アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

教師はこうでなければ

2015年11月17日 | Weblog
 女子中学生が転校することになった。学級で、盛大な送別会をしてくれた。涙、また涙の中、拍手で送られ帰宅した。その夜…話が大転換し…転校しないことになった。
 で、この話は、見城美枝子さん(通称ケンケン)が体験した実話。「見城さんって何者だ」って?還暦過ぎの人は知っているはずなんですが…。アナウンサーであり、エッセイストであり、ジャーナリストでもある。現職は、青森大学社会学部教授。私も驚いたのですが、パソコンで、「けんじょうみえこ」と入力したら、「見城美枝子」と変換されまして…有名人なんですねえ。パソコンにまで知られている。

 送別会をしてもらって転校したのに…、翌日元の学校に登校した…。この見城さんの体験の顛末が印象深いので、取り上げさせていただきました。見城さんのエッセイから題材をいただいたワケ。盗作にはならないでしょう。

 転校しないことになった見城さんは、夜遅くに担任の上武先生に電話した…
 「先生、私、転校しないことになりました。明日、学校へ行っても…」
 上武先生は唸ったという。そうだよねぇ、授業を潰して送別会をして、涙で別れて、翌日、「おはよう!」は…例がないでしょうから。
 で、沈黙のあと上武先生が言った…
 「見城!明日ほんの少し遅刻して来い。そして、教室の前で待ってろ」

 (エッセイの引用)始業のベルの鳴りおわった校庭から教室までの長かったこと。授業の声が聞こえてくる廊下に立っていると、ガラリと教室のガラス戸が開いた。
 「みんなぁ!見城が帰ってきたぞう!お帰り~!」
 「お帰り~!」
 上武先生の大きな声に続いてクラスのみんなの声。おもわず、
 「ただいま~!」と、言ってしまった私。いつもの席に座って授業が始まった。
 上武先生のこの強烈な、生徒に有無を言わせぬ仕切りがなかったなら、私は戻る場所も行く場所も失っていただろう。

 私は、こうゆう話に弱い。というか、心を打たれる。「あたたかい機微に触れる」ですよ。上武先生、素晴らしいです。教師たるもの、こうでなければ!