(2024年6月8日「国立劇場おきなわ」大劇場で13時に開演です。劇場内では正午から康忠氏の舞台公演映像「浅地紺地」などが上映されます!)
4月13日土曜日、初演から60年ぶりに復活上演する「落城」(一名真鍋樽)の出演者の皆さんと、玉城流家元で「沖縄芝居実験劇場代表」玉城盛義さんもごいっしょに琉球新報記者伊佐尚記さんの司会で座談会が「国立劇場おきなわ」で行われました。みなさまの篤い思いゆえに時間は2時間を超えていました。
真喜志康忠さんは若い世代のみなさんにとっては、女性シンガーソングライター・女優・絵本作家・エッセイスト・小説家のCoccoさんの祖父として知られているのかもしれません。
初演から60年ぶりの復活上演「落城」(一名真鍋樽)の簡単なあらすじ
500年前の琉球の按司時代を背景に描かれた時代劇「落城」は、組踊の女性が主人公の仇討ち物「大川敵討」(一名忠孝婦人)や「姉妹敵討」の系譜作品ですが、苦境から逃れるため、乳母と若い姫君が必死に色香と知恵(勇気)を振り絞って、難を逃れるあらすじです。一方で女性たちの感性と知恵(奸計)に翻弄され、命を滅ぼす男たちの因果応報の世界を描いています。
幸地城の按司が「じちんだ城」の姫君(うみんぐゎ)・真鍋樽(まかびだる)への思慕の念を断たれ、その思いを達するために不意打ちに戦をしかけ、じちんだ城を攻め落とします。物語はそこから始まります。捕らわれたじちんだ城の按司や真鍋樽の運命はどうなるのだろうか?(按司の娘は「按司加那志 」と呼ばれたのですね。脚本では思子となっています。)
ところで、現琉球歌劇保持者の高宮城実人さんによると西原町には実際に幸地城と津記武多城があったそうです。「津記武多」はチチンタという表記があることを、史実から突き止めています。西原町の皆さん、ぜひこの時代劇をご覧になってください!もちろん、どなたも組踊の系譜としての時代劇をお楽しみいただけます。
(『遺老説伝』(18世紀前半)によると、「津記武多」城(チチンタグスク)の城主すなわちチチンタ按司は、幸地グスクの城主熱田子に滅ぼされたという。)西原町の公式サイトでも紹介されています。またその城跡の動画もYoouTubで観れます。 真喜志康忠は作品の創作で、ちちんたグスクではなく、じちんだ城にしています。その方が語呂がいいですね。
座談会に同席しての所見:
実際に康忠さんと舞台を共にした実演家の皆さまの貴重な体験からにじみ出る康忠像は、お一人で何時間でもお話しできるような雰囲気で、特に玉城盛義さん、(玉城流てだの会家元)玉城千枝さんのお話しは感動的でした。中身は記念パンフの中でぜひお読みください。ここで紹介すると長く長くなりますので割愛します。結論として役者真喜志康忠の凄さが迫ってきました!
演技指導と実演を兼ねている「琉球歌劇保存会理事長」高宮城実人さんは、お父様の北村三郎さんに連れられて幼少時から「ときわ座」の舞台をご覧になっていた方です。芝居台本の隙間を埋めるような感性・知性と経験からくることばが味わい深く、台本の読み合わせでも指導者の立場でみなさまを牽引されていることが分かりました。
【二年間歌劇保存会会長の責務を担った高宮城さんは昨今(5月18日)の保存会総会で、平良 敏さんから引き継いで理事長になり、宮里良子さんが会長職に就いたようです。良子さんは歌劇保存会35周年記念公演をすると発表されたようです。楽しみですね!】
主役の真壁を演じる、前国立劇場おきなわ芸術監督・嘉数道彦さんは幼少時から祖母に連れられて沖縄芝居をご覧になってきた方で、小太郎さんや康忠さんの芸に惚れ込んできたことが分かりました。以前から嘉数康忠になるのだと、発言されている嘉数さんの伝統芸能への造詣の深さは、創作や実演の中に存分に活かされているのだと言えるでしょう。康忠さんが演じた真壁をどう演じるか、大きな挑戦かと思います。
幼少時からの経験の与える大きさ、環境と身近な家族、祖父母の影響は甚大です。
国指定無形文化財組踊保持者・宇座仁一さんは幸地按司という、見染めた真鍋樽への恋情ゆえに、「じちんだ城」を攻め落とすという主役の按司を演じます。出演をお願いされた時、平良 進さんから「いっぺー悪るーやんどーやー」と言われたそうです。しかし、「実際はいっぺー悪―ではなく、可哀そうな按司だったんだ」とのお話しは皆を笑わせました。
