「 444 五穀屋 発酵さしすせそ羊羹「五季」」
五穀屋は「からだに美味しい和の知恵菓子」をコンセプトとして、古くから食されている穀物をベースに味噌や醤油などの発酵素材を加え、からだにもこころにもおいしい和菓子を提案しています。今回ご紹介する五穀屋の発酵さしすせそ羊羹「五季(いつき)」は、酒、塩糀、酢、醤油、味噌といった「発酵のさしすせそ」と言われる発酵素材を使用して、日本の五つの季節を表している和菓子です。
「日本の季節が五季?四季ではないの?」と思った方もいるかもしれませんね。
日本には、春夏秋冬と4つの季節がありますが、実はその季節の合間合間に「土用」というもうひとつの季節があるんです。「土用」の役割は、四季の移りかわりのあいだを繋ぐこと。「五季」は、その「土用」を合わせた日本の5つの季節を表現しています。
そのように五穀屋では、和菓子を通して、旬の暮らし方や季節の移ろいを感じながら毎日を過ごすことを伝えています。
慌ただしく過ごしていると忘れがちになってしまいますが、自然に沿った暮らしを送ることは、からだとこころにとって大切なことだなあと最近あらためて感じていたので、「五季」と出会えたのはとてもうれしいことでした!
色鮮やかでとってもきれい!それぞれの季節を表した鮮やかな5色は、見るだけでこころが落ち着きますね。
光が当たると、つやつや光って宝石みたい。ひとつひとつでももちろんすてきなのですが、やっぱり一列に並べたくなりますね!
5色それぞれの個性が光るようにしたい!との想いから、緑と白、茶の3色は羊羹、透明と赤の2色は錦玉羹(きんぎょくかん)で作られています。これは使用している発酵素材のイメージと見た目がリンクするようにしたのだとか。
羊羹は小豆を寒天で固めて作りますが、錦玉羹は小豆を入れずに寒天を砂糖や水飴で煮詰めて固めたもの。「発酵さしすせそ羊羹」では、羊羹のしっとりなめらかな口あたりと、錦玉羹のつるんとゼリーのような喉ごしの両方を楽しむことができるんです。
春の日差しを表した透明の羊羹
他の4色を引き立てる透明な羊羹は、富士の水から作られた超辛口日本酒「げんこつ」を使用しています。納得いく味わいにするために、全国の日本酒を取り寄せて吟味したそうです!
表現しているのは、キラキラまぶしい春の日差し。実際に食べてみると、甘さの中にほんのりとお酒の風味が漂って、想像以上に爽やかな味わいでした。
新緑を表した緑の羊羹
緑色の羊羹は抹茶に塩糀を加えて、新緑の芽吹きを表現しています。
塩糀は口当たりをなめらかにするために濾したものを使用していて、ほのかな塩気が抹茶の風味や羊羹の甘みとともに感じられます。ちょっと濃いめの番茶や、コーヒーも合いそう!
紅葉を表した赤の羊羹
赤の羊羹は、りんご酢を活かして、秋の鮮やかな紅葉が表現されています。
香りも風味も主張の強い酢を和菓子に合わせるのはかなりの難題で、りんご酢に辿り着くまでにさまざまな酢を試したのだとか…!酢の香りがはっきりしていて、フルーティーな甘さを感じました。
冬の情景を表した薄黄の羊羹
白の羊羹は、白味噌を使用したやさしい白色で雪が降り積もる冬を表現しています。
食べてみると、白味噌と北海道産の白手亡豆(しろてぼうまめ)を使用した白餡の風味がはっきり感じられて、甘さは控えめ。どっしり重みのある味わいで、抹茶と合わせるのをおすすめしたいなあと思いました。
大地を表した茶の羊羹
茶色の羊羹は醤油糀を加えて、五つ目の季節である「土用」の大地を表現しています。まろやかな仕上がりを目指して、何種類もの醤油糀を厳選したそうです。
鼻を近づけるとほんのり醤油の香り!塩気が程よく効いた、重くないさらりとした甘さでした。
そして、この「五季」で、味とともに注目したいのはその食べ方。
このぷるんとかわいい丸いフォルムは、薄い風船で羊羹を包み込むことで作られています。この風船を使用したスタイルは「玉羊羹」と呼ばれていて、1930年代から続く歴史のあるものなのだそう。
食べる時に備え付けられている楊枝でつんと表面をつつくと、羊羹を包んでいたゴムが割れて、つるりと羊羹が滑り出てきます。この動きを見るのも楽しいですよ。
*https://www.haconiwa-mag.com/life/2018/03/weeklyhealth-09/ より
有限会社春華堂 静岡県浜松市中区神田町553
あの「うなぎパイ」の春華堂。
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