「かまぶく」
主な伝承地域 県北地方
主な使用食材 じゃがいも、餅粉
歴史・由来・関連行事
「かまぶく」とはゆでてつぶしたじゃがいもに餅粉と砂糖を加えて、かまぼこ状に成型した菓子。
日本において巻物料理、たとえば伊達巻や太巻きなどは広くハレの日に食されてきたが、秋田県ではこのかまぶくをかまぼこに見立てて、お祝い事や祭りに欠かせない口取り菓子の一品として作られてきた。昔は秋田県の内陸の山間部では魚が手に入りにくかったため、身近な食材に工夫を凝らしてあみ出したと伝えられている。三種町上岩川地域では「かまぼこ」がなまって「かまぶく」、大館市山館地域では冬の農閑期に作って親戚などにあげていたことから「あげもの」と呼ばれている。通常のかまぼこと違い、魚のすり身は一切用いず、裏ごししたじゃがいもと餅粉、そして砂糖、塩を混ぜ合わせるのが特徴。うるち米やもち米のいり粉(乾燥させて粉末状にしたもの)、うるち粉を使う地域もある。また、家庭によって、小豆、かぼちゃ、くるみやごまなど好きな材料を混ぜ合わせて作る。この色づいた生地とじゃがいものみの生地を重ねて巻くことで、見た目にも華やかなかまぶくに仕上がる。素材そのものの風味を生かした素朴な甘みで、もちもちしており腹持ちが良い。手間がかかることから、現在は作り手が減少してなかなか味わうことができなくなった貴重な菓子である。
食習の機会や時季
主にお正月や冠婚葬祭だが、運動会など行事食にも食す風習がある。
飲食方法
巻きすでかまぼこ状に成型して1時間半ほど蒸し上げ、十分に冷ましてから好みの厚さに切って食す。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
大館市では、地域に受け継がれてきた伝統文化と技術を学ぼうと、かまぶくを長年作ってきた農家の方を教師として迎え、作り方を学んで実際に調理体験ができる講座「グリーン・ツーリズムサロン」を開催している。大館桂桜高校家庭クラブでは、地域の異世代間交流活動の一環としてかまぶくの作り方の講習会や普及活動などを継続的に行っている。また大館市で毎月7のつく日に開催されている「七日市日」で販売されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/29_15_akita.html より
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