最強ＯＬ K子2

井川よ、大リーグ行くんだったら、その髪型は
やめたがいいぞ。ほんと。

K子の最強伝説は続くんだな。

ある日珍しくK子機嫌の良い日があったんだ。
ほんとめずらしいさ。
そして、もっと珍しいことに、話かけてくるんだわ。

あのさ、猫さんさ～

まさに猫なで声。
これは、なにかありますよ。絶対ある。
まさか、１ヶ月年休取らせろとか言い出すんじゃないだろな？
戦々恐々。



猫さんちさあ、水、おいしい？

はあ？水ですか？まずくは無いですよ。

あのね、水道水にはね、いろんなものが混じってるんだよ。
カビとか、小さなごみとか、髪の毛まで入ってることがあるんだよ。

はあ？髪の毛ですか。
ここは田舎とはおもいましたが、髪の毛が入ってる上水って
問題あるじゃないですか。


それでね、猫さんち、浄水器つけてる？



い、いえ、つけてません。

いきなり来ましたね！
そう来ましたか。
ついにきたね。

何を隠そう、うちの家の水はマンションなんですけど
上水じゃなくって地下水をくみ上げてるんです。
地下水なもんで、結構きれいな水が好きなだけ使えるんですわ。
いるのは、くみ上げるポンプ使用料のみ。

というようなことを、ご説明申し上げました。

すると、さっきまでにこやかだった顔が、
にわかに掻き曇り・・・
口元だけ笑ってるんだけど目がマジ。

あのさ、私は、猫さんがどんな水、飲もうか知ったこっちゃ無いんだけど～
べつに猫さんが、カビやホコリや虫の死骸の入った水をのんで
どうなろうと、私には関係ないんだけどさ。
猫さんの、家族が、かわいそうなんだよね～


はあ・・
なんですか・・
虫の死骸も入ってるんですか。
市役所に言わなくちゃ・・


そ、それで、

それでさあ、家族のために浄水器買わないかな～とおもって。


は、はあ（全然人の話聞いて無い・・・）

べつに、良いんですよ。猫さんがいらないっていうんだったら。
私は良かれとおもって言ってるだけ。


は、はあ。ところで？その浄水器とやらはおいくらなんでしょうか？



ン、知り合いがやってるんだけどさ、安くしてくれるんだわ。

５万円


ご、ご、五万円ですと～！！！
知り合いって・・・それ、あむう○いちゃうん？！


無理。無理。ぜーったい無理。
そのころの私の手取り２０万無かったな。
嫁と乳飲み子を抱えていたんだ。
生きてくだけでせいいいっぱいのときだった。
私、カビでも、虫の死骸でも、いや、生きてる虫でも
飲みます。平気です。ほんと平気です。
だから、勘弁してください。

おそる、おそる、Ｋ子の顔色見ながら言いました。


ちょっと・・無理。


き～！！！
私はね、別に無理にとは言いません。
猫さんのためを思って言っているのに！！！
いやね、ほんとにいいんですよ。
無理に勧めてるわけじゃないですから。
少しでもきれいな水を飲んでもらおうと
思っただけですから！

って目が笑ってない。
口元も笑ってない。



それから１ヶ月は口きいてもらえなかった・・・