なぜなんだ!
まりなちゃん?
僕が育ったのは千里ニュータウンです。
1970年の万国博覧会に間に合うように竹林を
造成して作ったまさにニュータウンです。いや、でした。(過去形)
僕らがあそんだ1970年代にはまだそこかしこに
自然が残ってたんだな。
よく虫を捕まえにいったもんです。
さすがにカブトが取れるほど田舎じゃなかったんですが
カナブンなんかいっぱいいたな。
ミドリの金ぴかのカナブンなんかいっぱいいて
全然価値ないの。それに、捕まえると変なにおいするし。
ただ、カナブンでも粉吹きカナブンってのがいて
カナブンなんだけど、甲羅に産毛が生えてるんだ。
こいつは、価値があったね。
ある日、俺たちがカナブン採りに興じていると、近所の兄ちゃんが
声をかけてきたんだ。
その兄ちゃんは、結構年上で僕らが小学2年くらいのときの話、
6年くらいだったな。
「おい、粉吹きとれるとこ連れて行ってやろか」
「おお~!!」嫌もおうもありません。
粉吹きが手に入るんです。行きますわな。
どこ行くのかなと思ったら、近所の裏山。
しかし、通常僕らが入るのは平地から10mくらいまで
けもの道のできてるとこまでが境界線。
でも、その兄ちゃんはその境界線を越えて
ずんずん入っていくんだな。
けもの道のないところは、うるしが生えていたり、
木々が茂っていたして、足を踏み入れるとろくなことが
ないんだな。
でも、粉吹きを得るという欲が知性を上回る
やつがいるんだな。
こいつも、欲が知性と理性を上回ったんだ。
兄ちゃんは生茂る木を掻き分けずんずん奥へ入っていく。
僕たちは、なかなか入っていけないんだ。
兄ちゃんはどんどんいちゃって、もう見えないの。
どうする?
どうしよ?
僕ら、がきんちょは立ち往生してたの。
僕たちどうなるんだろ?
ふと、不安に駆られたその瞬間
うぎゃ~!!!
という叫び声とともに
兄ちゃんが林の中から飛び出してきた。
いったい何があったのか?
「どうしたん!」
僕らが一斉に聞くと。
兄ちゃんが、足元を指差すんですわ。
兄ちゃんの足元をみると・・・
兄ちゃんのむこうずねにでっかい木の破片が
ずっぷり刺さってました。
痛そ~!!!
まあ、破片の長さ10cmはあったな。
5cmはむこうずねに刺さってたな。
ほんと痛そう。
僕らがきんちょは、あまりの衝撃に言葉が無かった。
ただ、兄ちゃんの手にはミドリのカナブンが握られていた。
カナブン握ると臭いんだよな・・
兄ちゃんは、ちょっとていうか、号泣してた。
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まりなちゃん?
僕が育ったのは千里ニュータウンです。
1970年の万国博覧会に間に合うように竹林を
造成して作ったまさにニュータウンです。いや、でした。(過去形)
僕らがあそんだ1970年代にはまだそこかしこに
自然が残ってたんだな。
よく虫を捕まえにいったもんです。
さすがにカブトが取れるほど田舎じゃなかったんですが
カナブンなんかいっぱいいたな。
ミドリの金ぴかのカナブンなんかいっぱいいて
全然価値ないの。それに、捕まえると変なにおいするし。
ただ、カナブンでも粉吹きカナブンってのがいて
カナブンなんだけど、甲羅に産毛が生えてるんだ。
こいつは、価値があったね。
ある日、俺たちがカナブン採りに興じていると、近所の兄ちゃんが
声をかけてきたんだ。
その兄ちゃんは、結構年上で僕らが小学2年くらいのときの話、
6年くらいだったな。
「おい、粉吹きとれるとこ連れて行ってやろか」
「おお~!!」嫌もおうもありません。
粉吹きが手に入るんです。行きますわな。
どこ行くのかなと思ったら、近所の裏山。
しかし、通常僕らが入るのは平地から10mくらいまで
けもの道のできてるとこまでが境界線。
でも、その兄ちゃんはその境界線を越えて
ずんずん入っていくんだな。
けもの道のないところは、うるしが生えていたり、
木々が茂っていたして、足を踏み入れるとろくなことが
ないんだな。
でも、粉吹きを得るという欲が知性を上回る
やつがいるんだな。
こいつも、欲が知性と理性を上回ったんだ。
兄ちゃんは生茂る木を掻き分けずんずん奥へ入っていく。
僕たちは、なかなか入っていけないんだ。
兄ちゃんはどんどんいちゃって、もう見えないの。
どうする?
どうしよ?
僕ら、がきんちょは立ち往生してたの。
僕たちどうなるんだろ?
ふと、不安に駆られたその瞬間
うぎゃ~!!!
という叫び声とともに
兄ちゃんが林の中から飛び出してきた。
いったい何があったのか?
「どうしたん!」
僕らが一斉に聞くと。
兄ちゃんが、足元を指差すんですわ。
兄ちゃんの足元をみると・・・
兄ちゃんのむこうずねにでっかい木の破片が
ずっぷり刺さってました。
痛そ~!!!
まあ、破片の長さ10cmはあったな。
5cmはむこうずねに刺さってたな。
ほんと痛そう。
僕らがきんちょは、あまりの衝撃に言葉が無かった。
ただ、兄ちゃんの手にはミドリのカナブンが握られていた。
カナブン握ると臭いんだよな・・
兄ちゃんは、ちょっとていうか、号泣してた。
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