえる機会というのは、コンクールくらいしかないのが現実であり、作曲のモチベーションを維持するためにも、コンクールに応募した、と語ります。師匠の池辺晋一郎さんのように、劇伴や映画音楽などと自分の作曲を両立させていってね、という飯森さんのアドバイスに、にっこりと頷く茂木さんでした。



音楽監督の飯森さんは、山響の「アマデウスへの旅」が八年かかってようやく完結することを取り上げ、さらに支持を訴えました。ほんとに、あっという間の七年でした。私も、何回か抜けてしまいましたけど、まず九割がた聴いているはず。残る三回のモーツァルト定期は、なんとしても聴きに行きたいものです。



インタビュー終了後、当方は本日のソリスト松本蘭さんのファーストアルバム「蘭ing」を購入、ご本人にサインをしてもらいました。また、プログラムには茂木宏文さんにサインしてもらい、大喜び。ほんとにミーハーですね~(^o^)/
でも、いいのです。我が家のアホ猫にバカにされても(*1)、こういう演奏会通いはやめられません(^o^)/

(*1):当ブログの「アホ猫」カテゴリー参照(^o^)/
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確定申告が終わると~週末農業と演奏会の日々

2014年03月09日 06時00分34秒 | クラシック音楽
確定申告が終わると、ほっとする間もなく、果樹園や畑での農作業が始まります。雪が融けると草も伸び始めますので、剪定枝を集めて焼却し、果樹園を浅く耕耘して、カイガラムシ等の防除を行います。陽射しが日増しに暖かくなる季節だけに、農作業そのものは気持ちよく楽しく進めることができます。ただ、週末だけで終わるかどうか、これはお天気次第です(^o^;)>poripori



そして、春は演奏会シーズンでもあります。ちょっと日付順に並べて見ると、

■3月8日(土)9日(日) 山響第235回定期演奏会(山形テルサ)、サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」他
■3月11日(火) 奥村愛・ヴァイオリン・チャリティ・リサイタル(山形テルサ)、曲目不明(招待券をいただいた)。
■3月28日(金) プレシャス・カルテット演奏会(遊学館ホール)、ハイドン「皇帝」、ブラームスSQ第1番他
■3月29日(土) 山響街なか音楽会スペシャル(中央公民館)、J.シュトラウス「こうもり」序曲ほか
■4月12日(土) 山響モーツァルト定期Vol.22(山形テルサ)、ピアノ協奏曲第21番、交響曲第38番ほか
■4月19日(土)20日(日) 山響第236回定期(山形テルサ)、シューベルト「交響曲第5番」、メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、ドヴォルザーク「交響曲第8番」

■4月26日(土) 山形弦楽四重奏団第51回定期演奏会(文翔館)、モーツァルト「ハイドンセット:その1」第14番~16番
■4月29日(火) ヤンネ舘野ヴァイオリン・リサイタル(文翔館)、フランク「ヴァイオリン・ソナタ」他

というものです。思わず「ここは東京か横浜か?!」と疑ってしまうような、音楽三昧の恵まれた生活が予想されます。風邪などひかぬように、健康管理に気をつけたいと思います(^o^)/

まずは、本日の山響定期にむけて、山積する雑務を片付けましょう。

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なんとか確定申告の準備作業を終える

2014年03月08日 06時04分47秒 | 季節と行事
毎年、年度末の恒例となっている、確定申告の準備作業が、ようやく一段落しました。あとは、規定の用紙に書き込み、送付するだけです。今年は、定年退職後初めての確定申告であり、また制度も少々変更があったらしく、前年に用いた表計算のワークシートを手直しする必要がありました。

使っている自作のワークシートは、基本的にはタブ形式を活かし、

(1) 給与所得、年金所得と源泉徴収額等の一覧
(2) 農業所得の収支計算表
(3) 農業経営上の雇人費や諸経費の計算表
(4) 社会保険料や医療費などの控除額の表
(5) 上記を総括し、税額等を計算する表

などから成り立っている、LibreOffice の calc のワークシートです。これを、Ubuntu Linux 上で作成記入し、ブラザーの A4モノクロ・レーザープリンタで出力して申告書に書き込むとともに、一覧資料として源泉徴収票や領収書とともに添付してやります。

電子データがあるのですから、ネットで申告もできれば良さそうなものですが、某税務のサイトは某IEでなければ受け付けず、しかもそのバージョンも限定されるという代物で、当方のような Linux, Firefox での申告は門前払いでした。そんなわけで、ずっと紙で郵送申告するスタイルを取っていますが、手元にきちんと紙で控えが残るという安心感もあります。



それにしても思い出すのは、2011年、東日本大震災の時の確定申告です。前日の10日の記事は、まさにこの確定申告の話でした。この日のうちに仕上げて投函したら、翌日に大きな地震に見舞われ、停電でパソコンも使えなければ、照明も懐中電灯とろうそくだけという生活が続きました。あと一日遅れていたらと思うと、てんやわんやが想像されます。実際には、被災地は申告期限が延期されたとはいうものの、それどころではなかったのではないかと想像します。

