さ、お昼。怠け者独居老人はお昼を作るのも、食べるのも、食べた食器を洗うのも、元通り片付けるのも、みんな面倒だ。だが、腹が減っている。グウと鳴る。困ったものだ。何かを食べたいという旺盛な食欲でもあれば、それに押されてすぐに立ち上がるだろうが、それが乏しい。ま、働いていないから、当然か。
老人は概して無意欲。それで済む。よいしょっと掛け声を掛けて意欲なるものを奮い立たせる。これに時間を使う。何分、余生を送っているのだからなあ。余生とは余り物のこと。謂わば付け足しだ。そう考えるのは良くないだろうが、ともかく必須ではない。いてもいなくてもいいのだ。家族の日は暮れる、社会の日は暮れる。
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とまあ、拗ねた目つきをするのも老人。しかし、どうしてもそこに居てもらわなければならない中心人物を演じるのは御免蒙りたい。一生現役だなんて粋がってしゃしゃり出たら若者が迷惑するだろう。それにその力も何処にもない。ハズレ者が丁度いい位置。そこで自由を吸っていた方が、様になる。つまり、ぐうたらが一番お似合いなのである。発言権のあるお年寄りが先頭を走って威張り散らしている例があるが、ご苦労様である。
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一人居てもお昼はお昼だ。年寄りでも若者でもお昼はお昼だ。インスタントのカレーうどんでも作って食べよう。これに小松菜のやわらかいベビーリーフを茹でて加えるとおいしい。