(公園の猫さんたちが、92歳の里親さんのSさんを追いかける朝!)
以下は、市民目線でオール日本を推進している植草一秀経済学者のメッセージです。
「辺野古米軍基地建設」是非を問う知事選
第2112号
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9月下旬にも沖縄県知事選が実施される。
この選挙で、沖縄県の主権者は辺野古米軍基地建設の是非について意思を表明
する必要がある。
知事選では辺野古米軍基地建設の是非を最重要争点に位置づけるべきだ。
そのために、8月16日までに沖縄県は埋め立て承認を撤回するべきである。
安倍内閣は8月17日にも海底への土砂投入を開始する方針を通告していた。
これを阻止するために、それ以前の埋め立て承認撤回の方針が示され、聴聞も
実施されてきた。
翁長雄志前知事が土砂投入期日前の埋め立て承認撤回を実行したであろうこと
は明白であり、副知事は埋め立て承認撤回を粛々と実行しなければならない。
そして、県知事選を辺野古米軍基地建設の是非を問うものにしなければならな
い。
安倍内閣は土砂投入に踏み切り、米軍基地建設を既成事実化した上で県知事選
に臨み、辺野古米軍基地建設問題を知事選の争点にさせない策略を構築してき
たが、翁長知事が急逝したために、この目論見が崩壊しかけている。
沖縄県サイドが安倍内閣と密かに通じている場合には、埋め立て承認撤回を遅
らせて、国による土砂投入の実績作りに沖縄県が協力する可能性があるが、こ
れは沖縄県民に対する背信行為である。
沖縄県は、8月17日以前に、速やかに埋め立て承認を撤回し、県知事選が終
了するまで、工事を完全に遮断する道を選択するべきだ。
防衛局側の聴聞に関する要請を聞き入れないと裁判で不利になるとの指摘があ
り、この点への配慮は必要だが、国による土砂投入の前に撤回を断行すること
が絶対条件である。
本来は、2014年11月の県知事選で示された沖縄県民の総意が、埋め立て
承認を撤回する正当な根拠であった。
このことは、翁長雄志知事が選挙の前から、そして、選挙後の議会発言におい
ても明言していたことである。
「撤回は、法的な瑕疵がなくても、その後の新たな事象で撤回するということ
ですが、知事の埋め立て承認に対して、県民がノーという意思を強く示すこと
が、新たな事象になると思います」
(2014年10月21日政策発表記者会見)
「法的瑕疵がない場合も、私が勝利したならば承認撤回の条件になる」
(知事選直前のインタビュー=2014年11月12日付琉球新報)
「知事選で示された民意は埋め立て承認を撤回する事由になると思う」
(当選後初の議会答弁=2014年12月17日)
辺野古米軍基地建設には沖縄県の許可が必要で、その沖縄県の行動を支えるの
が、沖縄県の主権者の意思である。
辺野古米軍基地建設の是非を問う県知事選が実施されて、沖縄県民が辺野古米
軍基地建設=NOの意思を明示することが、埋め立て承認撤回の正当な根拠に
なる。
翁長氏は、このことを何度も明言していた。
しかしながら、翁長氏は、県民の意思を根拠にする撤回を行わなかった。
翁長氏が直近になって着手した「埋め立て承認撤回」は「埋め立て承認時の約
束事を守らなかったことを理由とする、事務的・行政的撤回」であり、沖縄の
県民の総意が示されたことを根拠とする「公益撤回」ではなかった。
とはいえ、埋め立て承認を撤回すれば、工事を止めることができる。
工事を止めた上で、辺野古米軍基地建設の是非を問う知事選を実施すれば、こ
の選挙で沖縄県の主権者の総意が明らかになる。←そうですね。税金を無駄にして住民投票する必要なしですね。
この民意こそ、辺野古米軍基地建設問題を決定する最重要の根拠になる。
知事選では「辺野古に米軍基地を造らせない」ことを公約に明記する候補者
を、ただ一人擁立し、「辺野古に米軍基地を造らせない」と考える県民の総意
を選挙結果に反映させる必要がある。