震災被災地でも、現在、確定申告の作業に追われている方が少なくなかろうと思います。どうぞ、夜なべ仕事で健康を害されることのないように、お祈りいたします。

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再読率の増加は何を意味するか

2014年03月07日 06時01分55秒 | 手帳文具書斎
長年、読書記録を残していると、様々なことに気づきます。時代の流行もあれば、自分自身の読書傾向の変化もあり、また近年とくに顕著になっているのが、再読率の増加です。

一度読み終えた本を、しばらくしてまた読み返す。とくに物語の再読の楽しみについて、以前も記事にしたことがあります(*1)が、それとは別の角度から考えてみると:

(1) 関心の狭まりがあるのではないか。新しい分野、流行の本への挑戦意欲の減退も。
(2) 読みたいときに入手できない。たまたま興味を持って探そうとすると、品切れ絶版になっている。
(3) 新しい本を読むまとまった時間が取りにくい。

などがあげられるでしょうか。ちなみに、昨年は 63.1%、一昨年は 48.2%でした。これだけ高い数字になると、自分でもちょいと考えてしまいます(^o^;)>poripori

(*1):物語ー繰り返し読む楽しみ~「電網郊外散歩道」2005年2月

写真は、瀬見温泉の近くにある、東北電力瀬見水力発電所。小規模な水力発電ですが、洒落た建物の内部がどうなっているのか、一度見学してみたいスポットの一つです。

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なるほど、これは大河ドラマにはなりにくいなあ~DVDで「上杉鷹山」を観る

2014年03月06日 06時04分06秒 | 映画TVドラマ
以前から、大河ドラマに「上杉鷹山」が取り上げられないのはなぜか、不思議に思っておりました。ふだんテレビを見ないものですから、一度ドラマ化されたことも知らずにおりました。たまたま、某図書館で、1枚もののDVD「上杉鷹山」を見つけ、借りてきて観ました。

これは、童門冬二原作『小説 上杉鷹山』(*1,*2)をもとに単発のドラマにしたもので、それなりにおもしろく楽しんだのですが、いわゆるドラマ的な盛り上がりは「七家騒動」くらい。あとはむしろドキュメンタリー・ドラマ風に描かれ、見せ場には乏しいものと感じます。奥女中の解雇に伴う誤解や、恩師の細井平州を江戸から藩校・興譲館に迎える際のいきさつなど、それなりに原作に忠実にドラマ化されてはいるのですが、もともと原作が教訓的な性格の本ですので、さすがに大河ドラマにはなりにくいと感じます。

上杉鷹山を取り上げた作家としては、藤沢周平もいますが、もし、藤沢周平の病が悪化しなかったら、『漆の実のみのる国』(*3,4)に描かれた米沢藩の改革の姿が、特に下巻における展開が、もっとじっくりと描き出されていたのではないかと惜しまれます。そして、こちらを原作にして脚本が作られたら、もっと重厚なドラマになったのではないかと、どうしても思ってしまいます。

(*1):童門冬二『小説 上杉鷹山』(上)を読む~「電網郊外散歩道」2006年4月
(*2):童門冬二『小説 上杉鷹山』(下)を読む~「電網郊外散歩道」2006年4月
(*3):藤沢周平『漆の実のみのる国』(上巻)を読む~「電網交際散歩道」2005年8月
(*4):藤沢周平『漆の実のみのる国』(下巻)を読む~「電網交際散歩道」2005年8月

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奥さんとふなっしー

2014年03月05日 06時03分47秒 | アホ猫やんちゃ猫
あのね、最近、奥さんが妙な動画にはまっているのよ。なんだか妙なもこもこした黄色い着ぐるみなんだけど、ふなっしーとかいって、やけに甲高い声を出してはしゃぐのよね~。あれって、梨の妖精なんだって。奥さんはあれが大好きらしくて、ふなっしーのお菓子を見つけたらしいの。そうそう、これよ!





ほんとに、あたしたちには、どこがいいんだかさっぱりだわ。奥さんは、ウィットに富む会話がおもしろいって言うけど、あたし的には、早く春が来てハンティングできるほうがず~っといいわ!

でもまあ、奥さんは時々おいしい猫エサを買ってきてくれるから、ふなっしーグッズをバカにして後足でけとばしたりしないことにしておくわ。これも、大人の猫の余裕よね~。

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高田郁『美雪晴れ~みをつくし料理帖(9)』を読む

2014年03月04日 06時04分55秒 | 読書
角川のハルキ文庫の人気シリーズ「みをつくし料理帖」の新刊で、高田郁著『美雪晴れ』を読みました。このシリーズを第1巻からおもしろく読んで第9巻。佳境に入っております。

第1話:「神帰月~味わい焼き蒲鉾」。前巻で、超一流の料亭「一柳」の旦那の柳吾から求婚されているご寮さんこと芳は、まだ返事をしていませんでした。その理由は、息子の佐兵衛夫婦がどう受け止めるか、だったのでしょう。親子の対面も、息子の命を救った嫁の深い事情も、互いに苦労を分かり合うことができました。柳吾のプレゼント攻勢も、大粒の珊瑚の一つ玉と、ハートの真ん中に的中した模様です。あとは、芳の後釜をどうするか、澪の蒲鉾つくりの課題がどうなるかですが、前者は一柳が、後の課題は坂村堂の知識と源斎先生の観察力と記憶力が助けになりました。

