志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

【東アジア共同体研究所(EACI) News Weeky Vol.071 「青い眼が見た大琉球 no.2」】

2016-05-21 19:17:40 | 沖縄の過去・現在・未来
 

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    EACI News Weekly 第71号(5月20日号)
   東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
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 【目次】

 【1】《今週のニュース 5/14-5/20》
  政治(3)、経済(2)、国際(3)、社会(4)

 【2】《UIチャンネル放送予告 No.152》
 第152回UIチャンネルLIVE対談 鳩山友紀夫×孫崎享「時事放談」
 http://live.nicovideo.jp/watch/lv263440406

 【3‐1】《EACIレポート》
  高野孟(東アジア共同体研究所 主席研究員)
 オバマ大統領の広島訪問は「めでたさも中くらい」(日刊ゲンダイ)

【3-2】《EACIレポート》
 2016.5.24緊急シンポジウム
 「辺野古新基地建設と沖縄の自治‐辺野古が問う日本の地方自治のあり方」

【3-3】《EACIレポート》
 緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)氏の新著
 「歩きはじめた沖縄-沖縄の自然と歴史、そして辺野古-」が5月25日発売!
  http://www.amazon.co.jp/dp/4763407775


 【4】《研究員コラム》
 緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「青い眼が見た大琉球 no.2」

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【1】《今週のニュース 5/14-5/20》
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【政治】
■増税・改憲巡り応酬 今国会初
 (毎日新聞 2016.5.19)
http://mainichi.jp/articles/20160519/ddm/001/010/167000c

■「辺野古唯一、直接はなかった」 米議員らと面談後、知事
 (琉球新報 2016.5.18)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-281303.html

■取り調べ可視化義務付け、成立へ 今国会、司法取引や通信傍受拡大
 (東京新聞 2016.5.19)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016051901001426.html


【経済】
■  米、TPP批准大幅遅れも 議会審議は大統領選以降か
 (日経新聞 2016.5.19)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS19H4F_Z10C16A5EE8000/

■ 日本とロシア 経済関係の発展で一致
 (NHK 2016.5.16)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160516/k10010523181000.html

【国際】
■被爆者との面会「不可欠」 オバマ氏訪問で潘基文氏
 (共同通信 2016.5.19)
http://this.kiji.is/105949569177011709?c=39546741839462401

■香港民主派学生リーダーら5人拘束、訪問中の中国高官に抗議試み
 (AFP通信 2016.5.19)
http://www.afpbb.com/articles/-/3087613

【社会】
■「沖縄、まるで植民地」 金平茂紀さん、国の対応批判
(琉球新報 2016.5.17)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-280669.html

■<社説>米軍属女性死体遺棄 日米両政府に責任 防止策は基地撤去しかない
(琉球新報  2016.5.20)
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-282393.html

■後絶たぬ凶悪事件…県民「米軍責任免れぬ」
 (毎日新聞 2016.5.19)
http://mainichi.jp/articles/20160520/k00/00m/040/079000c

■ 沖縄女性不明、米軍関係者の男を死体遺棄容疑で逮捕
 (TBS 2016.5.19)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2777489.html
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 【2】《UIチャンネル放送予告 No.152》
 第152回UIチャンネルLIVE対談 鳩山友紀夫×孫崎享「時事放談」
 http://live.nicovideo.jp/watch/lv263440406
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5月23日(月)20時からの第152回UIチャンネル放送は、鳩山友紀夫×孫崎享対談「時事放談」を生放送でお送り致します。
番組内では質問を受け付けておりますので、コメント欄またはinfo@eaci.or.jpまでお寄せ下さい。
番組の予約・視聴はコチラから→ http://live.nicovideo.jp/watch/lv263440406

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 【3‐1】《EACIレポート》
  高野孟(東アジア共同体研究所 主席研究員)
 オバマ大統領の広島訪問は「めでたさも中くらい」(日刊ゲンダイ)
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 東アジア共同体研究所の高野孟氏が連載する日刊ゲンダイのコラム。今回のテーマは「オバマ大統領の広島訪問」です。

■オバマ大統領の広島訪問は「めでたさも中くらい」
 (日刊ゲンダイ 2016.5.19)
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/181573

