「けんちん汁」
主な伝承地域 鎌倉、全国
主な使用食材 こんにゃく、ごぼう、れんこん、にんじん、大根、さといも、豆腐、干ししいたけ、小松菜
歴史・由来・関連行事
大根やにんじんなどの野菜を油で炒めてから煮込む料理。その発祥には諸説あり、中国の精進料理である普茶(ふちゃ)料理の一種である巻繊(けんちゃん)が日本語になったという説と、鎌倉の建長寺で作られる「建長汁」がいつしか「けんちん汁」と呼ばれるようになったという説がある。
けんちん汁は現在では日本各地で食されているが、建長寺では700年以上も前から食されており、一説によると、建長寺で修業した僧侶が各地に派遣されるとともに全国に広まっていったのだという。建長寺のけんちん汁は精進料理であるため、動物性の食品は使わず、だしも昆布やしいたけからとる。粗食のイメージがある精進料理にもかかわらず、多くの野菜が使われるのは、他の精進料理で余った野菜くずを無駄なく用いて作ったからである。
けんちん汁には豆腐をくずして入れるが、そのきっかけは、建長寺の初代住職が、修行僧が落としてしまった豆腐を拾い集めて洗い、汁の中に入れたことからという逸話が残っている。
食習の機会や時季
年間を通して食べられるが、根菜を使うこと、また、温かい汁物であることから、寒い時期に特に好まれる。関東の一部地域では節分や恵比寿講など、季節の行事に合わせて食されることもある。
飲食方法
こんにゃく、野菜を食べやすい大きさに切りそろえる。切った材料をごま油で炒めてから、だし汁を加え、弱火で煮込む。野菜がやわらかくなったら、塩、醤油を加えてさらに煮込み、豆腐を手でくずしながら入れる。家庭や地域によって具材などにさまざまなアレンジが加えられている。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
家庭で一般的に作られているほか、各地の飲食店でも提供されている。
2018年・2019年に建長寺で行われた「建長まつり」では、大鍋で作ったけんちん汁が来場者にふるまわれる催しが行われた。毎年2月に行われる建長寺節分会でも、福男・福女として豆まきに参加する人々の食膳にはけんちん汁が供されている。
また、鎌倉市の小学校給食では、地域の郷土料理としてけんちん汁が年3回ほど提供されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/35_1_kanagawa.html より
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