志情(しなさき)の海へ

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東アジア共同体研究所(EACI) News Weeky Vol.041 「辺野古でのカヌー練習」】

2015-10-18 00:17:17 | 沖縄の過去・現在・未来

           (キャンパスの雑草!元気よく眼を楽しませています!)

 
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    EACI News Weekly 第41号(10月17日号)
   東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
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 【目次】

 【1】《今週のニュース 10/10-10/16》
  政治(3)、経済(3)、国際(2)、社会(2)

 【2】《UIチャンネル放送予告 No.124》
 10月19日(月)20時 鳩山友紀夫×高野孟×朽木昭文鼎談
 「ついに生まれる!ASEAN経済共同体とは」
 http://live.nicovideo.jp/watch/lv238510148

 【3】《EACIレポート》
「10.8戦争法廃止!安倍内閣退陣!総がかり行動集会」が10月8日に開催

 【4】《研究員コラム》
  緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター)
「辺野古でのカヌー練習」

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【1】《今週のニュース 10/10-10/16》
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【政治】
■安保法議事録に「可決」追記 野党、参院に調査要求
 (東京新聞  2015.10.15)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201510/CK2015101502000136.html

■辺野古埋め立て根拠失う 翁長知事が承認取り消し(会見映像付き)
 (沖縄タイムス  2015.10.13)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=136905

■島尻安伊子沖縄相と翁長知事、来週にも初会談へ
 (沖縄タイムス 2015.10.16)
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=137306

【経済】
■農家が批判「場当たり的」 政府のTPP地方説明会
(東京新聞 2015.10.16)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201510/CK2015101602000125.html

■<TPP大筋合意>多国間交渉はなぜ難航したのか?
 (毎日新聞 2015.10.15)
http://mainichi.jp/premier/business/entry/index.html?id=20151014biz00m010011000c

■JA全国大会で安倍首相「関税撤廃の例外守った」、参加者からヤジも
(TBS 2015.10.15)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2612913.html

【国際】
■ミャンマー総選挙、延期提案後に撤回 選管委員長
 (朝日新聞 2015.10.14)
http://www.asahi.com/articles/ASHBF63DJHBFUHBI01Q.html

■米軍:アフガン撤退断念 オバマ氏退任後も5500人駐留
 (毎日新聞 2015.10.16)
http://mainichi.jp/select/news/20151016k0000m030126000c.html

【社会】
■知事への支援呼び掛け 辺野古ゲート前の市民ら
 (琉球新報 2015.10.15)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-154412.html

■基地建設と交付金をめぐり揺れる辺野古の人々
 (TBS 2015.10.13)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2611879.html

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 【2】《UIチャンネル放送予告 No.124》
 10月19日(月)20時 鳩山友紀夫×高野孟×朽木昭文鼎談
 「ついに生まれる!ASEAN経済共同体とは」
 http://live.nicovideo.jp/watch/lv238510148
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10月19日(月)20時からの第124回UIチャンネル放送は、日本大学生物資源科学部教授の朽木昭文氏をお招きして、鳩山友紀夫×高野孟×朽木昭文鼎談「ついに生まれる!ASEAN経済共同体とは」を生放送でお送り致します。

朽木昭文氏プロフィール
日本大学生物資源科学部教授。京都大学農学部農林経済学科卒、アジア経済研究所、ペンシルベニア大学経済学部、国際協力銀行、日本貿易振興機構・アジア経済研究所、世界銀行、日本貿易振興機構を経て2008年4月から現職。

【主な業績】
『アジア産業クラスター論:フローチャート・アプローチ』書籍工房早山(2007)、 『テキストブック開発経済学』(共編著)有斐閣(2004)、 『貧困削減と世界銀行』ジェトロ・アジア経済研究所(2004)。 Kuchiki, A. and M. Tsuji eds.(2005)Industrial Clusters in Asia, Palgrave Macmillan: London. Kuchiki, A. and M. Tsuji eds.(2008)Flowchart Approach to Industrial Cluster Policy, Palgrave Macmillan: London. などがある。