 オバマ米大統領の広島訪問は画期的なことで、現職大統領として初めてのその決断は称賛に値する。が、そう言って素直に喜べない事情が日米双方に存在する。

 米国では「原爆投下は戦争を早く終わらせるためにやむを得なかった」というのが一般常識で、教科書にもそう書いてあるほどだから、大統領が広島を訪れること自体に反発が広がる可能性がある。そのため、ホワイトハウスは「謝罪はしない」のはもちろんのこと、長い演説も被爆者との面談もせずに短時間で引き揚げることを示唆するなど、国内向けに煙幕を張るのに忙しい。

 オバマは、82年にニューヨークのセントラル・パークで米史上最大といわれた100万人規模の反核デモが行われた頃にコロンビア大学で反戦・反核の学生運動に加わり、学内誌に「戦争心理を打破する」という論文を寄稿していたほどの“筋金入り”だから、就任直後、09年4月のプラハでの演説で「核兵器を使用した唯一の核保有国の道義的責任」に言及したのも本気だった。

 当然、退陣直前の広島訪問でも再度、核なき世界を実現する覚悟をもう一歩踏み込んで宣言して8年間の任期を締めくくりたかったはずだが、国内事情はそれを許してくれそうにない

…(続きは以下より))

■オバマ大統領の広島訪問は「めでたさも中くらい」
 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/181573/2

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【3-2】《EACIレポート》
 2016.5.24緊急シンポジウム
「辺野古新基地建設と沖縄の自治‐辺野古が問う日本の地方自治のあり方」
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2016年5月24日(火)16時半より衆議院第一議員会館地下1F大会議室にて、緊急シンポジウム「辺野古新基地建設と沖縄の自治‐辺野古が問う日本の地方自治のあり方」(主催:辺野古訴訟支援研究会、共催:沖縄等米軍基地問題議員懇談会)が開催されます。

以下、同シンポジウムパンフレットより抜粋

地方自治は、私たち国民の基本的人権の保障や日常の生活、さらには、この国(国家)のあり方にも深く関わってきます。この間の「地方分権改革」は、この点を意識しながら、機関委任事務制度を廃止し、国と地方自治体の対等・協力関係を築くために、国の関与に関わる法の仕組みを地方自治法で明記したり、そのほかさまざまな法制度を整備したりしてきました。しかし、辺野古新基地建設をめぐる沖縄県と政府との法的な争いを見ると、なぜ、政府は、沖縄の民意(住民自治)を無視してまで、沖縄県知事の権限である埋立承認取消に関与できるのか、憲法や地方自治法等の諸法律は、それを許しているのか、埋立承認取消や国の関与等との関係で訴訟取下げの和解はどのような意味を持っているのか、多くの疑問がわいてき
 ます。
辺野古から問われているこれらの疑問は、沖縄に限定されない普遍的な意義をもったものです。このような重要な疑問にどのように答えるべきか、皆さんと一緒に考え、議論し、辺野古新基地建設問題の本質を深く理解する機会といたします。

登壇者:竹下 勇夫氏(沖縄県辺野古裁判等弁護団代表)
    武田 真一郎氏(成蹊大学教授)
    岡田 正則氏(早稲田大学教授)

日時 2016年5月24日(火)

時間 16:30~19:30

場所 衆議院第一議員会館地下1F「大会議室」

主催 辺野古訴訟支援研究会(代表:名古屋大学教授 細野健二

共催 沖縄等米軍基地問題議員懇談会(代表:衆議院議員 近藤昭一)

問合せ 専修大学行政法研究室:henokoshien@gmail.com
衆議院議員近藤昭一事務所:h01953@shugiin.go.jp

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【3-2】《EACIレポート》
 緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)氏の新著
「歩きはじめた沖縄-沖縄の自然と歴史、そして辺野古-」が5月25日発売!
 http://www.amazon.co.jp/dp/4763407775
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<内容紹介>

よみがえる琉球の鼓動

辺野古に揺れる沖縄
近代以降の矛盾が噴出するなかで見直される琉球独自のポジションと文化

世界遺産、琉球文化、沖縄戦の爪痕、遺骨収集、そして辺野古
本土では分からない沖縄のリアル

●主な目次
はじめに
序章――やんばるからの平和メッセージ
第1章 琉球・沖縄の自然
第2章 琉球・沖縄の歴史
第3章 沖縄戦――最後の激戦地を歩く
第4章 辺野古はいま
第5章 沖縄の道標
あとがき
書籍の詳細・購入はコチラから→http://www.amazon.co.jp/dp/4763407775

