さ、そろそろ17時になる。
老爺は外に出よう。
まずは、人参の種蒔きをしよう。
土が老爺の遊び相手をしてくれる。
有り難い有り難い。
さ、そろそろ17時になる。
老爺は外に出よう。
まずは、人参の種蒔きをしよう。
土が老爺の遊び相手をしてくれる。
有り難い有り難い。
その時に世尊は諸々の比丘に告げたまわく。この須菩提(スボーダイ尊者)は最後身に仏と成ることを得て、号して「名相如来」と曰(い)わん。 法華経「授記品第六」より
(途中いくつか省略をして書きました)
☆
「授記」とは、仏の名を授けて下さる記録。
世尊とはお釈迦様のことです。比丘は仏道修行者。須菩提(シュボーダイ)は弟子の一人の名前。仏道を歩んでいる修行者の一人である須菩提尊者は、やがて「名相」という名前の如来になられるということを預言されている場面である。
☆
わたしたちは一人残らずやがて必ず仏陀になる身である。そう仏教は教えている。須菩提尊者だけではない。一人残らず仏陀になるのである。仏陀になるために人間を生きているのである。だから、人間を今生きているということは、未来に於いてやがて必ず、お釈迦様と等しい仏陀になるということでもある。
恐れ多いことなのだが、わたしたちには方向がある。その方向へ向いて歩き続けている。漠然としているようだが、仏陀になる道、成仏の道を辿っているのである。方向を持って歩いているのである。嬉しいじゃないか。
一人の例外もない。無差別に平等に、成仏する。成仏までの時間の長短に違いがあるのかもしれないけれどもやがて必ず。
法華経でお釈迦様(仏陀)がその教えを説いておられる。安心の道筋を説いておられるから、わたしたちは究極、安心をしていていいのである。
16時を過ぎた。まだ日照りが強い。もう1時間ほど待つ方がいいだろう。
薩摩芋畑が草草草になっている。見るに見かねる。
畑は広い。
畝と畝の間の谷間に小さな丸い椅子を置いて、片手で農具を動かしながら、草の根を引く。根気強く根気強く。
そのうち、いつのまにか無心になっている。この無心が快感なのだ。虚空のようにさっぱりになっている。
無心状態は、草さまのお引き合わせだ。やがて日が暮れる。一日が充実する。
百足(むかで)発見。鉢物を動かそうとしたら、蜂底の下の湿ったところに潜んでいた。オオモノだった。すかさず逃げて行って、姿を消した。
足が100本あるから百足。平べったくして動き回る。ま、100本はなさそうだったが、左右前後足だらけだった。どれかは手だろう、きっと。古代生物然としている。
窓という窓には網戸をしているが、そこから家の中に侵入を図る。夜中に、畳の上を這い回る。音がしてびっくりして目が覚める。そういうことがある。布団の中にも入って来る。噛まれてしまうこともある。
里山の自然は多くの生き物の住むところだ。仲良くするべきだろう。できるだけ。百足は何を食べているのだろうな?
インゲン豆を収穫した。おいしい。今年の初物になった。
茂った葉っぱに隠れていて、収穫の時季を見過ごしてしまったいたようだ。やや太りすぎになっているのもあった。まだ次々に実を着けている。花もいっぱい着けている。
種から蒔いて育てていた。収穫までにかなりの時間を要した。
インゲン豆は草丈が高くならない。なので、中腰になって収穫をしなければならない。僕は片足麻痺なので、中腰ができない。椅子に座るしかないが、椅子を置く場所が見つからないほどに、豆は繁茂している。
今夜もインゲン豆の料理を料理担当者さまに発注した。あの歯触りが好きだ。どんな料理になって食膳に列ぶのだろう。楽しみだ。
もう猪殿がお越しになったらしい。山を下りて我が家にもお立ち寄りになったらしい。玄関先の花壇を荒らしていた。蚯蚓でも掘ったのだろうか。掘った穴のカタチでご来訪が知れた。
友人が猪避けの柵を作ってくれたので、薩摩芋の畑には侵入していなかった。やれやれだ。西瓜畑の西瓜はまだ豆粒大だ。
烏は空から様子を窺っている。大群が空を舞う。胡瓜が被害に遭った。対策はしてあるが、それを上回る。烏は黄色い細い紐が苦手らしい。羽に紐が絡みつくのを嫌がるようだ。
里山は多くの獣と共存しているところ。人間さまだけの場所ではない。お譲りするべきはお譲りもせねばなるまい。
暑い。午後も湿度が高い。日が照ったり翳ったりしている。熱風が部屋にも吹き込んで来る。暑い。扇風機を回している。
午前中は、外に出ていた。庭、花壇、小径の草取りに従事した。下着が汗を帯びて重たく感じた。我慢が切れて、11時半には作業を中止した。
風呂場に入って、冷水タオルで身体を拭き上げた。さっぱりした。老人は長時間労働には向かない。すぐにへとへとになる。
5時になればまた外に出よう。草は抜いても抜いてもすぐまた藪を作る。7時半までは明るい。作業ができる。しかし、蚊に攻められる。スキンベープを塗って対応する。
汗を掻いた後は、夕食のビールが旨くなる。うまくしたもんだ。