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【3】《EACIレポート》
「10.8戦争法廃止!安倍内閣退陣!総がかり行動集会」が10月8日に開催
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安全保障関連法に抗議する「10.8戦争法廃止!安倍内閣退陣!総がかり行動集会」が8日、東京都文京区の文京シビックホールで開催され、1750人(主催者発表)が参加した。出席者の発言ダイジェストは以下のとおり。(立憲フォーラム事務局より転載)

【「10・8戦争法廃止!安倍内閣退陣!総がかり行動集会」ダイジェスト】

<開会あいさつ>

◆高田健(解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)
「戦争法への怒り、エネルギーは全く消えていない。60年安保の後のような挫折感は運動内部にはない。歴史的闘いの中で獲得した確信と希望がある。「採決」されたが憲法違反に変わりはない。憲法9条は大きな痛手をこうむったが、どっこい生きている。第3次安倍政権の「経済、経済」の連呼を見ると、壮大な虚言の中に戦争のための軍事力作りと明文改憲への狙いが透けて見える。極めて欺瞞的で危険な内閣だ。ハリボテのような内閣を倒し、戦争法を廃止するため、全力で、総がかりで闘っていこう」

<講演>
◆熊岡路矢(NGO非戦ネット、日本国際ボランティアセンター(JVC)顧問)

「クンドゥズでの「国境なき医師団(MSF)」の病院に対する米軍の爆撃は国際人道法違反の戦争犯罪だ。徹底調査のうえで国際刑事裁判所にも訴える方向だが、訴える国がまだ見つかっていない。MSFは2004年にも5人が殺害されアフガンを一時撤退した。米軍など連合軍やアフガン軍が村に入り、病院を占拠したりした。そのため、反政府勢力がMSFを連合軍と同じと見なした」
「JVCの今井高樹によれば、2011年の南スーダン独立の頃、中央スーダン共和国軍が南スーダンに攻め込み、市街戦が勃発した。その時のPKOトップの「動かず待て」の指示は正しかった。混乱しているところに武装した集団が来れば事態は悪化する。非武装の人々が普通の四輪駆動車で救援を成功させた」
「2013年、南スーダンの2つのグループが衝突した際、PKOは駆けつけず、全体の沈静化を待って人々を保護した。何がどうなっているかわからず、武装勢力と一般住民の区別は不可能。安倍内閣が考えているような都合のいい状況は、現実のリアルな事態とはほど遠いものだ」
「どの戦争も間違いなく汚いものだ。皆さんや両親、子ども、孫たちが殺傷されるのが戦場。武器商人や軍産共同体が儲かる。記録に残せないほど多くの人々が死傷し、イラクでは100万人単位とも言われる。米国が無理やり始めた戦争でイラクは破綻国家になり、シリア内戦やISを生むことにつながった」
「大学でも教えているが、以前の「アフガンやユーゴはどうなっているか?」というような質問が、ここ1、2年で「自分も戦争に行くのか?」「日本も戦争に巻き込まれるのか?」と変わってきた。南スーダンの状況は長く住んでいる人でもわからない中、途中で交代し、閉じこもって暮らしている自衛隊に正しい判断ができるのか?」

<国会議員から>

◆福山哲郎(民主党)
「悔しい。何の採決が行われたのかわからない。許してはいけない。一方で新しい民主主義の局面が見えてきた。国会内外がつながり、学者や弁護士などから闘い方、知恵をもらった。今後も大きな力になる。また、参院本会議をNHKに中継させたのも大きかった。大阪梅田のSEALDs関西の街宣に約4500人、今日もたくさんの人。闘いはこれから。終わっていない。一緒に続けていこう」

◆田村智子(共産党)
「垣根を超えた皆さんの連携が野党の結束を作った。一人ひとりの生き方、人生を賭けた心からの言葉は、安倍政権の答弁を遥かに凌駕した。世界一強い親分のアメリカについていけば誰も手を出さないだろうというのはヤクザの世界観だ。安倍内閣打倒、戦争法廃止、7・1閣議決定の白紙撤回を実現する新しい政府を作ろう。そのために選挙協力を。政党同士の深い信頼関係に基づくつながりを」