小嶺和佳子さんは、「いいいなぐやっさー」と、「大川敵討」の満名のような役割の真壁にそう言わしめるほどの主役、真鍋樽を演じます。彼女ほど色艶のある女の美を出せる女優はいないと、平良 進さんが太鼓判をおした琉球舞踊家です。この間「人類館」の女や主要歌劇の主人公、他現代劇でも主役を演じています。
玉城千枝さんは、とても難しい役回りの乳母を演じます。若い真鍋樽を助け、必死に幸地按司から逃れる術を思いつきます。命がけです。
とても楽しみな舞台化であり、主役のみなさま方です。女性が主役の「忠孝婦人」や「姉妹敵討」の系譜でもあると言えるでしょう。斬新さは、「マクベス」を彷彿させる心理劇のリアリズムでしょうか。
みなさんのお話しをうかがっていても、いかにこの時代劇が心理劇かということが迫ってきました。人間の感情のひだをどう表出するか、それを演技と台詞で表現することの大変さが、うかがわれました。
これから立ち稽古に入っていく中でまたどのように、くっきりと描かれていくのか、ワクワクしてきます。
実演家のみなさんの舞台に立つという、全身全霊で人間を表現する世界の底のない奥深さに思い至ります。
1950年代後半に取り組まれた「琉球新報の演劇コンクール」は、とてもいい試みだったと言えます。幸い司会の伊佐さんは記者として実演家の皆さんからの信頼も深い方で、新報の新聞資料を丁寧に読み解き、座談会をまとめてくださる事になっています。
企業の協賛、個人の皆様の寄付をお願しております。
事務局はこの二度とない生誕100年記念公演を成功させるため、懸命に資金造成と編集作業に取り組んでおります。生誕100年記念ゆえに、単なるスクリーンの作品紹介やフォーラムだけではなく、氏の作品を舞台化することによって、戦後沖縄を代表する実演家(組踊や沖縄芝居の名優)で劇作家の真喜志康忠の功績を讃え、将来も永久に沖縄の文化遺産とすべく立ち上げたプロジェクトです。
真喜志康忠生誕100年記念公演実行委員長・仲田美加子さん(沖縄文化協会顧問)の「沖縄の伝統芸能を応援したい」という志の高さと、「沖縄芝居実験劇場」を継承した玉城盛義さんや嘉数道彦さんの情熱に鼓舞され、頑張っています。
沖縄演劇史の中で真喜志康忠の存在は大きく、先日、沖縄の顔のお一人、演出家幸喜良秀さんにインタビューしたところ、この間ごいっしょに舞台化した作品と康忠氏の稽古の鬼のような素顔をお話しされ、「真喜志康忠氏に深く感謝している」と話しておられました。復帰後の幸喜演出の活躍は故芥川賞作家大城立裕さんだけではなく、まさに真喜志康忠あっての「沖縄芝居実験劇場」だったことが分かります。
企業協賛や個人寄付のお振込み先はこちらです。詳細はお電話とメールをください。080 -1722 -6538 nasaki78@gmail.com 企画資料などを送らせていただきます。 よろしくお願い致します。(なお協賛広告は5月25日締めで、寄付は6月08日まで受け付けております。)
先日、メールで事情をお伝えした所、
東京の(株)日本アドバンス代表取締役社長 重田辰弥(美ら島沖縄大使)さまは5万円振り込んでくださいました。深謝!
またレキオファーマ株式会社の奥 キヌ子会長もご協賛してくださると、ご連絡がありました。深謝!3月半ば以降から二人体制で頑張っています。
3万円以上協賛や寄付をくださったみなさまには記念パンフと招待券、またお名前を記念誌に記載させていただきます。
このブログに訪問してくださる皆さま方のご協力よろしくお願いたします。
【お振込み先】
真喜志康忠生誕100年記念公演実行委員会
実行委員長 仲田美加子 (沖縄県文化協会顧問)
● 沖縄銀行 国場支店 店番:108 口座番号: 1607445
● 琉球銀行 寄宮支店 店番:312 口座番号: 1032896
〇チケットはファミリーマートのイープラスと
国立劇場おきなわチケットカウンターでお求めできます。
〇チケットのお問い合わせは、シアタークリエイト:Tel:090- 3074 -8295 です。
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