緒方 修(おがた・おさむ)プロフィール
1946年生。中央大学卒、文化放送放送記者・プロデューサーを経て青山学院大学、法政大学講師。1999年より沖縄大学教授。早稲田大学オープン教育センター講師など。
現在、東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長、NPOアジアクラブ理事長ほか。
著書に『シルクロードの未知国――トルクメニスタン最新事情』(芙蓉書房出版)――日本地方新聞協会・特別賞、『客家見聞録』(現代書館)、『沖縄野菜健康法』(実業の日本社)、『燦々オキナワ』(現代書館)など。

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【4】《研究員コラム》
 緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「青い眼が見た大琉球 no.2」
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さらば愛しき島よ、民よ

我ら等しく友情を分かち合うも
 なお深き哀惜の絆で結ばれしも幾たりか。
幾たびとなく脳裏に浮かぶは
 懐かしきメーデーラ―にジラーの名
さらば愛しき島よ、民よ
永遠(とわ)に平穏なれ
暗雲は遠くにありて、おお
 迫り来る敵よ、聞け海神(わだつみ)の声を

これはバジル・ホールが琉球を去るにあたって、乗組員の一人「ジラード君」が作った詩だ。
(英人 バジル・ホールと大琉球―山口栄鉄)―以下「大琉球」と記す。」

メーデーラ―とは終始付き添った通訳、真栄平房昭。ジラーとはいつも上機嫌で笑い上戸と呼ばれた「次良」。
「真栄平は、親交を結んでいたアルセスト号の少尉ホップナー君に会いに士官次室へ行った。ホップナー君が真栄平にアルセスト号の絵と二、三の品を贈ると、真栄平はひどく感激して言った。(略)
Tomorrow ship go sea:  I go my father house, two day distance: when I see my father, I show him your present, and I tell him, me, Henry Hoppner all same(as)brother.
そして彼はわっと泣き出したのであった!
(朝鮮・琉球航海記―ベイジル・ホール)―以下、「航海記」と記す。
こうした交流が200年前に琉球で行われていた。なぜこのような友好的な交流が可能だったのか?

非友好交流
「大琉球」によれば、ヤマトでは鎖国が続き、1808年には長崎沖でイギリスの軍艦が侵入したフェートン事件が起きている。これはオランダの国旗を掲げ、国籍を偽って入港したイギリス船との間で生じた事件だ。オランダ商館員が拉致され、警備担当の鍋島藩は太平に慣れ、警備を薄くしていたため対処不可能。長崎奉行の松平康英は薩摩、肥後、久留米などの他藩に応援を求め、フェートン号の抑留か焼き討ちを図る。しかし果たせなかった。その責任をとって切腹。
バジル・ホール来琉の8年前だ。
異国船打払令は1825年、異国船はためらわず打払えと各大名におふれが出た。
1837年、モリソン号事件が起きた。日本の漂流民を載せたアメリカ船を浦賀奉行が砲撃して追い返したのだ。
著者の山口氏は、ヤマトの対外関係史は「殺戮、殺傷、鮮血、非友好」と指摘している。

「航海記」の原題は「朝鮮西海岸および大琉球島への発見航海の記録」。
朝鮮への西海岸への航海は、あまり愉快なものではなかった。
例えば・・・位の高そうな老人に、上陸を許可してくれるように頼む。すると「彼は自分の首を下げ、片手をのどにあてて引いて、首を斬られてしまう、という様子をしてみせた。」
「老人は、部下の兵士に向かって人々を解散させるように命じ、兵士たちはたちまち大きな石を投げはじめたのであった。ここで首長は激しく泣きはじめ、従者の一人の肩にすがって、村の方へ歩きだした。彼は歩きながらすすり泣くばかりでなく、時々、大声をあげて泣きさけぶのである。予想もしなかった光景に接した私たちは、このような最悪の事態に立ち至ったことを残念に思った。」
老人の行動が、「演技」なのか、「本気」なのか、バジル・ホールにも分からない。わずか10日間くらいの航海で通訳もいない旅だから無理もないが、「不愛想な海岸」という記述も見られる。

