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うまいッ! NHK「食感抜群!極上かまぼこ~山口・長門市~」

2024-03-06 13:46:07 | うまいッ!NHK

 うまいッ!「食感抜群!極上かまぼこ~山口・長門市~」 2014年03月02日

 番組内容
 山口県のかまぼこは、しなやかで弾力のある不思議な食感で、かむたびに魚のうまみが“じゅわー”とあふれてくる。その秘密は、山口伝統の「焼き抜き」という製法。焼き抜きと言っても、焼き色はついていない。なんと板の下からじんわり加熱して(焼き抜いて)、独特の食感に仕上げる。番組では、原料にエソという魚しか使わない、こだわりの職人に密着。「SURIMI」と呼ばれて世界に羽ばたく、かまぼこの最新事情も紹介する。

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201403020615001302100 より

 詳細不明につき、勝手に調べてみました。

 鮮魚でつくる 伝統の焼き抜き蒲鉾 山口県長門市

 山口県長門市仙崎は、独特な「焼き抜き」製法で知られる蒲鉾(かまぼこ)のまち。原料を蒸さずに、あぶり焼きだけで仕上げるというものだ。それには魚の鮮度が命。好漁場を間近に控えた長門だからこそ発達した製法といえる。しかしながら近年、近海漁業が縮小しており、蒲鉾づくりを続ける事業者が減っているのも現実。伝統通りに、生のエソ100%、焼き抜き製法にこだわって蒲鉾づくりを続けている大和蒲鉾を訪ねた。

 東の小田原、西の仙崎
 山口県の日本海側のほとんどを占める北長門海岸国定公園は、「海上のアルプス」と称されるほどの自然の景観美を誇る。長門市は、童謡詩人金子みすゞの生まれ故郷仙崎があるほか、波に削られた洞門が高い波しぶきを上げる「竜宮の潮吹き」や、青く透き通った海を遊覧船で楽しめる青海島など、日本海の景勝地としても有名だ。

 そんな長門の食文化のひとつに「仙崎蒲鉾」がある。その歴史は古く1680年代、魚肉をすりつぶし、竹を芯にしてガマの穂状に形を整えて焼いたものを、長州藩主の毛利公へ献上したことがはじまりとされている。毛利公は徳川5代将軍綱吉や諸大名への土産として仙崎蒲鉾を持参したとされ、のちに蒲鉾の名産地といえば「東の小田原、西の仙崎」ともいわれるようになった。

 大和蒲鉾が原料に使っているのは「エソ」という種類の魚だ。釣り人からは外道とよばれ、鋭い歯で糸を切ってしまう嫌われ者だ。漁船の網にかかるエソは大きさがバラバラで、しかも身に小骨が非常に多く調理しても食べづらいため、鮮魚としては市場価値の低い魚であった。しかし、小骨ごと身をすりつぶして加工してしまえば、歯ごたえのある極上の蒲鉾に生まれ変わる。

 冷蔵庫がなかった時代、魚肉を加工することで日持ちがよくなる蒲鉾づくりは、貴重な動物性たんぱく質を食べようとする、昔の人々の知恵でもあった。長門市ではこうして、港のそばにいくつもの蒲鉾業者が創業してきた。1960年頃の最盛期には20軒余りあったという。

 仙崎蒲鉾伝統の焼き抜き製法を守る
 訪問したのは、1946年に創業した大和(やまと)蒲鉾の工場。朝7時、工場にはすでに新鮮なエソが入荷し、職人が包丁でさばく工程が始まっていた。頭や内臓を取り除くのにかかる時間は、一匹あたりたった20秒ほど。真冬でも氷漬けのまま扱い、血合いをすばやく完全に切り離すことで、仕上がりに差がでるのだという。

 最近ではスケトウダラなどの冷凍すり身を使う蒲鉾屋も多いなか、大和蒲鉾では伝統的な製造法を守り、エソの鮮魚のみでつくり続けている。

 「あくまでその日水揚げされたエソだけを使って製造しているため大量生産ができません。最近はエソの数量の確保と価格変動で大変です」と、話すのは常務取締役の磯野奈緒さん。

