見習い百姓のつぶやき

宮仕えも一段落、半農半Ⅹを本格化。農的暮らしとさまざまなⅩを悩んで、楽しんで一歩づつ。

子どもの向精神薬の問題を考える―断薬のアドバイス

2015-12-21 22:47:06 | 持続可能な医療・福祉

 食品と暮らしの安全(No.321)に「子どもの向精神薬の問題を考える―断薬のアドバイス」と題する国光さんが小倉さんに聞くインタビューが掲載されています。

 生涯にわたって大きな影響を及ぼすかもしれない子どもへの向精神薬投与。
 減断薬したいと願う親子もたくさんいらっしゃいますが、減断薬にはどんなことに留意すべきか、そんなアドバイスの一つになったらと思い、大要を紹介させていただきます。

断薬後も、残留するクスリに注意!

ミネラル・レシチンを補給しながら
--先月号で、紹介した「かなちゃん」は、リストカットを繰り返した時期もありましたが、ミネラルとレシチンの補給を始め、2015年4月に抗精神病薬の「エビリファイ」の断薬に成功しました。
小倉 よく「エビリファイ」をやめることができましたね。離脱症状が激しく、断薬しにくいと言われているのですよ。
 ひと昔前だったら、統合失調症で症状が重い患者さんに、最後の砦のように処方していたクスリです。
--実は、かなちゃんも、減薬を決意するまでの葛藤、始めてからの不安感は大きく、とても大変でした。「クスリを減らして私、大丈夫かしら」という不安が常につきまとっていたと言います。
小倉 かなちゃんは、よくがんばりました。「クスリを飲んでいるから、今の自分が保っている」と思って、精神的にも肉体的にも依存していたわけですから……。本当に、勇気のいることです。
 それに加え、離脱症状も出てくる、クスリ本来の依存性もあるわけですから、減薬、断薬は、簡単にできることではありません。
--かなちゃんは、家族や、施設の先生、仲間が全力で支えるのと同時に、煮干しやあご、昆布、雑穀、豆類などからのミネラル補給と、エキストラバージンオリーブ油などからのレシチン補給を並行して行い、神経細胞を健全にしていくことを、減薬と並行して取り組んでいました。
小倉 食の取り組みを同時にすすめていくことは非常に重要なポイントです。
 ただクスリを飲ませない、ということだけだと、本人は離脱症状に苦しむだけで、なかなか解決に至らないのです。
 特に、かなちゃんがミネラル補給と同時にとっていたレシチンは、細胞膜の主成分なので、神経細胞を整えるために、減薬の段階でもとても重要ですが、断薬後にも、さらに量を増やしてとり続けてほしいのです。

残留しているクスリの影響
小倉 実は断薬後も、脳にはクスリの成分が残っています。
 残留した成分が原因でフラッシュバックを起こすことも少なくありません。
 断薬してから数年が経っていたのに、天ぷらを揚げている最中に、手の平からゴキブリが出てくる幻覚を見て、そのまま加熱した油に手を入れた女性もいます。
--断薬したらクスリの影響はないのかと思っていました。
小倉 排泄はなかなか難しいのです。クスリの成分は油にしか溶けない性質で、脳は60%が油でできているので、クスリの成分は油、つまリ脳に多く溶けているわけです。
 でも、油は水に溶けませんから、そのままだと体から排泄することができません。
 脳の油にたまっていたクスリの成分を、水つまり、汗や尿に溶ける状態にして、体から排泄していくことが断薬後も必要になるわけです。そこで重要なのが、油を水に溶かす乳化作用をもつレシチンです。
 汗は、排便や排尿よりも、量を増やすことが可能です。そこで、レシチンを摂って脳にたまっているクスリの成分を水に溶かした後、運動したり、半身浴やサウナを利用して、汗をかくと良いのです。
 ただし、汗と一緒にビタミンやミネラルも出るので、それらの補給も同時に続けてください。
--実は、かなちゃんも、最近、少し気分が落ち込むことがあって心配だと、お母さんが話されていたので、小倉さんのアドバイスを伝えところ、「今の娘の状態が、腑に落ました」と、早速レシチンとミネラルを増量されました。
小倉 よかったですね。この時期は、クスリを減らし始めたときと同様か、それ以上に、周囲の支えと食の取り組みが必要な時期です。
--かなちゃん本人も、小倉さんのアドバイスを聞いて「すごく安心できた。今の状況が、クスリが残っているので、とわかっただけですごく楽になった」と話しています。
小倉 断薬ができると、周囲も本人も「もう大丈夫だ、治った」と思いがちですが、まだもうしばらくはつらいときもあると理解して「わかっているよ」「大丈夫だよ」と声をかけてほしいですね。
--断薬した後に、つらい症状が出ると、病院では再び投薬を勧められそうです。
小倉「飲まないと大変なことになったでしょう」と医師から言われ、再び投薬が始まることが多いのです。
 断薬後に、服薬に戻るケースは少なくありません。このつらい時期こそ、食の取り組みに力を入れる必要があるのです。
 日本の精神科医療には、断薬に関する知識や、支援の体制が整っていません。
 正しい方法を知って、ぜひ本来の回復へと向かってほしいですね。