◆吉田忠智(社民党)「雑誌『世界』のタイトルが「法治崩壊」だが、憲法の上に多数を握った権力者が居座る異常な状態だ。法治国家、立憲主義が壊れている。一方で大きな希望もある。総がかり行動は経緯や違いをすべて呑み込んで一緒に行動した。それが今まで参加しなかった人々が参加する土台を作った。国会で野党が多数を握るため、とりわけ参議院の32の一人区で野党の候補者を一人に絞ろう」

<連帯あいさつ>

◆佐藤学(安全保障関連法に反対する学者の会)
「150人の学者による記者会見、SEALDsや日弁連との共同行動などを成功させてきた。団体名から「案」をとり継続していく。150大学で有志の会もでき、増え続けている。10月25日にSEALDsとの集会、12月6日に日比谷野音でSEALDsとの共同行動を行う。憲法より上位で違憲の法が機能する。これはクーデターだ。その遂行を断固阻止する。米国の科学研究費の3分の1は軍事研究だ。そんな事態にしていいのか」

◆山岸良太(日弁連)
「長く広範囲に連帯して運動した。国会で決まっても憲法違反は憲法違反。違憲の法を運用、適用させず廃止させる決意を固めている。安倍政権は、国会内の手続きやルールをことごとく無視し、市民の明確な反対の意思表示と大多数が「説明不十分」とする世論を押し切った。立憲主義の危機だ。正義と真理は皆さんのもとにあり、これを信じて最後まで闘い抜く」

◆石川健治(立憲デモクラシーの会)
「運動に慣れていない学者が一生懸命にやってきた。8月30日の国会前の素晴らしい場にいられたのは幸せだ。屋内集会も会場をキャンセルして国会前でリレートークを行った。10月30日の18時から日本教育会館でシンポジウムを行う。砂川判決が正当化のために乱用されたが、判決は「一見極めて明白に違憲な場合は無効である」としている。砂川判決を軽んずるものは砂川判決に復讐されるだろう」

◆本間信和(SEALDs)
「全然落ち込む必要はないが簡単に楽観することもできない。これから何をするか。デモ、話しかけ、あるいはポスターかもしれない。それらを次の選挙で議席数に絶対反映させなければいけない。政権は嵐は過ぎ去ったと思っているが、嵐はそう簡単に終わらない。今までは「国会の外にこそ民主主義がある」と行動してきたが、9月19日、国会の外と中がつながった。このつながりを絶対に途絶えさせてはいけない。今もそれを切断、分断、隔離させる力がうごめいている。このつながりが大きな力になる。一緒に頑張ろう」

◆内田雅敏(弁護士)
「小泉首相の靖国参拝に対する福岡での違憲訴訟の裁判官は遺書を用意したという。戦争法制は多くの法律家がその責務として裁判で闘う決意だ。弁護士や元裁判官が具体的な訴状の案を練っている。平和的生存権、人格権の侵害で国賠訴訟を検討していく。若手から元裁判官まで、法律家の総がかりで全国の8つの高裁などで提訴を目指す。私は今、国民の民主主義的傾向の復活強化に言及した、ポツダム宣言10項後段を思い起こす。自由民権運動や大正デモクラシーなどの伝統を引き継いで戦争法制反対の運動を展開しよう」

<総がかり実参加団体から>

◆菱山南帆子(9条壊すな!街宣チーム)
「5人からスタートした街宣は300人以上にまで膨れ上がった。一方通行でなく共感と対話。上から目線でなく市民と同じ目線。手話、紙芝居、スタンディングなど、心動かす一つの運動としての街宣を心がけた。「雨にも負けず、安倍にも負けず」「街中から揺るがそう」「街中民主主義」などの言葉が生まれ、国会に向かう目に見えない無数の水路を切り開いた。20人を超える弾圧を思い起こし、どんなことがあっても怯まず前進しよう。「八王子から国会へ」を合言葉に地域でも取り組んだ。市民運動の発展こそ決定的だ。2015年安保闘争の発展へ、排除でなく共同こそ勝利の鍵だ」

