大学生の娘と専門校生の長男の就職の内定が決まり、親として一安心です。
まだ高校生の次男坊が残っているのですが、人生の大役を果たせたような気分です。
残りの人生が、おまけのように感じられます。
波間に揺れる穂先をぼんやりと見つめながら、おまけの人生を楽しめる喜びを噛みしめようと、
和歌山の磯に向かいました。
用意したエサはウニ15個と冷凍ヤドガリ4個入り二袋。
年の瀬も迫る寒い海だから、これだけあれば、まったりとした一日を過ごせることでしょう。
磯に上がって「極翔石鯛」にウニを付けて投入。
糸ふけを取って竿受けにセットし、
続けて「豪腕石鯛」にヤドカリを付けて投入。
糸ふけをとって竿受けにセットして煙草を一服。
至福の一刻きです。
「豪腕石鯛」の穂先がピクピクと動いて沈黙しました。
「豪腕石鯛」の仕掛けを回収してみると、エサ取りに弱いヤドカリは、頭だけ残して喰われていました。
餌持ちの良いウニを付けて再び仕掛けを投入。
試しに「極翔石鯛」の仕掛けを回収してみると、なんとウニが無くなっています。
3週間前の石鯛釣りでは、ほとんどウニを取られなかったのに。
今日は魚の活性が高いようです。
この調子では、エサがあっという間に無くなってしまいそうです。
もっと餌を買っておけばと後悔するも、後の祭りです。
穂先をぼんやりと見つめるどころか、魚の活性を伝える穂先に熱い視線を注いでいます。
しかし、穂先を叩くようなアタリがあるものの、舞い込むまでは至りません。
7時過ぎから釣り始めて、弁当船がくる10時までの間に、半分以上の餌を使ってしまいました。
弁当を食べたら、たっぷり昼寝をしないと最終の迎えの船までエサが持ちません。
遠くに弁当船が見えたとき、潮目が磯の20mほど沖に近づいてきました。
試しに「極翔石鯛」にウニを付けて潮目に投入してみると、穂先を引き込むいい感じのアタリがきて、
何度目かの引き込みの後に、竿が舞い込みました。
思いっきりアワセると、
乗りました!
「極翔石鯛」が弧を描き、姿を見せたのは縞々の石鯛です。
40センチに少し足りない小ぶりですが、久々の石鯛に足が震えました。
石鯛は潮を釣れと言いますが、このことなのでしょうか?
釣れたばかりの石鯛を船頭に見せて、弁当を受け取りました。
弁当を掻き込んだ後もいい感じのアタリが続きます。
昼寝をしようかと考えたのですが、勝機が訪れたときに全兵力を投入するのが兵法の鉄則です。
エサが無くなったら早上がりすればよいと覚悟を決め、昼寝を諦めて釣りを続行しました。
「極翔石鯛」の仕掛けを投入しているポイントはいい感じのアタリがあるのですが、
「豪腕石鯛」の方は餌を齧られるだけです。
「豪腕石鯛」の仕掛け投入している最中に、あろうことか「極翔石鯛」の穂先が舞い込みました。
「豪腕石鯛」を放り出すわけにもいかず、竿受けに置こうとしている間に貴重な舞い込みを逃してしまいました。
竿を二本出すと、こういうことがあるのですね。
「豪腕石鯛」が「私にも石鯛を釣らせて」と言っているのかな?
と思って、「極翔石鯛」には申し訳ないけど休憩してもらって、「豪腕石鯛」に場所を譲ってもらいました。
とは言うもの、残り3投の餌しか残っていません。
「豪腕石鯛」の穂先はいい感じのアタリを出すものの、舞い込みません。
そして・・
最後のウニ。
腕時計を見るとまだ12時になっていない。
最後のウニを投入して、竿受けにセットすると、
「豪腕石鯛」の穂先が一気に舞い込みました。
アワセを入れると、
一瞬魚が乗ったもののすっぽ抜け、
やってしまいました。
子供たちへの就職内定祝いの石鯛は、一匹だけでした。
姉弟で仲良く分けて食べてね。