重松清 疾走 （上・下）

グロテスクな表紙に目を惹かれ、怖いもの見たさで読み始めた、重松さんの　疾走 （上・下）　
重松作品には、癒し系のさわやかな作品もあるにはあるものの
人生の機微や人間の心理の奥深くを、丁寧にえぐるように書かれてあるがゆえに
切なさやいたたまれなさが残る、重たい読後感のものが多いのですが
これはきっとその中でもトップクラスの、壮絶なやりきれなさが残る衝撃の作品だと思います。　

あらすじ　上・・・・（「BOOK」データベースより）
広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。
教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。
が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。
十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化

あらすじ　下・・・・（「BOOK」データベースより）
誰か一緒に生きてくださいー。
犯罪者の弟としてクラスで孤立を深め、やがて一家離散の憂き目に遭ったシュウジは、故郷を出て、ひとり東京へ向かうことを決意。
途中に立ち寄った大阪で地獄のようなときを過ごす。
孤独、祈り、暴力、セックス、聖書、殺人ー。人とつながりたい…。
ただそれだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた少年の軌跡。
比類なき感動のクライマックスが待ち受ける、現代の黙示録、ついに完結。

上・下巻合わせて760ページ強と言う長編ですが、どんどん引き込まれていき
とにかく先が知りたいという衝動にかられ、ページをめくる手は止まらないのに
心の中は震えが止まらず、暗く、重く、押しつぶされ、読みながら全身の体力と熱が奪われていきます。
寒い冬に読んだがゆえに、より重たさと恐ろしさが増長された感じがします。
運命とか、歯車とか、そういうものを超越した、修復の利かないディープで苦しい少年シュウジの人生・・・
感想を書くより、百聞は一見にしかず、ぜひ読んでください！

映画では手越君が主人公を演じたそうで、気になります。

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