小学校低学年までの処方が75%
--Nくん(本誌2015年8月号)は、保育園の年中組のときにADHDの診断を受けて、主治医から「小学校に上がったら、たいへんなことになるから今のうちに薬を飲むように」と言われて、向精神薬「コンサータ」を処方されました。
小倉 国立精神・神経医療研究センター病院の中川栄一氏が、子どもに薬物療法を行っている医師448名に、向精神薬の処方開始年齢を調査したところ、39%が就学前、36%が小学校低学年で向精神薬の処方を開始していることがわかりました。
 「コンサータ」や「リスパダール」などの向精神薬を処方されている子どもの75%は、遅くとも小学校低学年から、処方が始まっているのです。
 脳の発達がいちばん盛んな幼い子どもたちに、さまざまな副作用のあるクスリが処方されるわけですから、これはたいへんなことで、成長期の脳への悪影響が心配です。
--本誌に寄せられた体験談の中で、「Aくん」(広汎性発達障害・2015年9月号掲載)も、5歳で「コンサータ」を処方されています。「健ちゃん」(広汎性発達障害・2011年11月号)も幼稚園年長組の夏から。「こうちゃん」(アスベルガー症候群・「食べなきや、危険!」)も小学校入学後間もなく、「リスパダール」を処方されています。
小倉 NくんやAくんが、小学校に上がる前に出された「コンサータ」は、添付文書に「劇薬」と記載されているクスリで、成分に記載されている「メチルフェニデート」は、覚せい剤として使用される成分です。
 添付文書にも、「薬物依存を含む本剤のリスク」が「警告」として記載されているのです。
 しかも「コンサータ」の副作用出現率は80.6%。服用する方の8割の人に副作用が出ているわけです。
--「Aくん」は、「コンサータ」を飲み始めてから食欲が極端に落ちて体重が激減。チックも出てきたので「クスリをやめたい」と言うと、主治医からは「飲まないのなら、ここでできることがない」と受診もできなくなったといいます。

クスリ以外の選択肢も
--「健ちゃん」のお母さんが副作用の心配を訴えても「2、3歳の子に出すくらい少量だから心配ないですよ」と言われていました。
小倉 どんなに少量であっても副作用の心配がないクスリなどありません。「こうちゃん」「健ちゃん」が処方されていた「リスパダール」は、もともと統合失調の患者さんに処方されるクスリですが、今、幼い子どもたちへの処方が広がっています。
--幼いうちからの服薬は、本人にも負担になるように感じます。「こうちゃん」は、「ぼくがバカだから飲むんでしょ。バカ薬だ」と嫌がりながら飲んでいました。
 当時、主治医の受診は3カ月ごとに行われていました。ミネラル補給後、「もう落ち着いてきたのでクスリを飲ませたくない」とお母さんが言うと「この薬は、小学6年生まで飲み続けた方がよい」と、さらに3カ月分が処方されたのです。
小倉 本来、クスリの処方後は、2週間ごとに医師が観察して、処方量が適正かを慎重に診ていかなければいけないのです。受診の間隔が、3カ月だったとは驚きました。
--お母さんは、処方されたクスリは受け取った上で、少しずつクスリを減らし、完全に断薬してから、「この3カ月一度もクスリを飲ませませんでした」と、落ち着いているこうちゃんの姿を主治医に見てもらい、小学3年でようやく処方が終了しました。
小倉「薬は体にとって異物」ということを、もっと医師も私たちも認識しなければいけません。食べ物は、体内で合成する成分ですから異物ではありません。ですから副作用もありません。クスリと食べ物の大きな違いはここでしょう。
 安易な診断=投薬が当たり前のように子どもたちの精神医療に広がり、低年齢化していることに危機感を覚えます。
--Nくんのお母さんは、「診断が出て、他の選択肢を知らずにクスリを処方された。最初に、病院で食の指導があったら、どんなによかっただろう」と話されています。
小倉 その通りですね。向精神薬は、本来、子どもたちが飲み続けるクスリではないはずです。
 クスリ以外にも解決の道があることを知って、正しい取り組みを続け、子どもたちの健全な育ちを見守っていかなければいけないと思います。