◆渡辺多嘉子(宗教者)
「様々な宗教者グループが戦争法制に断固反対を表明している。「生きとし生けるものの命を守ろう」との根底にあるのは、弱い立場に置かれた人々への共感だ。安倍政治に決定的に欠けているのはこれ。国会議事堂前は民主主義の学校。安倍政治は「富国強兵」を進めている。野党の皆さんを見守ることをやめない。課題は多く安易な楽観論に与することはできないが、「正義と平和は抱き合う」(旧約聖書)。宗教者も一緒に闘っていく」

◆土井登美江(脱原発をめざす女たちの会)
「戦争法制をどうしようかと考え、総がかりの呼びかけに賛同し、一緒に団結できた。安倍首相は世界中を回って「自由と民主主義、法の支配」と言っているが、国内で正反対の事をやっている。戦争法反対と脱原発との共通点は、圧倒的な人々が反対している点と女性の反対が10%多いこと。11月23日に小出裕章さんと武藤類子さんを呼んで集会を行う」

◆前田能成(「秘密保護法」廃止へ!実行委員会)
「中谷大臣は「対処基本方針に記載する前提となる情報が特定秘密に該当する可能性がある」と答弁した。秘密法と戦争法は一体だ。秘密法廃止のために、情報公開法と公文書管理法をうまく使う事が有効だ。公文書管理法見直しの検討が始まっている。立法や司法についても公文書として管理させることで議員へもプレッシャーをかけよう。特定秘密を隠せないように、後で検証できるようにするのが重要だ」

◆木村辰彦(沖縄一坪反戦地主会関東ブロック)
「翁長知事が13日にも埋め立て承認を取り消す。沖縄県民の尊厳と誇りをかけた決定だ。ゲート前や海上での闘い、本土での戦争法・新基地反対の闘いの結びつき、明らかに法的瑕疵があるとした県の検証委員会。これらがつながった結果だ。日本政府は法治国家ならただちに工事を中止すべきだ。行政不服審査を悪用する脱法行為を許すことはできない。戦争法を発動させない闘いの中軸に辺野古問題をすえて闘ってほしい。政府は10月下旬から11月にも埋め立てを強行しようとしている。体を張って闘う決意だ」

◆俵義文(安倍の教育政策NOネット)
「育鵬社、自由社の教科書を採択させない闘いを行い、名古屋市をはじめ危ない地域で阻止した。これから戦争する国の担い手を作る教育が推進される。安倍首相をはじめ、道徳性もなくルールも守らぬ人たちが道徳を教科化し、あらゆる教科の統制を狙っている。道徳に学問的根拠はなく、国家が思い通りの内容の教科書を作れるようになる。戦争するため、グローバル企業のための人材作りだ。秋から大学習運動を行っていく」

<行動提起>

◆福山真劫(戦争をさせない1000人委員会)
「闘いの中で多くのものを得てきた。戦争法を廃止し、安倍政権を倒す希望と可能性を獲得してきた。一方で反省点もある。60%の反対、80%の「今回で決めるべきではない」との層を大きく運動に巻き込めなかった。また、38%の非正規労働者などへの働きかけや地域へのきめ細かい展開が弱かった。今後の取り組みの基本的考え方は(1)戦争法廃止、発動阻止の取り組み(2)立憲主義、憲法擁護の取り組み(3)沖縄、脱原発、人間の安全保障(格差、貧困)を視野に入れての取り組み(4)戦争法廃案で奮闘した野党との連携強化(5)諸団体、市民との連携した取り組みの強化、その他。
具体的取り組みは、(1)総がかり実の組織強化と運動の継続・拡大(2)毎月19日行動(10月19日18時30分 国会正門前集会、11月19日18時30分 日比谷野音か国会周辺集会)(3)戦争法施行・具体化に対応した集会・抗議行動(4)違憲訴訟支援(5)一大署名運動(5・3集会をめざし、2000万筆以上を目標に統一した請願署名運動)(6)沖縄、脱原発、人間の安全保障(格差、貧困など)を視野に連携(7)統一憲法記念日集会(2016年5月3日、有明防災公園で)(8)参議院選挙に向け、野党との連携強化・支援、その他。高知の自由民権記念館にある植木枝盛の言葉「未来がその胸中にあるもの、これを青年と言う」を紹介したい。ともに
頑張ろう」

