1
欲が深すぎるのではないか、今世を生きて、それを満たし終えて更に来世を願うとは。今世を生きることが出来たというだけで十分なのではないか。100%だったのではないか。今世を生きたことに満足をしなかった者のみが来世を願うのではないか。
2
今日を生きた。今日を生きた者には明日は来ないか。そんなことはない。もちろん明日は平等に来る。今日を満足した者にも満足しなかった者にも明日は来る。それと同様だ。
3
深い眠りに就こうではないか。今日を生きたと言うことに満足できたら、深い眠りに就こうではないか。
4
あまりにも欲が深すぎるように思う。今日を生きながらさらに明日を思うのはあまりにも欲が深すぎるように思う。赤ん坊がよくそうする。片手にパンを握りながらもう片手にも握ろうとする。口は一つしかないのに、もう一つを取られるような気がしてしまう。
5
明日はふんだんにあるのである。枯渇はしないのである。来世もその通り。ふんだんにある。有り余るようにある。心配は要らない。心配が要らないのであれば欲望は不要だ。
6
今日を生きえたと言うことが証拠じゃないか。たしかな証拠じゃないか。明日を生きることが出来るというはっきりした証明になっているじゃないか。
7
今日を生きたという満足で今日を締め括りをしよう。充足して今夜を眠ろう。
*
さぶろうにそんなことが閃いた。己の欲深を恥じた。
欲望は心配が引き寄せてくる感情だ。心配が薄らいだら欲望も薄らいでくるはずだ。