コメント (5)
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薬の減断薬は至難、だけど、、、

2015-12-21 21:06:01 | 持続可能な医療・福祉

薬の講演会の話は
 11月末、薬の講演会「その薬、症状を悪化させていませんか?~小倉譲と国光美佳と考える「向精神薬の危険性について」~」が開催され、小倉さんの講演の録音をと頼んでいました。
 昨日、国光美佳さんから四日市での講演会の録音が送られてきました。
 小倉さんは、「市民人権擁護の会」の主要メンバー。24日は、世界中を飛び回る小倉さんには会えませんが、会の代表の米田さんからお話を聞かせていただく予定。

 向精神薬など、特に精神医療にかかわる薬害が社会問題として取り上げられることが増え、人格をも喪失させてしまう薬の作用の激しさから減薬・断薬に取り組もうとする人が増えています。
 しかし、合法ドラッグとも言われる向精神薬の減薬・断薬は、(副)作用の大きさゆえ、筆舌に尽くしがたいような困難が伴い、とてもハードルが高いというのが専門家の共通した意見です。
 講演会では、小倉さんが向精神薬などの薬とはどういうものか、断薬にはどういう対処が必要かについて、国光さんは、減断薬時のケアの一つとして栄養補給の考え方と事例報告をされています。

脳の脂質に溶け込んだ薬を抜くのは至難
 断薬の話では、薬は脂溶性があり脂、特に脳の脂質に溶け込んでいるので抜くのはとても難しい。
 体外排せつをするには尿、便、汗があるが、尿と便は量が決まっている。そのため発汗を促す取り組みが行われるが、汗は同時にビタミン、ミネラルを大量に放出させてしまう。
 また、蓄積した薬成分を汗として出すには、脂質を水に乳化させるレシチンが必須。だから、良い脂とレシチンとビタミンを総合的に多量にとる必要があるとの話。ここはキモかも。
 
 ということで、薬だけを指弾したって、現に薬に依存させられてしまっている人の減断薬は至難です。
 周りの理解ある支えが必須ですし、何をもって減断薬を可能にし、何年にもわたる薬害よりももっと辛いかもしれない離脱症状を乗り越えていくのか、そこが一番の問題ですが、そのサポートは皆無と言っていいのが我が国の現状です。
 そこに風穴を開けようと取り組んでいるのが国光さんの取り組みです。ここがないと画竜点睛を欠くですね。

子どもの向精神薬の問題を考える―断薬のアドバイス
 その画竜点睛、食品暮らしの安全という雑誌に「子どもの向精神薬の問題を考える―断薬のアドバイス」と題する国光さんが小倉さんに聞くインタビューが掲載されています。
 インタビュー記事を読むと、学校が手がかかる子どもたちを安易に精神医療に繋ぐ現状が怖くなります。
 10月29日に行われた学校での自殺予防対策導入の研修会で、講師の荊尾先生が「子どもとの日常の関り、日常の教育活動を大切にする」ことが大切とおっしゃいましたが、その通りですね。

 この後、インタビュー記事の内容を次の記事でUPすることにします。ぜひ読んでみてください。

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