アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

七夕の願い

2020年08月14日 | Weblog
 私の住む地方では、七夕は、「8月7日」です。8月7日、入院中だったんですがね、病院の昼食に、「七夕の短冊」が付いてきました。短冊は食べられない。短冊ではなく、「七夕大盤振る舞いメニュー」とでも題して、「牽牛のステーキ」でも出してくれると、大いに喜んだのですがね。
 「短冊に願い事を書いて、正面玄関にある竹にかざってください。後日**神宮へ納めます」という催し。
 もちろん私も参加させていただきました。どんな願い事を書いたかって?家族の幸福を願いました。
 で、当然持ち前の野次馬根性で、どんな願いが書かれているかリサーチ。
 場所が病院だけに、どの願いも想定の範囲内。病気の回復を願うものが、半数を超える。あと、「新型コロナウイルス感染の収束(終息)を願うもの」も、目立ちました。短冊飾りに参加していた患者は、入院中の子どもおよびその子の保護者と思われる人でした。「面会お断り」なのですが、子どもの患者に限っては、OKらしい。
 学校で七夕飾りの短冊を書かせる場合、「勉強ができるようになりたい」「サッカーがうまくなりたい」「お金持ちになりたい」…これらが定番ですが、この種のものは見当たりませんでした。
 七夕の短冊で、いつも思い出すのは、「おかあさん、いなくならないで!」と書いた当時小学1年生の女児です。
 たまたま訪問したとき、小1のクラスで、七夕飾りの短冊を書いていました。児童は、思い思いに、願いを書いていました。そんな中で私が、「おやっ?」と、足を止めた短冊…。
 「おかあさんがいなくならないように」
 読み間違いかと思い、2~3度読み返しましたが、間違いなく「おかさんがいなくならないように」でした。これが小1女児の願い?正直びっくりしました。立ち止まったものですから、そのまま歩き始めるわけにも行かず…
 「お母さん、いなくなったら悲しいよね」と。
 「うん!」女児は、大きめの声で頷きました。
 おかあさん、いなくならないで!
 通常、小1の子がこのような願いを書きますか?私が小1の時は、「はやくかえって、とだなのぼたもちをたべたい」と、書いて、担任の渡辺ハナ子先生ににらまれたのですが。
 女児は、毎日時間をかけてヘアスタイルを整えてくる。洋服は、ファッション雑誌から抜け出した感じ。要するに、大切にされていることがよくわかる子…。その子が。母親がいなくなるかもしれない状況下にいるのか?
 女児は母子家庭でした。「母子家庭」は差別用語でも放送禁止用語でもありません。「ひとり親家庭」というのが、配慮した言い方なのだそうで…。同じことだと思うのですが。「父子家庭」という言葉もあるわけでぇ。「婆孫家庭」「爺孫家庭」だってあるよね。言葉としては聞いたことないけど。
 それらはさておき、女児は、物心ついてから父親と別れた。女児にとって、母親だけが頼りの綱。
 その母親に19歳の恋人が。恋人が泊まりに来たら、女児は一人で寝なければならない。そのことを母親に訴えたら、母親は、19歳の男と出て行ってしまうかもしれない。だから我慢している。父親は家を出て行ったわけで、母親だって、いついなくなってしまうか分からない。短冊に書くぐらいなので、こういう内心を吐露してくれる…。
 女児は、高校1年生になっているはず。どうしているのでしょうか…。
 それにしても、子どもに「お母さんがいなくならないように」と願わせてはなりません…。
 脊髄に四角い穴(一辺がほぼ15mm)を、3カ所も開ける手術から、生還しました。予想以上に大変な戦いでした。術後2週間での退院。術前よりも動けません。…もう少し生きたいです。