以上

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【4】《研究員コラム》
 緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター)
「辺野古でのカヌー練習」
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辺野古でのカヌー練習
辺野古の新基地反対派のテントは3つある。ニュースによく登場するのが米軍キャンプシュワブ・ゲート前。これが座り込みテントだ。一番早く出来たのが辺野古漁港の隣り・階段状の護岸の上のテント。もう一つ、そこから100m離れた集落内にテント2がある。
9月20日(日)朝7時半、那覇を出て辺野古へ向かった。一行は3人、東アジア共同体琉球・沖縄センターの瑞慶覧長敏氏(読める人は沖縄通)、奥住英二特別研究員、そして私。年齢を合わせると約200歳。私を除いた二人がカヌーの練習に挑む。これを世間では年寄りの冷や水と呼ぶ。しかし沖縄の海は暖かい。年寄りも珍しくない。せいぜいぎっくり腰をおこさないよう、がんばってくれ。
私は、といえば3週間くらい前から腰の筋肉に激痛が走り、かばいながら歩いている。
そこで傍観者に徹することとした。
テント2に着くと韓国語が氾濫している。カヌーの練習などの体験コースが人気なのだろう。軽トラックの荷台に6台ほどカヌーが載せられ次々と運ばれてゆく。我々のグループは、ちゃんと予約しているのだが、いつ呼ばれるのだろうか?不安になって係らしい人に聞いてみると、ノートに名前を書いてくれ、と一言。こちらから聞かなければ置いて行かれるところだった。参加料は?・・なし。いかにも沖縄的というかテーゲー(大概=アバウト)の良さだ。
作家の目取真俊氏がいた。トレードマークのサングラスをかけていないので気を付けないと分からない。彼は連日、海上での抵抗運動、それにカヌー教室の先生も務めている。

海岸でパドル(櫂)を動かす練習。両手を45度くらいに広げつかむ。動かし方は浅くも深くもなく水平になるように右左と漕ぐ。
テンガロンハットをかぶりレイバン風のサングラスのzukeran chobin氏。ずけらんちょーびん、と読む。沖縄では珍しくない瑞慶覧姓。首里から来た誇り高き一族だそうだ。元国会議員。現在は東アジア共同体琉球沖縄センター事務局長。ずけらんという名前は本土にはない。アメリカ留学した時にハンガリー人に間違えられたそうだ。ザッカランとかいう名前の人がいそうだ。ChobinではなくChopinなら有名なポーランドの音楽家ショパン。
無精ひげがいつのまにか様になり、サングラスと似合う。シチリアあたりの貴族の末裔と称しても納得する人がいるかもしれない。ハプスブルク帝国の気まぐれ王子が地中海へ出かけ、漁村の娘と恋に落ち、生まれた子。その2~3代後のまたまた気まぐれ男が、なぜかしらないが糸満の漁師と一緒に沖縄までやってきた・・???。
奥住氏は東京生まれ。復帰前から沖縄に移り住んだウチナームーク(沖縄婿)。こちらは・・ハプスブルクもブルボンも関係ない、純粋ヤマトゥ(日本人)。

救命具をつけてガイドの説明を聞く二人。ミネラルウォーターのキャップにビニールの紐をつけ、カヌーにつなぐ。こうすると無くなる心配はない。なるほど。
済州島や台湾から来た女性グループもいる。韓国からの学生たちは既に50mくらい沖ではしゃぎながら練習している。おじさん二人のカヌー初体験はうまくいくのだろうか。
帰ってから聞くと、奥住氏によれば「エコツァーとして最高」と満足そうだった。