 かつては仙崎港で獲れるエソだけでまかなえていたが、最近は漁獲量全体が減ってきており、萩の沖や福岡などの近海の港で獲れたエソを仕入れるそうだ。

 採肉機に入れて中骨と皮を取り除いた後のエソの身を、さらし布に包んで冷水でジャブジャブとさらし、水気を絞ってもう一度冷水でさらす。この作業を数回繰り返すと、最初は淡いピンク色だった身がだんだんと白くなってくる。この工程にも熟練の技が必要で、しっかりとさらして余計な脂と臭みを洗い落としながら旨みだけを残すギリギリを、人の手作業によって見極めているそうだ。

 次に肉ひき機でミンチ状にし、巨大な石臼に入れて約50分かけてとろとろの糊状になるまで練り上げていく。塩を加えて練ることで魚肉のたんぱく質の組成が変わり、独特の弾力を生み出す重要な工程だ。途中で塩や卵白、みりんなどを加えるが、その分量やタイミングを決めるのも長年の経験と勘しか頼れないという。石臼を見守る工場長はこの道30年。目視と触感だけで仕上がりがわかるのだそうだ。

 さて、次の工程からが伝統の仙崎蒲鉾と全国で広まっている蒲鉾の製法との大きな違いとなる。

 関東の一般的な蒲鉾は、蒸気で蒸し上げる「蒸し」製法が主流だが、仙崎では「焼き抜き」という独自の製法を選択している。練った身をもみの木の板に盛り付けて耐熱フィルムを巻き、かまぼこ板の下から火をあてて(現在では熱源は赤外線電球)約50分間、じっくりと二度焼きしていく。生からいきなり焼いていくため、中まで火が通りやすいように平べったいかたちにして板の上に盛りつける。また板の下から熱をあてるので、板自体もやや薄めのものを使っている。

 「10月頃から冬にかけてがエソの身が引き締まってきて美味しい蒲鉾づくりの繁忙期です。お歳暮の季節がうちの蒲鉾の出荷のピークになります」と、磯野さん。

 早朝の鮮魚をさばく作業からおよそ6時間後、お昼過ぎにその日の蒲鉾が焼き上がってきた。この日の製造量は110kg、約1000本分。工場には完成したばかりの蒲鉾の、ほのかな甘みのある香りが立ち込めていた。

 「アシ」が強い うまい蒲鉾
 「焼き抜き」の蒲鉾は焼き上げた後、冷ましていく工程で、きめ細かなちりめんじわができるのが特徴だ。冷蔵庫で一晩寝かして落ち着かせてから翌日に出荷し、地元の温泉旅館や土産物店に並べられる。

 一般的な蒸し蒲鉾が比較的やわらかく、すっとかみ切れる感じがあるのに対して、ここ大和蒲鉾の主力製品「浜千鳥」はプリプリとした強い弾力があり、歯ごたえ抜群。保水力が高く、しっとりした蒲鉾をかみしめるほどに、じわっと旨みが染み出てくる。このようなしなやかで粘りのある弾力、のどごしの良さなどを評価して、業界では「蒲鉾のアシが強い」と呼ぶのだそうだ。

 「『身がさくい』という方言もあります。『パサついている』に近い印象でしょうか。夏場の身がゆるんだエソや冷凍のすり身を使ってしまったら、当社がこだわる『蒲鉾のアシの強さ』は出せないのです」。

 完成したばかりの製品を社長自らがチェックして、今日のエソはだめだと全廃棄してしまうことが年に1〜2回あるという。そこまで原材料を選び抜き、職人が手をかけ、ていねいな工程を地道に積み重ねることで生まれる極上の食感と風味。お歳暮シーズンともなると大和蒲鉾に全国から注文が入る理由を、垣間みることができた。

 情報提供:大和蒲鉾 磯野奈緒さん
 “旬”の時期 10月頃から冬にかけて

 美味しい食べ方 切ってそのまま食べるのが一番美味しい・わさび醤油、一味唐辛子マヨネーズ、梅肉、うになどを付けるのもおすすめ

 Writer : HISAYO IWABUCHI 

 株式会社 大和蒲鉾 山口県長門市仙崎1267

*https://shun-gate.com/roots/roots_100/ より

 「SURIMI」

 国際語となった「surimi」 森枝 卓士先生(写真家、ジャーナリスト)
 「surimi」といえばカニカマのこと。各国を旅して自分の足と舌で世界の食を探求されている、フォトジャーナリストの森枝卓士さんに、ヨーロッパの「surimi」にまつわる食事情について、お話をいただきます。(2013年2月寄稿)

