「かすべ煮」
主な伝承地域 県北地域、県南地域
主な使用食材 干しかすべ
歴史・由来・関連行事
「かすべ煮」とはエイの干物(干しかすべ)を甘辛く煮た料理。
北海道や東北地方では、昔から味に少々癖のあるエイを上手に調理して食する伝統があった。干しかすべの産地は北海道で、まだ冷蔵庫が普及していない時代、北海道から大阪までを日本海まわりで運航していた北前船によって能代や土崎の港に運ばれ、保存のきく海産物として重宝されてきた。
「かすべ煮」はやわらかく煮込んだ身とコリコリとした軟骨が特徴で、冷めてもおいしく、暑い時期でも傷みにくいため、昔は魚の少ない夏の貴重なごちそうでもあった。また、祭りや冠婚葬祭、来客時の欠かせないおもてなし料理でもある。
昔は魚の「カス」の意味で呼ばれたとされているかすべだが、今は漁獲量も漁の回数も減り、希少な高級魚とされる。それでも代々伝わる各家庭の伝統の味「かすべ煮」を守っていくため、土崎地区のひとびとは毎年この干しかすべをたくさん使用して豪快に作っている。
土崎地区で毎年開かれる「土崎神明社祭の曳山行事(土崎港曳山まつり)」は、祭りの際に各家庭で「かすべ煮」が作られ来客をもてなす風習があることから、通称「かすべ祭り」と呼ばれている。
食習の機会や時季
祭りをはじめ、お正月、お盆、結婚式などお祝いごとでよく食べられていた。
飲食方法
干しかすべは独特の臭みがあるので、水を数回交換しながら1日以上かけて戻したのち、表面をきれいにして食べやすい大きさに切って下ゆでをする。調味料を入れ弱火で2時間ほど煮込み、味が染みてきたらざらめを入れてさらに30分ほど煮込む。仕上げにみりんを少々入れ、照りを出す。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
土崎地区では毎年7月に開催される「土崎港曳山まつり」の時期に、各家庭でたくさん作られ、家族や親戚はもちろん、来客のおもてなしとしても振る舞われる。また、県北や県南地域では広くお盆料理として各家庭で食されている。スーパーや道の駅でも販売され、お土産品としても流通している。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/29_22_akita.html より
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