「声」
四方八方から僕をめがけて
風の中を飛んでくる声があります
声だから
本来カタチはありません
でもカタチを取ることもあります
その方が伝わりやすいからです
声が凜とした声を出します
それを少年の僕が耳で聞きます
「きみを好きだよ 僕は」と
そう言いますどの声もどの声も
伝えたいことが伝わります
僕は郭公の鳴く森に来ています
声が雲になって浮かんでいます
滝が谷川に落ちてはしゃぎます
夏風が来て梢をくすぐります
たくさんのたくさんの声の中で
僕は僕の六月を過ごします
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この詩をN新聞の読者文芸に投稿していました。佳作になっていました。1席だけが活字になりますから、タイトル名と作者名だけがありました。ブログの読者にも読んでいただきたくなりました。