チョービン・レポート a
数日後に瑞慶覧朝敏氏より報告があった。aはカヌー教室。bは午後の大浦湾巡りだ。
――カヌー教室は参加無料だった。我々のチームは子供2人を含む13名が参加。もう一つのチームは、韓国、台湾、ハワイなどの若者たちのグループ50名程。彼らは、潜ったり『辺野古埋め立て反対!』と気勢をあげたりで、とても賑やかだった。時間は朝の9時半から12時まで。4人1組になり、浜で注意事項を聞いた後、早速一人一艇でカヌーに乗り込み、前半50分後半50分合計2時間弱を辺野古の波に揺られる。穏やかな天候だったこともあり、とてもスムーズに教室を終えることができた。終了後、2人の方が『もっと上手くなって、阻止行動にも参加したい』と決意をのべていた。又、特筆事項として皆さんにぜひお知らせしたいのは、我々のチームに最初から最後までついてくれたのが、あの芥川賞作家の目取真俊さんだったã
 ��と。手綱裁きから、何から何までとても要領よくこなしておられたのが深く印象に残っている。執筆活動を中断して辺野古に張り付いていることを知ってはいたが、実際に彼のその姿を目の当たりして改めて尊敬の念を抱いた次第。――

大浦湾巡り
チョービン・レポート b
地図で言うと、辺野古のすぐ北西に広がるのが大浦湾だ。一度、実際に船を雇って廻って見よう、と考えた。琉球・沖縄センターにあるメーリングリストで呼びかけ14人(船長ふくむ)で乗り出した。
辺野古漁港の側は遠浅だが、左へ回り大浦湾にかかるとすぐに海面の濃さに気が付く。深くなっているのだ。軍艦が出入りするにはもってこいの立地条件。前回にも述べたが、陸海空の立体的な共同軍事作戦には最適。そんなことは半世紀も前から米軍は調査済み。だから辺野古にこだわっているのだ。ではチョービン・レポートパート2。
――船上視察は、午後1時半に辺野古漁港を出発、大浦湾をぐるっと回る感じで3時半に港に戻った。正味約2時間だ。漁港を出発するとしばらく浅瀬が続く。そして辺野古の岬が近づいて来る。岬の先端からすぐのところに平島と長島という2つの小島がある。船は、まず平島のそばを通過し、そして長島を通過する。その辺りは塩の流れだろうか結構波が高く船も揺れた。長島にはちょうど手ごろなビーチがあり、地元民や海兵隊がよくビーチパーティーをするらしい。その日も30~40人はいただろうか、ビーチパーティーの真っ最中だった。長島を過ぎた後に見えてきたのが、オレンジの、例のあのフロートだ。ガイド役の東恩納琢磨名護市議が『あれが40tのブロックです。海の底に沈んでいます。見えますか』と大きな声
 を張り上げる。琢磨さんが説明を続けている間に、いつの間にか来たのか、海上保安庁の大きな船がフロートの内側から拡声器を使って何やら言い出した。音が小さいのかよく聞こえず、『聞こえません。もっと大きな声で言ってください』と逆にリクエストしたのだが逆に黙ってしまった。フロートの中にも入っていない我々に何を注意しているのだろうかと思ったら、近くにブイがあって、そのブイとブイの間の見えない線を越えたので注意をしているのだと言う。一同『何ともはや』。
船は、アオサンゴ群の真上に来た。琢磨さんの指示で船長が船を停め、琉球・沖縄センター長の緒方他3人が準備してきたシュノーケルを身に着け海に入る。波は穏やかなのだが、悪いことに曇り空。何度も海面に顔を突っ込むのだが、結局満足のいくアオサンゴを見ることは叶わなかった。うーん残念。この時点で時間は3時近く。予定ではそのあと平島に上陸することになっていた。平島に近づき上陸可能な地点を探すが、我々の船が寄せられるポイントが見つからず、島を一周ぐるっと回った後、あきらめて、漁港に戻ることになった。平島には長島のような砂浜は無いが、その代わりに突き出た岩場が沢山あり、そこには多くの釣り人が糸を垂れていた。そこもれっきとして地元の人たちが楽しむ場であることは間違いない。
 水がきれいだったことはあえて言う必要もないだろう。

