ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第22次支援活動<気仙沼市・登米市>(その2)~田束山、上りました

2014-06-01 23:17:02 | 能楽の心と癒しプロジェクト
【5月18日(日)】

翌朝、泊めて頂いただけでなく朝食までご馳走になって、緑さんに再度後見の稽古をつけてから、泊めて頂いたお宅を辞しました。夜行バスでこの日仙台に到着した笛のTさんには昨夜のうちに連絡をとってこの朝最寄り駅まで来て頂いて、さてこの日の上演地である気仙沼に向けて走り出しました。

本来気仙沼までは東北道で一関まで行ってから延々と一般道を通って行くのが普通ですが、念のためカーナビで調べたところ、仙台から国道45号線を通って沿岸を通って行っても所要時間は極端には変わらないことがわかりました。それならば、と ぬえは即座に一般道を選択。ひとつには高速道路の通行料金を節約するためでもあり、また沿岸の被災地区を見続けてきたため、定点観測的に変化を感じたかったため。そうしてさらにもう一つの理由は、ツツジの季節だから、です。

。。実際のところ、ぬえたちプロジェクトが支援活動を続ける宮城県の沿岸地域というのはツツジの名所が多いですよねえ。気仙沼の徳仙丈山、石巻にも。。これは季節に上ったことはないのですが、牧山の頂上付近にはツツジの群生があったと思います。どうもいずれも野生というよりは意図して植えられたツツジ苑のような感じかな、とは思うのですが、規模は「苑」なんてものじゃないです。もう、山の頂が一面のツツジ。それも麓からは窺い知れず、その山に上った者のみが見れる壮観です。いずれも車道が整備されているので車で10分かそこら上ればそれは眼前に繰り広げられる。。

。。とは言うものの、ぬえはあまりツツジの盛りには当たったことがありませんで。石巻・牧山に上ったのはまったくの季節はずれ。去年上った気仙沼の徳仙丈山も少し時期が早かったようです。

今度こそは、ということで、今回は南三陸町の歌津から上る田束山(たつかねさん)に行ってみることにしました。

。。驚いた。これをパラダイスと呼ばずして何と表現しよう。山道のいくつかのカーブを過ぎると、突然真っ赤に染まった山頂が見えてきました。すごい! すごい!





山頂には駐車場が整備された展望台もあって、ここに車を停めてみると、まさに壮観。。ツツジがあり、山の新緑があり、そして入り組んだリアス式の面白い海岸線と。。そして真っ青な海。壮観、なんて言葉じゃ形容できない強烈な自然と生命の力を感じる風景です。この地形は「美しい!」と人に驚嘆させようとわざわざ神様が用意したとしか考えられない。。じつは東京で見る、なんだか毒々しいトゲを感じるツツジの色が好になれない ぬえ。。でも京都・詩仙堂の入口脇に立つキリシマツツジを見てからツツジが好きになりました。だからツツジの季節にはいつも複雑な思いもあったのですが。。この日の田束山は ぬえを圧倒してしまいました。

聞けばツツジの満開はもう数日先だろう、とか、濃霧がかかって海が見えない事も多いんですよ、とか。不運なのか幸運なのかよくわからない。でもこのツツジの花の色に誘われた ぬえは、Tさんと緑さんが展望台にいる間、ぬえはどんどん遊歩道に迷い込んで行くのでした。







ほどなく、というかほとんど起伏もなくたどりついた頂上には経塚の跡が保存されていました。この山は古来霊場で、数多くの塔頭が建ち並ぶ荘厳な地だったのです。ああ、そうだよね。ぬえも神の創造を感じたもの。