アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「土」出身の大根

2020年08月25日 | Weblog
 ここんとこ行ってませんが、台湾へ行くたび、「美しい日本語」を話す人に出会います。そういう方も、年々減っていく。反面、若年層で、日本語を話す人が増えているような気がします。「NHKの朝ドラで日本語を覚えた」という高校生に出会ったこともありました。台北中心なのでしょうけど、日本のTV番組が日本国内と同様、綺麗に観られます。毎日観ていると日本語覚えるよね。
 台湾の日本語の教科書には、次のような会話文が載っています。日本から台湾を訪れた小百合ちゃんと、台湾の大蘿蔔さんとの会話。
 小百合:初めまして。日本から来ました。あなたはだれですか?
 大蘿蔔:お前がさきに名乗れ
 小百合:私の名前はさゆりです
 大蘿蔔:俺は大根(だいこん)だ。土から来た
小百合:大根さん、どうぞよろしくね
 ※ 小百合の話し相手は、「大蘿蔔」という設定。読み方ですか?日本語式では、「ダイラフク」なのでしょうが…台湾ではどう発音するのか解りません。意味は、「蘿」も「蔔」も大根のこと。それに「大」を付けているので「大きな大根」。

 この教科書で日本語を学んだ馬英八さんが、日本へ来て交番で道を尋ねようとしたら…次のような会話になるでしょう。                    
 警 官:初めまして。日本の交番の警察です。名前を言いなさい
 馬英八:お前がさきに名乗れ(内心…ウフフ、教科書通りなのでよかったぁ)
 警 官:おぬし、本官(ホンカン)を侮辱するのか?
 馬英八:そ、そんな「セリフ」は、教科書にはござらなんだでごわす(内心は、…教科書から離れられると困るんだよなあ!)
 警 官:お前は、「土」出身の大根だろう!(警官の内心…ウフフ、あの教科書読んでおいて良かった。…日本の警察官も読んでいたらしい)
 馬英八:し、知ってんなら聞かずともようござんしたのに!「大根さんよろしくね」は、言わんのか?本官ちゃん!
 警 官:こ、ここで友だちになってどーすんの!お前、本当は大根じゃなくて馬小屋から来た馬だろうがぁ!まったくぅ、教科書通りじゃないと気が済まないんだからぁ!
 私は、「俺は大根だ。土から来た」というセリフに大変感動しました。今の日本で、このような発想ができるのは谷川俊太郎さんぐらいなもの。谷川さんの詩を作る原点は、「いかにウケるか!」。失礼なこと書くなって?御本人が言ってるんですよ!どこが失礼なんですか!私と、谷川さんの関係をナメちゃいけません。ライブ(早い話が講演会)にも、行ってるんですから。
 台湾の日本語教科書は、「日本の古い言い方」や「アニミズム」を取り入れている。なかなか工夫されています。大根が小百合ちゃんと会話する!その小百合ちゃんって、吉永さんじゃないでしょうね?