 ウナギの稚魚を模した練りものに出会う
 スペインのバスク地方、サンセバスチャンの町。バスクはスペインの中でも美食の地として知られていますが、わけてもこのサンセバスチャンの町は、人口に対するミシュランの星の数が一番多いのだとか。このところ、スペインには6つから7つの三つ星があるようですが、そのうちの3つがこの人口20万弱の町にあるのです。そんなところから、どのくらい美食の町であるか、お分かりいただけるでしょう。

 ここはまた、単純に高額店の美食だけでなく、男たちが集って料理を作って楽しむ、美食クラブ、加えてバルと呼ばれるカジュアルな居酒屋のようなお店が建ち並ぶことでも知られています。庶民的なところまで含めて、美味しいものが食べられ、評価されている町といっていいと思います。

 スペインのポピュラーな練りもの「グーラス」。
 そのバルが並ぶ一角で、一つ二つ食べて飲んでは次の店へと、ハシゴをして回っていたとき、アンギラスを目にしました。ウナギの稚魚です。それをパンの上などにのせたタパス(つまみ)があれこれあったのです。

 値段を聞いても、常識的なつまみの値段。つまり、ハンバーガーなどとあまり違わないか、少しだけ高いくらいのもの。不思議に思いつつ食べると、練りものだったという次第。数年前のその経験を、行ってきたばかりの友人にしたら、こちらは「本物」のアンギラスをタパスで発見して、値段を聞いたら140ユーロだったので諦めたとか。ミシュランの星の店でディナーが食べられる額ですもの。

 ともあれ。そのバスク訪問の後、マドリードの中央市場(ちょうど築地市場のようなところ)に行ったら、ありました。パック詰めにされたアンギラスそっくりのものが。「グーラス」という名前までつけられている(つまり、それだけポピュラーな)練りもの。そうか、あのカニ風味かまぼこの要領で作られ、売られているのかと思ったものでした。それほどに定着しているのだと。

 1980年代 ドイツでカニカマを市場で発見
 そういえば、そのカニ風味かまぼこがヨーロッパで練りものを意識させた最初のものだったと思い出しました。さて、あれは確か、1980年代でした。当時から世界中の市場を放浪していたのですが、ドイツのデュッセルドルフの市場でシーフードの中に、その姿を見つけ、パリやミラノの市場ではそのままだけでなく、テリーヌのようなものにも組み込まれているのを発見して、驚いたものでした。

 スシが世界中で食べられるようになった今となっては、驚きもないでしょうが、あのカニ風味かまぼこという練りものだけが、それよりもずっと前から、いつの間にかヨーロッパに(そしてアメリカでも)溶け込んでいたのですから。

 テリーヌのように美しい「surimi」
 欧米でカニカマが普及した理由
 このシリーズで、アジアの練りものについて書いているときに、このバルの「グーラス」やデュッセルドルフのカニ風味かまぼこなど、ヨーロッパ、あるいはそう、アメリカでも見かけていたことなど思い出し、気になって調べてみました。 すると、二つの原因というか、理由が見えてきました。ひとつは1970年代後半からの200海里(漁業水域設定)問題です。それにより、練りものの材料となるスケソウダラを輸入せざるを得なくなり、その流れで米国など海外での生産がされるようになった。練りものを作る技術が海外にも伝えられたということです。もうひとつは、カニ風味かまぼこという食品が欧米でも圧倒的に受け入れられたということです。

 そのようなわけで、今では「surimi」はsushiなどと並んで、あるいはそれ以上に立派に国際語となっているのです。嘘だと思われたら、グーグルあたりで検索をかけていただけばいい。フランス語でもイタリア語でもいくらでも出てきます。画像検索でもかけたら、そのイメージもよくよく分かっていただけると思われます。

 ヨーロッパでの「surimi」の種類や食べ方
 実際にヨーロッパの市場なり、スーパーマーケットであれば、スモークサーモン、ニシンの酢漬け、瓶詰めイクラ等々の魚介類の加工食品などが並ぶあたりに「surimi」も並んでいるというわけです。カニ風味かまぼこの類が中心ではありますが、それも最近ではずいぶんと種類が増えたようです。たとえば、フランスでは山羊チーズが中に入っているものとか、つけ合わせのソースが入っているものとか、その中にエビ風味が入れてあるものとか、そぼろ状(つまり、カニ肉をそぼろ状にしたような感じのもの。キッシュの中身などに使われている)とか……。御本家の日本にもないほどのバリエーションというわけです。当初は日本から輸出されていたものが、最近では現地生産がほとんどとなったことにより、このようなバリエーションも生まれたということでしょうか。

