2013年10月11日 (金)
アメリカのカウボーイ民主主義は"高貴な装い"をまとったテロリズム
セルゲイ・ワシレンコフ
Pravda.ru
2013年10月7日
シリアを巡る最近の出来事は、世界に民主主義の理想を、アメリカがいかに推進しているのかという話題を提起する。アメリカ民主主義の犠牲となった国々の長いリストがある。例えば、アフガニスタンは、アメリカ権力のおかげで、ヘロイン大国となり、リビアは、膨大な富を持ちながら貧困にあえぐ国へと変わってしまった。
"民主的"リビアでの暮しの現実
アメリカ人は実にアメリカ民主主義が大好きで、(カダフィの様な)独裁者に対する憎悪に満ちているので、彼等にとって何か金もうけになるものがある国ならどこでも、いつでも喜んで、爆撃し、占領する。リビアにおける"民主的プロセス"の結果はどうだろう? 12,000人ものアメリカ軍兵士が、マルタにある軍事基地からリビアに再配備された。パイプライン、精油所と石油採掘現場を支配するよう命じられていたと、イギリスの軍事専門家Peter Beynchliは述べている。
スイスとイタリアも軍隊をリビアに派兵した。これが本当のアメリカ民主主義だ。石油、金、石油 ...
これは民主主義の樹立ではなく、実際、国家の天然資源を支配する為の、他国の軍隊によるにリビア占領だ。アメリカが生み出したリビア傀儡政権は、独自に石油生産を支配することはできない。これは、実際、アメリカ人が望んでいたことだ。もしアメリカが石油採掘を米軍支配下に置けば、石油はより安い価格で供給される - 1バレル約25ドルで。
リビア国民が、将来、独裁者カダフィを思い出すようになるのは確実だ。彼が支配していた時代、リビアは全てのアフリカ国家の中で最高の生活水準を享受していた。アメリカ人は既に、たった一つの目的、リビアの石油をほとんどただで汲み出すことを追求している。彼等は、もちろん、リビア国民に(リビア国民自身のお金で)人道的支援を提供するだろう。これこそ、アメリカ民主主義が、リビア国民を臆面もなく略奪する手法だ。アメリカ合州国とNATOにとっては、万事めでたしだ。連中は、民主的な価値に関するたわごとをリビア国民に吹き込んで、非常に安い石油を手にしたのだ。
リビア国民は、喉から手が出るほど欲しがっていた、アメリカの"善玉連中"が与えてくれた民主主義を享受すべく置き去りにされている。リビアでは前向きな変化は全く起きていない。それでも、貧困にあえぐリビア、今や"自由な民主主義の国"と呼べるのだ。国連の最新報告によれば、リビアの監獄では、虐待と拷問が蔓延しているという。二年前の紛争の後、約8,000人が投獄されている。彼らの大半は何ら十分な法的手続き無しに拘留された。
アフガニスタンにおけるアメリカ民主主義
次にアフガニスタンを検討しよう。この国を占領する口実は、2001年9月の、いわゆるテロリスト攻撃だった。しかし現在、ツイン・タワー攻撃に、アフガニスタンの痕跡が皆無であるったことは誰もが理解している。アメリカのアフガニスタン侵略には二つの主な理由がある。この二つの理由は相互補完的だ。
一つ目は、アメリカは、地域を支配し、中央アジアの状況をさらに不安定化するのに、アフガニスタン占領が必要だった。二つ目は、麻薬というがらくたは、そっくりロシアに流れ込んで終わるので、麻薬生産に専念する"バナナ共和国" を獲得するのは、アメリカ人にとって実に好都合なのだ。しかも、これは実にもうかる隠蔽可能な"商売"なのだ。
かくして、アフガニスタンでの民主主義樹立、テロリストの打倒、アフガニスタン経済発展等の口実のもと占領が行われた。興味深いことに、占領中、アフガニスタンでは大きな変化が確かに起きた。アフガニスタンのGDPは66パーセントも成長したが、これはどのような基準からしても驚嘆すべき偉業だ。この数値は経済的奇跡と呼び得るだろう。しかし...