好意的な人々
それに対して、次の訪問地・琉球では、ウチナーンチュの「志情(しなさき)」、「肝心(ちむぐくる)」が発揮されている、と山口氏は言う。
糸満沖とみられる地点で、数隻のサバニが近寄ってきた。現地人がライラ号に上って来る。
「われわれは、これほど好意的な人々に出会ったことはかつてない。彼らは舟を横付けにすると、すぐ一人が水の入った壺を、もう一人は、ふかしたサツマイモの入った籠を差し出したが、代価を要求したり、ほのめかしたりすることはない。その態度はおだやかで、礼儀正しかった。われわれの前では頭にかぶっていたものをとり、話しかけるときにはお辞儀をした。」―航海記より

琉球側は、何はともあれ異国船は穏便にお引き取り頂きたい、という態度を貫いていた。
そのためには貧しいながら山ほど贈り物を用意する。
アルセスト号のみ記すが、ライラ号にはだいたいこの半分だ。

豚           23
山羊          15
鶏(1)        216
魚           29
薩摩芋(袋入り)(2)  59
カボチャの一種     34
焼酎の壺        6

ジンジャーブレッド*  8
玉ネギ*        16
二十日大根*      30
セロリ―*       12
ニンニク*       8
ロウソク*       7
薪*          16
(*はいずれも束)
カボチャ        60
素麺(籠入り)     7
砂糖(箱入り)     7
捺染の布地(巻いた反物)14
紙(束)        6
(1)、(2)はいずれも士官用に供給

涙ぐましいほどの努力をして、異国船に「奉仕」する琉球人の姿が浮かぶ。

ウチナーンチュの心

しかし強いられて異国船に「奉仕」した訳ではない。病気も災害も大切にして、早く去って頂く、触らぬ神に祟りなし、と願う心があった。
近松門左衛門(1653~1724年)の時代には悪政も社会の矛盾も、地震や台風などのように受け止めていた、とどこかで山崎正和が指摘していた。愛する男女が結ばれないのも天の災い、生きていて願いが叶うことはない。心中するしかない。つまり運命は変えられない。ならば悲運は祈って打払う。だめなら過ぎ去るのを待つ、しかない。
こうした考えがウチナーンチュの根底にあったのだろう。時代が下って日本軍の襲来も米軍の侵攻もそうではないか。薩摩侵攻以来の大凶事が起きてしまった。祈りが全く通じなかった。
沖縄には御願不足(うがんぶしく)という考えがある。失恋も試験の不合格も事故も落選も・・病気のまん延も害虫の跋扈も、すべて祈りが足りないのだ。こうした「処世術」が残っているように感じる。

異国人の来琉も同じ。大事にして、早く目の前からいなくなってもらう。
それは琉球王府の方針でもあった。漂着した船には十分な薪や水、食料を与える。そして人々には接触させない。
漢方的外交、という言葉はないが西洋医学のようにばい菌や病巣を直接撃つのではなく、じわじわと毒が排出されるのを待つ。あるいはこちらの真心を通じさせ、相手があきらめて出て行く。琉球のような小国にはこうした気の長いやり方しかなかった。

肝心(ちむぐくる)が伝わった一例をあげると、異国船の乗組員の死や事故の時だ。
水兵が病死すると、「これを知った土地の人々は、彼のために墓をたてる許可をもとめ、マクスウェル館長に適当と思う場所を選んでくれるよう頼んだ。」
艦長が寺院に近い林の中と答えた。翌日、遺体を墓まで運ぶ。
「マクスウェル館長は、慣習に従って士官や乗組員たちを先に立て、自分は列の最後尾に従った。この土地の人々の順応性が、このときほど遺憾なく発揮されたことはない。もっとも高位の者が、いちばん最後に並んでいるという事実を認めるやいなや、彼らは、自分たちはこの場合、最前列につくべきだと判断して行列の先頭に加わったのであった。そして葬儀の行われている間、深い静寂を保ちつづけた。」さらに「一夜あけると、人々は墓地に石を建てる許しを求めにきた。」
その後、墓石を建て、大きな豚を捧げ、紙銭をもやし・・琉球の流儀に従って葬儀を営む。
そして墓碑銘を刻んだ。
「ここに大英帝国海軍アルセスト号の水兵
ウィリアム・ヘアーズは眠る。
一八一六年十月十五日死去 享年二十一歳。
この墓は、琉球島の国王と島民たちの
深い配慮によってつくられた。」
「この言葉の意味が通訳されると、首長たちは、自分たちの親切が英国人に通じたことを知って、非常に満足したとのことである。」(航海記)