 では、どのように食べられているか、というと圧倒的に前菜系のようです。つまり、サラダなどの具として加えられるということです。テリーヌの中にというのも、そのパターンのひとつということですね。イタリアの場合はパスタの材料としても、一般的なようです。まあ、私たちが日本でカニ風味かまぼこのような練りものを食べているのと、あまり変わらないというところでしょうか。

 様ざまな種類のテリーヌや前菜が並ぶショップ。
 ポイントはヘルシーで食べやすいこと
 それにしても、何故、「surimi」という言葉が国際的に通じるようになるほど、欧米でも一般化したのか。もっとも大きなのは食べやすさ、でしょうか。シーフードが動物の肉よりもヘルシーというイメージは欧米でも広がっています。それがスシの普及の理由のひとつでもあるわけですが、骨を除きながらという魚を食べることの手間というか、そのような意識は昨今の日本以上に強いと思われます。そして、安くもない。肉と肉からの加工品との比較で、概して魚のほうが高い。

 そういうところで、このすり身で食べる手間もなく、おまけにさほど高価でもないということで、魚食の文化を広げ、大衆化したのではないかということです。

 蒸すという加工法の「surimi」
 ヨーロッパのもともとの食文化では肉こそミンチ状にして、ソーセージにするのは当たり前であっても、魚の加工法ではそのようなものはあまり見られません。干鱈のように干すか、スモークをかけるか、あるいは塩漬け、オイル漬けにするか。すり身、練りものと比較的近いものといえば、クネル程度ではないでしょうか。洋風のすり身だんごとでもいうべき、肉や魚介のすり身に卵や小麦粉、あるいはパン粉に牛乳あたりを加えて、ゆでたり焼いたりした、あのクネルです。

 加えて、蒸すという調理法も一般的ではなかった。西洋に近いあたりでは北アフリカのクスクスくらいではないでしょうか。フランス料理でもすっかりおなじみになってきましたから、認知度は高いかと思われますが、パスタにするのと同じセモリナ粉を挽き割りにして蒸した、一見、ごはん粒に見えなくもない、あの粒、クスクスです。

 その蒸すという調理法が、このカニ風味かまぼこを始めとするすり身の文化と一緒に入ってきた。油脂で揚げたり、焼いたりするものよりも、ヘルシーなイメージの蒸しものが。まあ、蒸したものであるとは一般的には知られてないかもしれませんが、少なくとも魚介が原料であることは分かるはずなので、肉よりもヘルシーなイメージで受け止められているのです。しかも、高価で贅沢なイメージの強い、カニの装いをして……。

 電気炊飯器に匹敵「surimi」で食文化に貢献
 電気炊飯器とインスタントラーメン。この2つはアジアを中心にした世界の食文化への、日本の貢献だと思っています。飯を炊くという労働を簡単にしたこと。お湯さえ沸かせられる環境であれば、温かい麺が食べられるようにしたこと。何気ないようで、大変な変化、貢献だと思うのです。

 そして、それと同じように、すり身という魚食の文化を広めたことは、スシという文化の普及と負けず劣らずの大きな貢献だと思うのです。

 何しろ、肉の食べ過ぎへの反省、ヘルシー志向は先進国では共通の傾向であることは言うまでもありません。魚介が注目を集めていることも。とはいえ、骨や殻を取り除くという手間があった。調理時であれ、お皿の上であれ。そんな手間を省き、なおかつ、贅沢な食材のイメージをまとってくれていたりの楽しさがある。

 ハンバーグ、ハンバーガーは肉を軟らかく食べやすく供したところから、今日のような広がりがあると思うのですけれど、同じような文脈で、なおかつ、ヘルシーでちょっとした贅沢感覚等々のプラスアルファが。さらに、様々なアイデアが育ち、広がっていくように思います。

 昔、アメリカで「こんな便利な調理具があるって、知っているか」と炊飯器を示しながら、言われたことがありました。「surimi」でも同じことが起きるような予感がします。

*https://www.kibun.co.jp/knowledge/neri/geography/eurokikou02/index.html より


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