第2話:表題作「美雪晴れ~立春大吉もち」。芳が柳吾と結ばれる前に、澪と芳は大晦日の一柳に招かれます。一柳ならではの様々な技術と器の見事さに驚きますが、末は一柳にという柳吾の誘いを澪は謝絶。あさひ太夫に執心の摂津屋助五郎は、野江の悲劇を調べて澪の前に現れ、若い女料理人の悲願の中身を知ります。

第3話:「華燭~宝づくし」。芳が去り、澪が抜けた後につる家を支える助っ人として柳吾が推薦したのは、お臼と政吉の夫婦でした。芳のために、つる家でも一柳でも祝いの席が設けられます。それぞれに料理を工夫する澪ですが、ここでは芳の息子の佐兵衛が料理の道に戻るかもしれないという可能性がしめされます。むむ、それは多分、やがて来る登龍楼との対決にとって重要な布石となるのでは。華燭の灯の影に、そんな将来図が浮かぶようです。

第4話:「ひと筋の道~昔ながら」。芳は一柳で名女将と認められるようになりますが、伊勢屋は火事の責任を取って所払いになり、美緒は生まれた赤子のために強く生きる決意のようです。吉原で鼈甲珠を売ろうと澪も試みますが、なにせ店がない。そこで知恵を授けてくれたのは、摂津屋でした。たしかに、楼に上がり高い料理を食べるのもよいが、うららかな春陽にファストフードを手にしてそぞろ歩きをするのも楽しいはず。料理人としての道に悩む澪に、道は一つだと教えてくれたのは、源斎先生でした。この人、地味ですが実に良い役回りですね~。

どうやら、物語の舞台は大きく転換しそうです。ますます楽しみなシリーズになってきました。



ところで、蒲鉾といえば、当方は仙台の笹蒲鉾が実は大好物。あれを軽く焼いて、わさび醤油でいただくのは、シンプルですが実に美味しい。お酒の味も引き立つようです。

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「Bun2」2月号(Vol.52)を読む

2014年03月03日 06時03分03秒 | 手帳文具書斎
だいぶ時期おくれとなってしまいましたが、ステーショナリー・フリーマガジン「Bun2」の2014年2月号(通巻第52号)を読みました。隔月刊で偶数月に発行されており、なんだかんだ言いながらも、けっこう楽しんでおります。編集の主体は、たぶん若い女性なのではないかと思っていますが、「特集:2014年はコレに注目!」でコクヨの麻紐が手芸用として人気を博していることをトップに持ってくるあたり、担当者は実は手芸ファンでもあるのではないかと見ましたが、真相はいかに(^o^)/

また、旬のヒット商品をピックアップした「話題の最新筆記具ずらり」のコーナーでは、消せる色鉛筆、ジュニア向け万年筆「カクノ」、三菱鉛筆のジェットストリームの高級版「プライム」などを紹介しています。さらに、付箋関連製品として、シャチハタの「メモポン」やサンスターの「ピリット」などの変わりダネを紹介しています。また、プレミアムはさみやアルミ定規など、アイデア文具も。このあたりは、おもしろいとは思うものの、今使っている愛用の定番品を代替するほどのインパクトはないようです。

総じて、筆記具の新製品が目立つものの、現状を大きく帰るものではなく、あとは細かなアイデアを生かしたものとなっています。春の新学期シーズンには、もう少し変わったものが登場するのでしょうか。

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NHK-FM「名演奏ライブラリー」でジュリアン・ブリームの「アランフェス協奏曲」を聴く

2014年03月02日 10時19分12秒 | -協奏曲
昨日から風邪気味で、今朝は早朝更新ならず。ぼんやりと「らじる★らじる」で NHK-FM を聴いておりました。今朝は、イギリスの名ギター奏者ジュリアン・ブリームを取り上げ、グラナドス、アルベニス、ソルなどのギター曲のほかに、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」や武満徹作曲の「ギターとオーケストラのための夢の縁へ」などを聴くことができました。「アランフェス」のほうは、ジョン・エリオット・ガーディナーの指揮によるモンテヴェルディ管弦楽団の演奏、武満作品の方は、サイモン・ラトル指揮のバーミンガム市交響楽団の演奏で、いずれも初めて聴く録音です。パソコンから USBオーディオ・プロセッサを経由し、デスクサイドのミニコンポのアンプで増幅して小型スピーカを鳴らす音は、ノイズもなくたいへん新鮮です。

廉価盤しか買えなかった若い頃は、ジュリアン・ブリームの正規録音なんて、ほんとに高嶺の花でした。「アランフェス協奏曲」は、地元・山形交響楽団の定期演奏会(*1)で、村治佳織さんのギターでこの曲の実演を聴いています。そういえば、舌腫瘍で療養中という村治さんの病状はどうなのだろう。また素晴らしい演奏を聴くことができますように、早い回復を祈りたいと思います。

(*1):山形交響楽団第162回定期演奏会~2005年2月

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