ナポレオンとの会見

琉球を去った後、バジル・ホールがなぜセントヘレナに流されていたナポレオンに会ったのか、会えたのか、疑問に思っていた。
ホールの父は、1790年代にフランスのブリエンヌ士官学校に留学し、若きナポレオンを知っていたのだ。
―ナポレオンは「なにしろ父上(注・ジェイムズ・ホール〉は私が出会った最初のイギリス人だったのだから、驚くにはあたらない」と答えた。
つまりホールはかつての同窓生の息子だったのだ。この後、有名な文が続く。
「琉球では武器を用いず、貨幣を知らない、また皇帝の名前も聞いたことがない、とホールが語ると、ナポレオンは大笑いし、笑い声が隣室まで聞こえたという。」(航海記)

ナポレオンは、武器を用いない、という言葉に笑ったのではなく、ナポレオンを知らないことに大笑いしている。

追記 熊本地震・被災地を行く 2
熊本市から北へ向かう。大津に近づくと阿蘇の外輪山が遠くに見えてきた。ところどころ山肌が白く覆われている。雪が残っている?と思ったがこの時期にはあり得ない。地震による地滑りの跡に違いない。いとこの家の手前の土塀が崩れていた。いとこの家は被害なし。保険の仕事をしているので地震後は毎日電話が入って忙しい、とのこと。
山鹿へ向かう途中、ところどころ瓦屋根をブルーシートが覆っている家が目立った。玉名郡和水(なごみ)町に着いた。ほとんど地震の爪痕は感じられない。途中、トンカラリンという不思議な看板を見た。トンネルの遺構のようだ。江田船山古墳の近く。この古墳から出土した92件の剣、鎧、金製の耳飾りなどは全て国宝として東京国立博物館に保管展示されている。なにか関係あるのではないか。
トンカラリンの説明板には以下のように書かれていた。
「全長445.6mでトンネル状の地隙や、地下道のような石組み暗渠等が組み合わさった実に不思議な構造物である。昭和五十年代に、作家の故松本清張氏が現地を調査して、邪馬台国が記された「魏志倭人伝」(三世紀に書かれた中国の歴史書)の一節から、シャーマニズムに関係した鬼道(きどう)ではないか」と推論したことで、全国的にその名が知られた。」
トンカラリンに沿って、木枠の階段が続いている。最初にトンネルがあり、地震のせいだろうか、立ち入り禁止となっていた。這ってようやくくぐれるくらいの狭いトンネル。中をのぞくと小さな石段がある。排水溝ならば必要ないものだ。冥界への通路という説もあるようだ。トンネルはやがて開け、地割れのような小さな谷が伸びている。やがてまたトンネルが続く。しばらく登ってゆくと道路に出た。渡ると菅原神社という古い神社があった。
石灯籠は倒れ、本堂の周りのブロックが壊れ、屋根の鯱(しゃちほこ)の一つが転げ落ち、すぐ近くに割れた尻尾があった。地震から一カ月近くたっているのに全く片づけた気配がない。この神社の復興は難しいだろう。

*あとで調べると、トンネルの入り口は1m×1m、上り坂の角度は30度、最後のトンネルの高さは8m、これらが全てピラミッドに一致するそうだ。さらに石組みも同じ。エジプト学者・吉村作治によればトンカラリンは地底ピラミッドというべき人工物だという。近くから変形頭蓋骨が出土した。92件もの国宝を納めた前方後円墳はすぐ隣りにある。
山鹿市鹿央町石原の装飾古墳館で見たのは彩色された乳房のような模様で有名なチブサン古墳、ナスカの地上絵の猿のように尻尾が何重も巻かれたような人!(尻尾ではなく肩から7重の同心円のような渦が巻いている)、武人を現した石人など不思議なものばかりだった。
装飾古墳は全国で660基。熊本には195基、そのうち私が訪ねた菊池川流域に117基が集中している。トンカラリンの上部に位置する菅原神社は、昔聖地だった場所に後から作られたものに違いない。

☆沖縄の基地周辺の学校(108校)の空調代を防衛省が今後払わない、と決めたらしい。あきらかにいやがらせだ。本土の新聞にはほとんど載らないが、連日話題になっている。
20歳の女性が行方不明、重要参考人として米軍関係者が取り調べを受けている。(5.18記)
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