知事選の図式は極めて明瞭になり、この選挙が県民投票の代わりになると言え
るだろう。
そのためには、8月17日以前の埋め立て承認撤回が絶対に必要である。
翁長氏亡き後の県政執行部が、安倍内閣と密通して、埋め立て承認撤回を先送
りさせることが、万一にもないよう、日本全体が監視を強めなければならな
い。
面積が日本全土の0.6%である沖縄県に、日本全国の米軍施設の74%が集
中している現状は異常である。
その沖縄に、日本政府が国民の血税を投入して、巨大な米軍基地を建設するこ
とは正気の沙汰ではない。
米軍再編で沖縄に駐留する海兵隊の規模は大幅に縮小される。
辺野古に新しい米軍基地を建設する必要性は皆無である。
他方、普天間飛行場は世界で最も危険な軍事基地の一つである。
普天間飛行場の閉鎖は、辺野古とは独立した問題として捉えるべきだ。
普天間飛行場の代替施設は県外または国外に確保できる。
2009年の鳩山政権誕生時の検討事項に回帰するわけだが、このときは、外
務省が虚偽の公文書を作成して鳩山首相の構想を潰した経緯がある。
東アジアを巡る情勢は米朝首脳会談開催などの要因によって激変している。
辺野古の美しい自然環境を破壊して、死の拠点=殺人の拠点である米軍基地を
建設する正当な理由は消滅した。
安倍内閣が札束でほおを叩いて沖縄の主権者をひざまづかせるような対応を示
してきたから、いくつかの選挙では、この利益誘導によって沖縄県の主権者の
足並みが乱されてきた。
沖縄の主権者が沖縄振興を求めるのは当然のことである。
しかし、基地を受け入れるなら予算をつける、金を恵んでやるという姿勢は、
民主主義国家として適正なものでない。
しかし、実際の選挙では、安倍内閣による、こうした対応が繰り返されてきた
のだ。
このような暴虐に対して、沖縄の主権者は、正当な判断と行動をもって対峙す
るべきだ。
沖縄県は、一つの自治体として、適正な地域振興を実現する権利を有してい
る。
これと「基地の押し付け」をリンクさせる安倍内閣の姿勢に厳しいNOを突き
付けるべきだ。
政府の横暴による基地負担の押し付け、かけがえのない自然環境を破壊する米
軍基地建設に対して、沖縄県民が総意をもって立ち向かうべきときである。
「安倍一強」というフィクションが流布されているが、9月の総裁選を境に、
安倍内閣の求心力は坂を転げ落ちるように急落すると考えられる。
沖縄県民は次の時代をにらんで、不要な米軍基地建設に対して、断固たる拒絶
の姿勢を示すべきである。
そのためには、まずは、国による海底への土砂投入を確実に阻止することが重
要である。
つまり、8月16日までの埋め立て承認撤回断行が最重要なのだ。
安倍内閣はあらゆる手段を駆使して、8月16日までの埋め立て承認撤回を阻
止しようと策謀をめぐらせていると思われる。
沖縄県政を担う執行部が、この要請に従属することは、絶対に許されない。
県民への背信行為である。
沖縄防衛局に対する聴聞の日程については、防衛局が延期を求めたが、これを
拒絶して聴聞が実施された。
海底への土砂投入の前に埋め立て承認撤回を実施するための方策だった。
このことを踏まえて、沖縄県の執行部は、直ちに埋め立て承認撤回の手続きを
実行しなければならない。
沖縄のことは沖縄が決める。
かけがえのない自然を破壊して巨大な米軍基地を建設することを是とするの
か、非とするのか。
決めるのは沖縄の主権者である。
このことを明確に判断するための県知事選挙を実施しなければならない。
「辺野古に基地を造らせない」と考える「オール沖縄」の勢力が、その民意を
託せるただ一人の候補者を早急に擁立しなければならない。
極めて重要な選挙になる。
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政治のからくりはよく知りませんが、かなりの駆け引きがありえるのですね。政府の圧力に屈することなく沖縄の民意をつらぬくことが大切ですね!