信じがたいGDP成長は、唯一の収入源に基づいている。アフガニスタン・アヘンの高収穫だ。アフガニスタンにおける、アメリカの対テロ作戦開始以来、アフガニスタンにおける麻薬生産量は、2.5倍増えた。現在、アフガニスタンは、ヘロイン生産に全世界で用いられているケシの93パーセントを供給している。
国連の推計によれば、アフガニスタンは、現在、世界が消費する以上のケシを生産していると国連薬物犯罪事務所所長アントニオ・マリア・コスタは述べている。アメリカのアフガニスタン占領の間に、生アヘンは売られなくなった。アフガニスタンに建設された強力な化学工場のおかげで、アフガニスタンは、アヘンではなく、ヘロインを輸出している。密輸ルートはアメリカ軍兵士が派兵された国々と一致している。イラク 、コソボ、ドイツ、スペイン、キルギスタン等々。
血まみれの民主主義
概して、アメリカ合州国は驚くべき国だ。政権も行政府も、立法府の共和党も民主党も、連中全員が民主主義、自由と人権について語る。ところが、アメリカ史を通して、アメリカ人は他の国民を絶滅し、彼らの"カウボーイ" 精神に同意しない国々を征服してきた。ハート・ベントン上院議員が1846年の昔に言った通り、アメリカは、拡張し、征服する運命にあるのだ。
現在、アメリカ合州国は、民主主義やら人権のスローガンの陰に隠れて、国家を丸ごと破壊し、指導者達を殺害している。アメリカ人は自分達は神に選ばれた国民であり、自分達は例外なのだと決めつけている。しかし、こうした神に選ばれた国民はどこへ行こうと、連中は至る所に、荒廃と苦悩と涙をまき散らす。かつて彼等は何百万人ものアメリカのインディアンを絶滅させた。
ベトナム、朝鮮、アフガニスタン、イラク、エジプト、リビア、シリアで一体何人の命を彼等は奪ったのだろう? 民主主義が侵略に基づくことなどありえない。実際、これは民主主義ではなく、"高貴な装い"をまとったテロリズムだ。
記事原文のurl:english.pravda.ru/hotspots/conflicts/07-10-2013/125830-usa_democracy-0/
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「ロシアのマスコミだから、やみくもに反米記事を書いている」とは思わない。属国の悲惨さの一例は今日の大本営報道にも見られる。
2013年10月10日(木)17時47分配信 共同通信
【バンダルスリブガワン共同】安倍晋三首相は10日午後、訪問先のブルネイで記者会見し、環太平洋連携協定(TPP)交渉に関し「年内妥結に向け大きな流れをつくることができた」と成果を強調。同時に「自民党の選挙公約をたがえてはならない。国益を追求する政府の方針に変更はない」と国内調整に全力を挙げる考えを示した。中韓両国との関係改善については「私の対話のドアは常にオープンだ」と首脳会談に応じるよう求めた。
売国を推進するのが成果という不思議。こうした発言、属国国民ではなく、宗主国ジャパン・ハンドラーの皆様に向けたものと思えば筋が通る。大本営広報部の定時のニュースも全く同じ。
我々が暮すこの島国、とんでもない植民地へと急激に退化つつある。それも無理はない。
この文章にある通りの、相手の国の自由と民主主義を破壊し、その国の資源を掠奪する宗主国の意のままに動く、傀儡「自由・民主」党が支配しているのだ。
複雑なのは全員が完全に狂っているわけではなさそうに見えること。西田昌司著『総理への直言』には、TPPは売国と明記されている。彼はTPP批准時、どうするのだろう?
下記の表紙図柄、主題そのまま。The End of Victory Culture, Tom Engelhardt著
アメリカ史を通して、アメリカが他の国民を絶滅し、彼らの"カウボーイ" 精神に同意しない国々を征服してきたことについては、そして、インディアン絶滅については、英語の本でなくとも、藤永茂著『アメリカン・ドリームという悪夢―建国神話の偽善と二つの原罪』と『アメリカ・インディアン悲史』に詳しく書かれている。
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