3時半に辺野古漁港に入港、そしてトラブルもなく無事解散。とても有意義な2時間だった。参加者一同からも感謝の意をいただいた。急な計画ではあったけれど遂行できて良かったとつくづく思った。佐次田船長そして急きょガイドを引き受けてくれた東恩納琢磨市議に感謝。――

*カヌー教室と大浦湾視察については沖縄ノート37と一部重複する。

大浦湾には巨大な青サンゴがある。岸からわずか10分のところだ。カヌチャベイ・ホテルのグラス・ボートに乗って見たことがある。ぜひ泳ぎながら真上から見てみたい、と思っていた。
残念ながら私は水中1m以下に潜るとめまいを起こす、と医者から注意されている。19歳の時に左耳の奥に仮性真珠腫というのが出来て、鼓膜を一度取っている。すると耳抜きが出来ないそうだ。ダイビングなど出来なくても人生何の支障もないが、この青サンゴは下から見上げるとピラミッドみたいで感動的だと聞いている。
船の脇に2~3段の階段をつけてもらい、海に入る。濃い青。下にあるはずの青サンゴが見えない。曇り空なので海中は暗い。大きなテーブルサンゴがあった。丸い輪を描いた珊瑚が3段重なっている。重ね餅のようだ。小さなUFOが海に潜んでいるような錯覚に陥った。
水の中は怖い。子どもの時に、「海底2万哩」(マイル)という映画を見て以来、潜水艦を襲う巨大なイカに震え、「アマゾンの半魚人」に脅え、最近のテレビ番組ではベナレス川だったかで死体を食いあらして育つ巨大魚のドキュメンタリーに恐怖した。
恐怖の源をさかのぼれば小学校2年生くらいの時だったろうか、近くの江津湖(熊本市内水前寺公園の下流)に兄の友人たちと出かけた。兄とは6歳違いだから、彼らは中学生だったろう。小さな舟を借りて湖上へ。江津湖畔で育った子供たちだから竿をあやつり舟を操ったり泳ぎ回るのは朝飯前。斉藤橋(斉藤家は俳人中村汀女の実家)に舟を寄せた。「とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな」。これは現在、近くの県立近代美術館の庭にある汀女の歌碑だ。
透明な水、うっそうと繁る草や木々、真っ青な青空、白い雲・・そのころ公害などという言葉もなかった。川岸に足を踏み入れればバッタが飛び出し、蛙が跳ね、蛇が逃げ出した。中村汀女の育った江津湖畔は虫、魚、鳥の王国だった。
斉藤橋の橋脚で、誰かが言った。「昔、橋を造るときは、女性たちを川で泳がせ、弓矢で射て殺し、橋の下に埋めた」。私は、いたずらっ子たちから「ここで、つこかす(突き落とす)」と脅かされたのかもしれない。私はまだ泳げなかった。
ぞっとした。
川底からたなびく浮草が長い髪の毛のようだ。死んだ女性の頭が水面のすぐ下に見え、髪の毛がゆらゆらと川面に揺れている・・7歳の男の子が、それだけの想像力を働かせたはずはない。後で思い出す度にふくらんできた解釈だ。しかし60年以上たった今も背筋が寒くなるような恐怖が少し残っている。

青サンゴの話だった。
残念ながらポイントが少しずれていたらしく、見えなかった。曇り空でなければ少し遠くからでも見えただろう。
ジュゴンは比較的浅いところで海草を食む。現在、そこにはフロートが張られ、海上保安庁が雇った巡視船がいつも浮かんでいる。ジュゴンの遊泳もなかなか見ることが出来ない。

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